Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
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街角での雑想

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2007年9月18日

メッセージのない国 日本

このブログは世界に向けて「日本」を発信したいと思って作った。
ところがこの頃、日本はめっきり勢いがなくなって、すっかり内向きになってしまった。
北朝鮮との拉致の問題で日本を支持してほしい、北方領土問題で日本を支持してほしい、国連安保理の常任理事国にしてほしい―ーー世界に日本が何を求めているかはわかるのだが、そしてことあるごとに「経済大国No.2」だと言い張るのはいいのだが、ではその日本は世界についてどう考え、何が問題だと思い、何をどう変えたらいいと思い、そのため
に自分では何を分担する用意があるのか、と自問してみるとーーーどうも何も見当たらない。「メッセージがない」国になってしまった。

日本のことを外国人に言っても、もう耳を傾けてもらえないだろう。かくなる上は、これからの僕の生き方も限られてくる。一つは戦前の作家、永井荷風のようにシニカルになって趣味と遊びに生きることだ。もう一つは、昨今の日本人音楽家のように何かとても水準が高い技を携えて、外国で活躍することだ。若い音楽家達は、一頃のように、「テクニックだけで個性がない。音楽性がない。」という類の批判は完全に跳ね返してしまうだけの強い自己主張を持っている。

だが、考えてみると、僕にはそこまでの才能はない。それにそこまでヤケになる前に、まだ試みるべきことはあるではないか。この頃は、中国もロシアも、あきれたことにはアメリカまでも不動産や建設でGDPを嵩上げする時代なのだ。

5年くらい前の日本では、自らを「土建国家」と卑下し、公共投資を削って赤字国債発行を減らせという議論が盛んだった。だが建築・不動産バブルで成り上がっていく他国を見ると、そしてこれらの国のホテルが手の届かない高値になっていくのを見たりすると、よーしこちらも、という対抗意識がむらむらと湧き上がって来るのだ。いいではないか、土建国家で、赤字国債で。皆やっている。バブル? そりゃバブルだ。でも、バブルが破裂するとまたすぐ皆次のバブルをこしらえて、まるでシンナーの袋ででもあるかのように夢中で吸っている。いいではないですか、それでも。

日本が土建国家であったおかげで、製造業の富は日本の津々浦々にまで行き渡り、どこに行っても景色は小奇麗になった。コンクリートのない風景など、今時どこに行っても見つけるのが難しい。そして「電柱のない風景」への憧れはようやくのこと皆に浸透しつつあり、
僕の住んでいる西東京市の議会でも、「どこそこの地区の電柱撤去を早く推進して欲しい」というような要望が議員から出されるようになっている。

西欧の首都はどこに行っても美しい。だが現在の景観を彼らが整えたのは、産業革命も一段落した19世紀の後半であるらしい。日本はやっとその頃に達したのだ。これまで貯えた富で、大いに景観を整え、町を住みやすくし、それでまた経済を大きくしたらいいではないか。

何か、足の引っ張り合いばかりしているよりも、少しこれまでのタブーを取り払ってやりたいことをやってみたらいい。自分で自分の手を縛り、自分で自分の足を食い、ジリ貧になっていくのは馬鹿げていないか? そう思うのは自暴自棄なのかもしれない。何でもいい。とにかく、もうこの自家閉塞からだけは早く脱却したい。息がしたい。

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