Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
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街角での雑想

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2010年6月19日

日本人でもできる英語?

早稲田のビジネススクールで企業の中堅幹部に講義をしていて、ある日「日本人はどうしてこんなに英語ができないのだろうか? どうしたらいいだろうか?」という質問があった。この問題については僕の友人、猪口孝教授の書いた「英語は道具力」という優れた本などがあるのだが、この機会に僕が常日頃考えていることを書いておく。
因みに僕は外交官だったのだけれど、入省したときは英会話はほとんどできなかった。アメリカに留学しても、最初の3カ月の授業はちんぷんかんぷんだったのだ。今でもヒアリングはleaves much to be desiredだ。

質問
日本でも最近になってやっとグローバルで戦える人材の必要性が唱えられるようになってきました(今週の東洋経済でもグローバルで活躍できる人材の特集が組まれております)。

日本人が海外で戦っていく際に絶対的に足りていない能力として語学力があると思います。しかしなぜ日本人はこれほどまでに海外の語学(英語)能力が低いのでしょうか。

英語の授業を英語を話せない日本人が行う授業(義務教育)についての問題がさまざまな場面で指摘されております。
極論を言う方の中には、英語の授業は全員外人の教師にしろという意見もあります。

僕としては、
1)英語などの語学の授業を選択制(希望した人間のみが受講)にする、
2)希望した人間を相手に英語ネイティブの教師が
3)英会話を中心に徹底的にコミュニケーションをとる

これを小、中学生のころから繰り返す事が日本人の語学力の底上げ、外国語でのコミュニケーション能力の向上につながるのではないかと思っております。

なぜいつまでたっても改善されないのでしょうか。文部科学省の方針が悪いのでしょうか? 日教組の問題でしょうか? このままでは日本人の中に世界で戦える人間が育っていかないという危機感が募っていきます。

河東先生の答え
こうやってみんなが危機意識を持つというのは、もう遅すぎる時なのかもしれません。でもやらないわけにはいかない。
要するに日本では英語などできないでも食っていける、生活していけるからこうなっている(欧州の小国、中央アジア諸国などは数カ国語のテレビ放送が常時入っていますし、できないと生きていけないところがあります)上に、教育が悪いからです(中国人の中には、留学もしていないのに日本語、英語がうまい人がかなりいます。もちろんエリート教育ですが)。

日本人の英語教師が「本当の英語をできない」ことがよく非難されますが、もし本当に英語ができたら、外資にでも就職しているでしょう。確かに日本人の英語教師たちは既得権益を形成して、外務省・文科省がせっかく外国人教師を派遣しているのに、発音マシンとしてしか使っていない。これはJETTプログラムと言って、毎年数千人の外国人を語学教師、あるいは地方自治体の連絡要員として招聘しているものですが、この前仕分けられてしまいました。

小生自身は、語学の初歩から外国人に教わるのは無理ではないかと思います。外務省や商社のOBを活用したいのですが、絶対数が足りないうえに、既にいる英語教師たちに祭り上げられてしまうでしょう。

ではどうしたらいいかと言うと
①日本人全部が英語ぺらぺらになる必要はない⇒ 一部に限定する。

②大学に、英語能力が高ければ入学しやすくなる特別枠を設ける。
その枠での受験を希望する生徒には、高校時代に1年間の留学を義務付け、海外での単位を認定する。

③大学においても、1~2年間は海外留学することを認め、その単位を認定する。その間、大学が失う授業料収入は、国が補てんする。

④企業の若手のうち希望者には、夏季に1月の特別休暇を与え、海外の日本人が少ないサマースクールに派遣するか、国内で特別に作る(リクルートなど民間企業がやればいい)強化合宿(英語だけで生活するようにする)に数年間繰り返し派遣する。

⑤日本人英語教師の英語力強化(留学制度などあるのですが、数が少なくて、足の引っ張り合い、帰国してからの「外国はがし」など、いろいろ問題があるようです)と教師向けの検定制度(可哀そうかな?)と給料の連動。

これでも全然足りないんですよね。どこかの企業あたり音頭をとり、経団連か同友会を動かして大きなことをやったら? 政府では、なかなか特定の者だけ優遇することはできないから。

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