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政治学

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2012年12月 3日

選挙前 今の時代をどう認識するか Ⅱ 反米の系譜

第一話の続きだ。戦後の権威の崩壊について。戦後の最大の権威、即ち「米国」。

反米の系譜

で、話を「権威」のことにもどそう。戦後日本での「権威」、そのきわめつけはアメリカだろう。一九七〇年くらいまで日米安保条約反対運動もあったが、高度成長のなか、団塊世代がみんな企業戦士になってしまうと、対米依存の問題も忘れ去られてしまった。アメリカは日本にとって最大の市場になり、アメリカに留学すること、勤務することは出世につながるようになった。「明日は僕、ワシントンに出張で」などとさり気なく言いながら、そのくせ心の中で世界の中心に行ける喜びと誇りでいっぱいだったのである。情けない心情だと思われるだろうが、旧植民地と宗主国の間では、今でも見られる心象風景である。

まあ詳しいことはまた後で書くことにするが、二〇〇八年の金融不況でアメリカの経済が大きく沈むと、日本人が心の中で溜めていた反米気運が表に出てきた。金の切れ目が縁の切れ目という点では、二〇〇八年以降アメリカへの反抗姿勢をめっきり強めた中国と変わらない。日本の書店では、「日本の経済がだめになったのは、アメリカ人が円高をしかけているからだ。アメリカは尖閣の問題で日本を守る気はない。アメリカはTPPでまた、日本市場に攻め込もうとしている」というたぐいの反米書が反中、反ロシアの本といっしょにずらりとならび、そのあたりにはなにかこうすえた悪意が漂っている。日本における「究極の権威」アメリカも、こうして地に引きずりおろされ、叩かれているのである。

こうして、日本では「権威」と言えるものが次から次へと踏みにじられて、機能不全におちいった。唯一残っている権威は、マスコミだろう。大マスコミは日本のエスタブリッシュメントの一員なのだが、世論を後ろ盾にしているので、その権威は揺るがない。マスコミの報道は社の編集方針に従って、それぞれ色付け、味付けがされ、それが「世論」を作り出す面もあるのだが、その報道ぶりがどれだけ客観的なものなのかを評価するメカニズムはない。政府の検閲は絶対いけないのだが、立法、行政、司法の三権力にならぶマスコミだけに、選挙とか国会での討議などの洗礼を受ける機会がないのは、片手落ちだ。「権威」が軒並み力を失い、国民も自分でものごとを判断するための材料をじゅうぶん持っていない現状では、マスコミの責任はほんとうに大きいのである。


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