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政治学

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2012年9月23日

消費税は通り、民主党総裁も決まり、こんどは目標を示す番

もう旧聞だが、消費税増税法案が通った。僕は2年くらい前までは反対だったのだが、今回は黙っていた。日本の国債はほとんど国内で購買されているからギリシャのような対外信用問題は発生しないと言われてはいるものの、外国人も日本国債発行残高の5%強は所有し、しかもそれは国債先物に集中している。今年1月の日経は、国債先物売買の3割は外国人がやっていると報じた。外国のヘッジ・ファンドなどは、ギリシャ、スペイン国債の次は日本国債の下落で儲けようとし、長期国債先物を売りポジションで待っているので、彼らが国債価格の暴落と長期金利の上昇の引き金を引く可能性はある。だから、日本政府の歳入を増やしておけば、国債の返済能力に疑問は出ず、国債が暴落することもないだろう――そう思ったのだ。

そしてかなりみごとに消費税増税法案は通った。民主党になって初めて通した、難しい法案だ。野田総理がなんとなく、海綿のように国民の不満を吸収してしまう得な性格を持っていることと、公明党を抱き込んだことに合わせて、財務省の黒子たちによる舞台回しもまた押したり引いたり、巧妙をきわめたことだろう。これから選挙に向けて公明党が「○○クーポンの国民への配布」とかを公約し、それがすんなり補正予算で通る――こういう仕掛けになっているのかもしれない。
1988年竹下内閣が消費税を初めて導入したときは、大蔵省に吉野良彦という事務次官がいた。この人はワル野ワル彦とよばれるほどの剛腕、かつすかしの名手で、今回の勝財務次官と良い勝負だ。
(それに引き比べて、消費税後の原発問題での迷走ぶりはどうだろう)

で、消費税増税法案は通してしまったし、原発は迷走なので、次の選挙で民主党は大負け・・・なのか? だが、じきに総選挙をやることで合意した、自民党の谷垣総裁はもういなくなった。総選挙を年末までにやる可能性は薄くなったのではないか。野田政権としてはおたおたせずに、原発撤廃とかTPPとか政策に優先順位をつけ、いちど決めたら消費税の時のようにぶれずに進めていけば、野田政権はもつのでないか? 

重要なのは、TPPなどのような懸案をかたずけるためにも、日本の将来像、目標を提示することだろうと思う。どうやって、国民の雇用と暮らしと安全を守っていくつもりなのか。地震、原発、尖閣と立て続けに試練に会ってきた日本人は、わかりやすい目標を示すと、わりとまとまりやすい状況になっていると思う。

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