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2013年3月28日

言葉の罠――中ロ首脳会談

3月22日、23日、習近平中国国家主席が訪ロした。共同声明には尖閣のことは書いてないが、大学生を前にした講演では「(中露両国は)第2次世界大戦の勝利で得た成果と戦後の秩序を守らなければなりません」と言っているようで、これは中国のこの頃の言い分では、尖閣は中国に属するということを意味している。

でも僕にわからないのは、米国が戦後沖縄の施政権を日本から取り上げ、また1972年になって返した時に、尖閣列島はその中にあったということだ。それが戦後の秩序でないのか? それなのに、尖閣が中国に属するべきなのが戦後のあるべき秩序なのだ、というような、あまり持って回った言い方をするから、アメリカでもわかってもらえない。戦後の秩序を変えようとしているのは、東シナ海でも南シナ海でも中国の方だと皆に思われている。

そして、ロシアは尖閣で中国を応援しないし、中国は北方領土問題でロシアを応援しなかった。これもまた、ねじれた空間なのだ。と言うのは、北方領土問題でロシアを応援するというのは、領土問題では頑なに対応するのを奨励する、ということになる。そこでロシアが御礼にと言って、尖閣で中国を応援すると、それは「頑なな対応をしている」日本を批判することになるわけで、ロシアとしては自分だけ良くて日本は悪いというのは、さすがにどうも居心地が悪い。

まあ、もともと中国は北方領土問題にどっちつかずの態度をとってきたし、ロシアもその返礼というわけではなかろうが、昨年9月の尖閣情勢先鋭化ではだんまりを決め込んだ。どうも、このふたつの問題をならべて論ずると、頭がおかしくなってくるので、黙っていた方が安全だ――ということなのだろう。

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