Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
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街角での雑想

Automatic Translation to English
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2014年10月 8日

英語ができるようになるには

 日本人が世界でやっていくうえで、ほぼ共通の悩みは「英語ができない」ことだろう。これを直すのは本当にむずかしい。「外国語ができないと、いい仕事にありつけない。面白いテレビも見ることができない」という切羽詰まった状況に日本はないからだ。たとえばベルギーやデンマークなど、ヨーロッパの小国では外資系企業が多いし、周囲のドイツやイギリスから自分の国のテレビよりはるかに多くのチャンネルが入ってくる。だから学校で英語やドイツ語を習うと、(もともと近い言葉同士だから)わりと簡単に話せるようになってしまう。

 では日本でどうするか? 日本人全員が英語を流暢に話せるようにするのは無理だし、必要もない。一生日本で日本語だけで暮らし、それなりの収入を得ることのできる職業はあるからだ。そういう人たちは、英語や中国語は、「この世界には異文化というものがあって、違う言語を使っている。それは、こんな感じだ」程度に勉強するのでいいではないか。他方、多くの日本人はこれから海外で働いたり、社内の同僚が外国人になったりすることも増えるので、せめて英語ぐらいできないと使い物にならない。そうするためには、大学入試で英語のヒアリングの採点比重を大きくすることがいちばん効く。

日本では、学校の英語の教師の多くが、英語を話し、聞いて理解する能力を欠いていることが問題である。これはなかなか治るまい。英語が流暢になるためには、外国に二年くらいは留学しないと無理だ。今でも公立校の英語教師を留学させる制度はあるが、人数や期間が限られているので、「形だけ」のものになっている――日本では本当に、「形だけ」のものが多い――。それに留学した教師は日本に帰ってくると、同僚の妬(ねた)み、嫉(そね)みの対象になって、活躍しにくい。それに英語が流暢になれば、大企業や外資に就職したくなるかもしれない。外国人の英語教師は、大変な予算を使って 、毎年四千人も公立校に配属しているのだが、発音マシンのように使われるところも多いようで、実効はあげていない。せいぜい、生徒が肌の色の違う人間に接するのに慣れる程度の効果で終わってしまう。

公立校の英語教育は、カリキュラムを大改造するべきなのだ。読み書きなら普通の英語教師でできるだろうが、ヒアリングとスピーキングはインターネットを使うなどして、「本当に英語ができる人」に高給で授業してもらうしかないだろう。政府の予算で毎年四千人も招聘している外国人の英語教師には、課外で特訓コースをやってもらいたいし、夏には生徒達と合宿してもらいたい。

そして、何と言っても一番の薬は、留学することである。誰もが留学に耐えられるわけでもないし、成果をあげられるわけでもないが、できるだけ自分で何でもやらざるを得ない環境、外国語を使わないと生きていけない環境に生徒達を置くべきである。そして、外国語がしゃべれるようになるには、最低一年は必要である。それより短いと、「形だけの」留学になってしまう。

コメント

投稿者: 渡邊健 | 2014年10月 9日 09:23

この冬から高校1年生の次女を約1年間オーストラリアに留学させます。こちらで誘導したところもありますが、基本的には本人の意志です。それが重要だと思っています。半年、3か月のプログラムもありますが1年行かせても日本の高校を留年しなくてもよいことと、ご指摘のように最低1年は必要かと。もちろん団体留学ではありません。それにしても費用がかかりますね。まあ、次世代への投資と言えばそうなのですが。

投稿者: 渡邊健 | 2014年10月 9日 09:25

この冬から高校1年生の次女を約1年間オーストラリアに留学させます。こちらで誘導したところもありますが、基本的には本人の意志です。それが重要だと思っています。半年、3か月のプログラムもありますが1年行かせても日本の高校を留年しなくてもよいことと、ご指摘のように最低1年は必要かと。もちろん団体留学ではありません。それにしても費用がかかりますね。まあ、次世代への投資と言えばそうなのですが。

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