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街角での雑想

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2011年6月 4日

右へならえの一斉節電は縮み思考

東日本地震・津波のあと、ボランティアの救援活動など自発的なやり方が増えて良かったと思っていたが、電力のことではまた戦争時代に逆戻りしたかのような、右へならえの集団主義が跋扈している。普段、それほど電気をふんだんに使っていたわけでもない企業たちまでも、15%の節電目標達成とか言って、ふーふー言っている。ちゃんとやらなくても罰せられるわけではないが、公表されると企業イメージに響くのだろう。環境省はアロハ・シャツで勤務だって? なにか、その種の特殊な業種の人たちの着るものに似ているね。 

よくあることだが、問題の本質が置き去りになって、誰かが作った目標が批判されることもなしに、社会目標としてまかり通るのだ。ムラ社会のファシズムとでも言おうか。

問題は、夏の暑い日にクーラーの使用が集中すると大停電が起きるかもしれないということだろう? 今のままでは、電力がわりと余っている夜間に節電したのでも、節電目標を達成したことになってしまう。

それに15%の節電というのは、東電にとっては15%の減益ということ。右へならえ節電というのは、縮み志向だ。

大企業の自家発電能力をフルに発揮してもらいたい。4月22日の日経によれば、関東地区には約1640万キロワットの自家発電設備があり、昨夏の平均稼働率は5割強で、計算上は約750万キロワットの余力があるのだそうだ。原発1か所分くらいに相当する。

東電は、「日本の電力の質は世界一だ。やたら外部の発電業者の電気を入れるわけにはいかない」という議論を展開しているようだが、スマートグリッドを開発すればそこはこれから改善されていくだろう。

それに、少しぐらい電圧と周波数がぶれてもいい。僕はこれまでロシアやウズベキスタンのように、電圧も周波数もぶれる国でパソコンを使ってきたが、支障はなかった(自分で整流器を買ってつけていた。高いものではない)。質の高い電気を必要とする事業所は、自分で整流設備をつければいいではないか。

その代わり、電力料金は大幅に下げてもらいたい。「電力の質が世界一だから、電力料金も世界の2倍」と言われても、それほどの質はほとんどの需要者が必要としていない。

コメント

投稿者: 松宮 正浩 | 2011年6月16日 11:34

6/12イタリアもドイツに続いて「脱原発」へと舵をきりました。
6/11までイタリアを旅行して驚いたのですが、畑の所々に大規模なソーラーパネルが設置され山並みの至る所に延々と発電用風車が設置されており、脱原発への対策が着々と推進されているのが分かりました。

それに比較して日本は、かなり以前より「自然エネルギー」の利用を唱えていましたが、口先だけで本格的な取り組みをせず世界的にも遅れてしまいました。技術的には先行していたにもかかわらず今日の状況にあるのはまさに「政治の貧困」と断言せざるを得ません。

原発政策については色々な問題が隠されていましたが、曲がりなりにも国民が選択したものであり「間違っていた!」と言うよりも「役割が終わった!」と評した方が、今後の自然エネルギー利用政策が推進し易くなり、今度こそ世界に先駆け自然エネルギー利用大国として、手本となるような国にしてもらいたいものです。

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