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街角での雑想

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2007年9月25日

自民党総裁選ーーー本当は党内の内輪の話なのに

   今回の総裁選を見ていて感じた。いつまでポピュリズムの魔法に惑わされているのだろうかと。
あれは、自民党内のことなのだ。誰をトップに据えれば自分が大臣になれて、次の選挙でも当選しやすいか―ーーそういう話なのだ。それに誰がなろうとも、それほど変わりはしない。政策の大枠は官僚が提案してくる、アメリカが「頼んで」くる、そういうことではないか?

   それでも、首相が代われば予算からの分け前が増えるかもしれない、外国にもう少し毅然とした対応をしてくれるかもしれない、ということで、誰が首相になるかにこれほどの関心が集まるのだろう。朝のワイドとか夜のバラエティー番組で、普通の市民が茶の間のテレビに出てくるのに、人は慣れてしまい、政治家であろうが官僚であろうが、テレビで品定めをして駄目だとなればそれは完全に駄目になってしまう。日本人は相手が誰であろうが、どんなに偉い地位のものであろうが、自分で品定めをしないと気がすまなくなった。つまり、首相でも自分が投票しないと気がすまない、投票してみたくてしょうがないーーーというところではないですか?

   言ってみれば日本全体が一つのムラのように緊密になって、何事も寄り合いでワイワイガヤガヤと決めないとやってられない、ということなのだろう。アリストテレスの言う直接民主主義だ。テレビがかんでいるから、アリストテレスも知らなかった「テレビ型直接民主主義」と僕は名づける。これは一見良さそうだが、リスクの多い道である。大統領を直接選ぶアメリカや韓国で、どんな大統領が選ばれてきたかを見れば、その意味はよくおわかりでしょう。

   いや、直接投票でもないのに、我々はどんなに政治家の催眠術にひっかかってきたことか。あの「改革」という小泉さんの殺し文句。さしずめ、役人達の給料でも引き下げて、それで改革をしてくれるんだろうとみんなが思ったところが、あのぼそぼそ二言、三言つぶやくだけの安手の催眠術で国民を眠らせ、その間歯の2,3本も引き抜くような荒療治をやってのけた。今彼の「麻酔」が切れてみると、病院に行くたびに、あの「改革」は実は我々にツケが回されていることに気がついて、財布がずきんずきんと痛み出す。

   そしてあの歌舞伎役者のようにカッコよかった安倍総理。今からたった1年前は、すごい人気だったではないですか。人を雇うときもそうだけど、人を総理に選ぶ時も大変なのです。本当はどんな人物なのかは、数ヶ月一緒に働いてみないとわからない。一緒に危ない目に会ってみないと、その信頼性はわからない。だが、これだけ国民の人気が重要になってくると、直接選挙であろうが間接選挙であろうが、結局は国民の人気に負けて(というか、こいつを神輿でかついでいれば次の選挙で勝てるだろう、と思って)試練を経ていない人物を総理の座につけてしまう。ポピュリズムと民主主義は違う。権利意識を高めてきた世論と政治をどうやって結びつけるか、それについてこそまさに憲法的な議論が必要なのだと思う。

   今回の総裁選挙では、派閥のしばりが効かなかった。しかしだからと言って、麻生氏を支持した自民党議員が彼と共に脱党し、民主党からの脱党者とともに25日の国会で麻生氏を総理に選ぶーーーというような大ドラマは起きないだろう。そこまではーーーということになるだろう。

   だがーー多分もうちょっと若い人物が必要なのだろうが―ー小沢でも麻生でも福田でもない、清新な人物が首班指名に名乗り出て、それに自民党、民主党からの脱党者が雪崩を打って支持を決め、新しい第三党を作ることにすれば、国会ドラマももっと面白いものになるだろう

   そして考えてみると、そうなる基盤は随分あるのだ。今の時代、奇妙なことが起きていて、自民党が改革の政党、民主党が保守の政党になってしまっている。小泉時代の自民党が手がけた改革は、他ならぬ自民党の権力・権益の基盤だった地方の建設業界に切り込み、あてにならない都市生活者からの支持で政権を支えてきた。小沢民主党は、小泉が切り捨てた権益をひとつひとつ丁寧に拾い集め、手厚い公共支出を約束して参院選挙で勝ったのだ。こうして民主党はその構成そのまま、経済政策では昔の自民、安保政策では昔の社会党の平和主義・反米路線をごたまぜにしたヌエのような存在になってきた

   またポピュリズムの罠にかかる前に、第三の道を行くことでも考えたくなるというものだ。

   

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