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政治学

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2012年6月17日

アメリカはいつも悪者 日本政府も

僕は米国オタクではないのだが、アメリカについての論調を見ていると、その悪意の深さに気持ち悪くなることがある。

「米国は、中国と不必要な対立を始め、中国を包囲しようとして周辺国をその中に引きずり込んでいる。日本もベトナムもフィリピンもインドも・・・」、そして「日本政府のエリートは対米従属を続けることが自分たちの利益なので、こうした米国の動きに尻尾を振ってついていっている」と、それらの論調は言うのだが・・・

米国が嫌いなり怖いなら、それはそれでそうはっきり言えばいいので、事実の一面を書き立てて、人々の心の中にある反米機運を掻き立てようとするのは、アンフェアーだ。それに危ない。

米国が、ライバルと不必要なほどの対立をしがちであることは事実。日本も、1985年のプラザ合意や1990年代の日本たたきでひどい目に会った。だが米中関係の場合、対立だけの一筋縄ではいってない。中国との関係から経済的利益を得ている米国人も多いので、こちらの方は放っておくと「日本の肩越しに米中結託」という、対立とは正反対のベクトルを持っている。

そして、「米国は中国包囲網に周辺国を引きずり込んでいる」というのも一面的だ。ベトナムもフィリピンもインドも、強大化する中国に対するバランスを維持するために、中国との領土問題で自分を守るために、米国をむしろ「引き込んで」いるので、「引きずりこまれている」のではない。

引き込むとか引き込まれるとかについては、アメリカの意志だけでことが決まるものではない。ベトナムやフィリピンが断れば、アメリカは無理強いはしないのが通例だ。

「日本政府のエリート」と言うか、日本政府の中で対米関係に携わっている人たちの性向についてはいろいろあるが、基本的には今の日米安保同盟体制がいちばん有効で現実的だから推進しているのだろう。それがあたかも対米従属の様相を呈することがあったのは、日米安保条約上では米国は日本を守る義務はあっても、日本は米国を守る義務はない、という不均衡性に根差す。

要するに、基地を提供して守ってもらうという、戦後の体制を変えていないから、日本の立場が弱くなる。旧社会党などは、米国に対して分が悪くなるような立場に日本政府を縛り付けていながら、身動きできない政府のことを、「対米従属・・・」だとして足蹴にしてきたのだ。

冷戦時代は終わったのに、なにか、すごく悪意のある、毒気に満ちた論調がいつまでも通用している。一面的な見方を言い立てるよりも、できるだけ幅広く歴史的視野ももった情報の提供をしてほしい。

コメント

投稿者: 松宮 正浩 | 2012年7月16日 11:57

日米関係を考える時は少なくとも敗戦時まで遡ることが必要と思っています。
GHQが日本を再び立ち上がることが出来ないようにすることは当然の戦略であり、天皇制の存続を困難にし、農地解放、遺産相続の改変、により食糧を米国に頼らざるを得ない「国家」とし、製造業や教育等々を規制してきたのも事実です。

皮肉にも朝鮮戦争が切っ掛けとなり、日本は工業立国に急成長したのであるが、1978年鄧小平の改革開放経済戦略(工場誘致ならぬ生産誘致)及び1985年のプラザ合意により産業の空洞化が促進され今日の脆弱な日本に至っていることを認めなければならないのです。

これ等は全て「敗戦国」としての宿命であり受け入れなければならないのであるが、そのような環境の中で日本は努力し、成果をあげてきたものの
残念ながら短命政権下に於いて、昨今の急変する世界には取り残されているように思います。

わが国が取り組むべき課題は米国云々ではなく「食糧及びエネルギーの自給自足」(技術的には夢物語ではない)及び「医療改革(仁術回帰)」であり、日本の優秀な技術と勤勉性で再び世界をリードできると思っています。


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