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2011年8月15日

怒れる若者と草食む若者

イギリスの青年たちの暴動を見て思う。暴動が前向きの勢いを持っていた時代もあったな、と。それは1960年代後半、日米欧でなぜか時を同じくして起きた(ソ連の陰謀?)学生暴動の時。あの頃は経済は伸びていたし、学生たちは「自己実現」とか言って、自分の自由には限りがないような錯覚に耽っていたものだ。

そうした上昇気流に乗れない若者たちは、「雷族」と称して、真夏の蒸し暑い夜になると、オートバイのエンジンを界隈に鳴り響くようにふかしたものだ。あの頃、若者たちは怒っていた。

その後、学生運動で暴れた者は大企業に就職し、雷族は警察に取り締まられ、そうやって社会では肩をいからして歩く者がいなくなってしまった。大学3年から就活。留学している暇も、リュックを背負ってインドをうろつく時間も、そしてカネももうありはしない。

今ある枠組みの中でなんとか「大企業や政府に就職」して普通の生活がしたい、というのが今時の青年の大多数が持つ希望のようで、だから彼らは草食系と言われるのだ。

コメント

投稿者: たろ | 2011年8月16日 02:27

60年代の学生闘争は、世界的な人口増によるものと、民主化・自由化の流れの中、制度刷新の要求が大きいですよね。実際にその世代が先進各国で高齢化社会の牽引役にもなっていますよね。これだけの規模の人口層が一斉に高齢になっていくというのは人類史上初めての出来事です。しかし、その中で世代政治が慢性化してしまい、古い常識・制度が脱皮する機会を失ってそのまま、若者を食いつぶしていく構造になってしまっている。「草食」という言葉自体が極めてある世代のイデオロギーを表出したものです。メディアが世代的・文化的に硬直して理解能力を失っている姿なのでしょう。残念なことにそれにぶら下がらないと若者も生きていけないという悪循環が日本やイタリアといったような男性社会には露骨に見られます。80年代からのネオリベ路線でソーシャルな枠組みが破綻して、若者が可能性を試す「担保」がなくなってしまったのも大きいですし、上記による中高年層の無理解という世代意識に発展性が阻まれています。

労働法の抜本的な改定や法治体性の充実を図っていかないと、安定した内需は見込めないですし、失われた政治性を復権するのもの相当に困難だと思います。

これ以上、若者に頑張れといったところで、若者が教育もしかり、労働もしかり、大幅に搾取されている構造がありますので、
中高年の世代意識の自覚化というものも急務だと思えます。

私個人は、若者以上に日本の中高年の千年帝国のような意識の方に違和感を感じる次第です。

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