Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
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街角での雑想

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2013年6月21日

新刊  米・中・ロシアーー虚像に怯えるな  をよろしく

今日、書店に行ってみたら、僕の近著「米・中・ロシア――虚像に怯えるな」(草思社)が平積みになっていたので、写真を撮って帰ってきたところ。外務省を辞めて9年、やっと単行本を出すことができたので、さすがにうれしい。

この本は、これまで米国、中国、ロシアに滞在して、これら大国を内部から観察、どこが日本の同盟国として最もましなのか(と言うのは、日本は1国だけでは自分を守りきれないと思うからだ)、それはやはり米国なのではないか、という当たり前のことを分かりやすく述べたものだ。

草思社からは現役時代、3冊も出していただいた。その後同社は会社再生法の適用を申請して建て直し、今また昔の姿を取り戻しつつある。当時お世話になった社長、加瀬昌男さんはもうこの世におられないが、また草思社と一緒に羽ばたいてみたい。

以下は、「米・中・ロシアーー虚像に怯えるな」の「はじめに」から抜粋したものである。

――日本の周囲はこの頃、めっきり物騒になってきた。中国の軍備拡張、北朝鮮の核開発はもちろん、アメリカの力がリーマン・ショックで弱まったと見た諸国が、自己主張を強めているからだ。中国は尖閣、南シナ海の諸島を要求し、沖縄についてさえ権利を主張し始めている。そして韓国は竹島、慰安婦問題について主張を続け、他ならぬこの日本でも、アメリカについて、人種差別をするから嫌いだとか、日本を十分守ってくれないとか、太平洋戦争に日本を追い込み原爆を落とした責任を問うとかいう声が、潮のように引いては寄せる状況にある。

 このような事態は日本にとって、二つの大きな課題をもたらす。ひとつは、これからの安全保障政策について、社会の中に合意、コンセンサスを形成しておかなければならない、ということだ。この頃では核武装・自主防衛論が勢いを得ているが、この本の第五章で論ずるように、日本はたとえ核武装をしたところで、完全自主防衛はできない。同盟国が必要だ。そして日本を囲む米、中、ロシア三大国のうち、日本の安全保障を大きく補強してくれ、かつ、戦後の日本が築いた高い生活水準と自由な社会を維持していくのを最も推してくれる国といったら、やはりアメリカだ―――筆者はこう思っている。

民主党政権の時代には、世界、そして戦後の日本をアメリカが「牛耳って」いることを暴き、それを批判することが流行した(批判するのは自由だが、ではどうするというところで納得できる議論がない)。そして自民党政権になると、「太平洋戦争の戦争責任は日本にだけあるのではない」式の議論が盛んになっている。双方とも戦争のことで吹っ切れていないのだ。民主党の一部は戦前の大東亜共栄圏的なユートピア主義、自民党の一部は戦前の国家主義へのノスタルジアを引きずっている。 

もう一つ、今の日本にとっての課題は、戦前の朝鮮半島支配が起こした諸問題、そして日中戦争が起こした諸問題と、それにからんで中国での「反日」にどう対応していくかということだ。これらの問題は、政府同士の間では外交関係設立・再開の際、条約を結んで法的なけりをつけてあるが、豊かになって権利意識を高めた東アジア諸国の市民達は納得していない。「条約? そんなものは昔のことで、自分達は聞いていない」というわけだ。

問題が表面化するたびに、その国のマスコミはそれを大きく報道するので、市民もそれに大きく反応し、政府を日本との対決に追い込む。日本のマスコミも、中国や韓国の動きが社会の一部にとどまっている段階から、それがあたかも中国や韓国の政府が意図的に煽ったものであるかのように書きたてて、日本の世論、そして政府を対決の方向に押しやりがちである。

だが、日本の中で中国を、そして韓国を罵ってみたところで、何になるものでもない。罵れば、「日本は何も反省していない」ということで、反日宣伝の材料にされる、つまり日本は自分で自分の首を絞めることになるだけなのである。国際社会では、キレれば斬られる。もっと、うまくやらないといけない。

この二つの課題、つまり安全保障や同盟の問題、そして第二次大戦に関わる問題については、相手国の実情を知ることが必要だ。アメリカは人種差別の国なのか、本当に頼りにできるのか、中国の反日デモに参加した中国の青年達の真情はどうなのか、そもそも「反日」は現代の中国社会でどのくらいのマグニチュード、そして意味を持っているのか、ロシアは本当に怖い国なのか、もしかすると共に手を携えて中国に対抗できる相手なのか、相手の社会に飛び込んで、内部から相手を観察してみることが必要なのだ。どの国も、大衆は外国のことなどより自分たちの生活で手いっぱいなもので、こういう大衆に対して「お前達は日本を嫌いなんだって? じゃあ、俺達もお前達が嫌いだ!」と叫ぶと、その国の大衆も怒りだし、反日で団結してしまうだろうからだ。


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