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街角での雑想

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2018年7月18日

国債をめぐる基本的な誤謬

日本では国債累積高がGDPの2倍にもなった、往年のギリシャよりひどいと言って、パニクる人がいるが、その割には何も起きてない。社会に富が溜まっているならば、そこから少し借り上げてその分の紙幣を印刷し、足りない消費に代わって消費し、それによって工場の操業を確保していくのに、何の不都合があるのだろう。インフレにならない程度に支出していけばいいので、国債が無限に積みあがるわけでもあるまい

それでも、と国債発行懐疑論者は言う。「金利が上昇すると、国債利払いが増加して予算を圧迫、悪くすればデフォルトになる」と。しかし、これは俗論ではないか? こういう説を広めるから、財務省の国債反対原理主義を信じられなくなるのだ。

なぜ俗論かと言うと、10年の長期もの国債で発行残高が多いのは固定金利のものであるからだ。つまり、市場での金利動向に関係はあまりない。そして金利が上がるのは景気が良くなった時。景気が良くなれば税収が増えるので、国債の新規発行は減らすことができる。

国債で無理に成長率を維持するのは、確かに不健全だ。しかし成長は堅持しないといけない。歳入が増えないと、新たに起きる問題を解決する予算がなくなるからだ。国債以外のもっと健全な手段で成長を維持するには、どうしたらいいか? あるいは国債を発行して得た資金を景気刺激に活用するにはどうしたらいいか? 後者については、昔のように公共投資を増やすのが一番なのだ。「土建国家」は小泉政権時代に批判されて、公共投資は随分削られてしまったが、その結果生じたのが地方経済の停滞である。

是非必要な公共投資はいくらでもある。老朽化しつつある橋や高速道路を修復していくだけでも年間8兆円は必要だと見積もられているし、全国的に電線を地下に埋設すれば日本は見違えるように美しくなるだろう。人口が減少することに危機感を表明する人が多いが、住宅が余ってきている昨今、それは欧米なみにゆったりした住宅を普及させる好機だろう。財源は予算以外にもある。住宅はもちろん、道路インフラについては道路公団が民営化されてできた日本高速道路保有・債務返済機構が、年間約2兆円の収入を得ている。


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