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街角での雑想

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2008年8月24日

九州見物1 陶器から自動車へ

九州へ最近相次いで行く機会があったので、見聞きしたことをまとめておく
九州は本州に次いで大きな人口、経済を持っていて(双方とも本州の1割)、歴史的にも本州より古いくらい。北九州から久留米あたりまでの鉄道沿線は市街地がずっと続いている。複雑で奥が深くて、自然の景色は素晴らしいし、面白いところなのだなと思う。
なお、以下の中でまとまった話は日本政策投資銀行(DBJ)の九州支店でうかがったことが多い。地方の経済についてまとまった話を聞きたいと思ったら、日本銀行支店とか商工局とかDBJの支店が一番いい。特にDBJは各地方毎に例えば「九州ハンドブック」のようなものを毎年出していて、100ページに満たない小冊子の中で総生産から県の「輸出」「輸入」、主要産業の状況までコンパクトにわかるようになっている。

(熊本城 今回、九州北部の桜満開期は東京より1週間、実に晩いことを発見した)

福岡がどうして伸びたか
明治以後九州の中心地は長らく熊本だった。ここに中央各省の出先が置かれた。
工業では八幡(現在、北九州市)が中心となり、福岡は九州では3番目の町でしかなかった。
昭和50年、新幹線が博多にまで来て、福岡が伸びるようになったのだ。板付飛行場が民間空港として返還されたことも大きかった。
因みに、福岡は山に囲まれ人口密度が高いこともあって、水が不足するようになった。非常用に海水淡水化プラントが作られている。
現在では北九州、福岡、熊本と周辺地域を含めるとそれぞれ100万人を超えている。これだけの大都市が短い距離の間に三箇所もあるところは、日本でも珍しい。

経済概況
バブル崩壊以後、九州経済も長らく低迷していたが、最近では自動車など製造業の投資が牽引車となって伸び始めている。2007年、博多港からの輸出額は37%増えて1,5兆円で、過去最高となった。自動車、半導体の対中輸出が倍増したことが大きかった。博多港からの輸出は九州の2割で、対中国が32%で首位、韓国16%、米国10%と続く。対中輸出は2005年から約6,5倍増えたのだそうだ。

九州北部は、明治時代から炭田が多かった。そう、石炭と言えばごく初期の明治政府は、石炭輸出で歳入の多くを稼いでいたのである。つい150年前は一次産品・天然資源に依存した国だったのだ。ペリー提督だって、中国との貿易船、西太平洋への捕鯨船が燃やす石炭を買いたくて、日本を開港させたのだと言うことができる(若干、単純化して言えば、の話。いずれにしても、日本自身との貿易には殆ど期待していなかった)。

八幡製鉄所近くには筑豊炭田があったし、有明には三井三池、長崎近くの池島炭坑は軍艦島として有名だった。石炭と鉄、というのは産業革命の基礎の基礎だ。英国で言えば、グラスゴーのあたりに相当するか。

その八幡製鉄所はミッタルに押されているのかと思ったら、拡張基調にあるのだそうだ。中国向け自動車鋼板、建設向け鋼材輸出が好調なためである。大分にも製鉄所がある。

熊本付近は地下水が豊富なこともあって、半導体生産が盛んだ。そう言えば、僕がボストンに勤務していた時代、Teradyneという半導体生産会社があって、熊本に工場を持っていると言っていた。この会社は、実にロシア人移民の(ユダヤ系だったと思う)子孫が作ったヴェンチャー系の企業で、一族の一人はMITの理事長にもなったのだ。「ロシア人には勤労精神がない」などと言う人には、僕はこれを反論材料としていつも挙げている。

日本第二の自動車生産地
新潟地震以来、日本の自動車企業が生産拠点の分散をはかっていることは知っていたが、九州が自動車組み立て数で愛知県に次いで日本第2位になっていることは知らなかった。若年労働者を雇いやすいことも、その理由である由。
トヨタは博多港、ダイハツは大分近くの自動車積み出し専用の中津港、日産が北九州近くの苅田港から出荷している由。

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