北朝鮮のミサイルを返送するには
007の映画にこんなのがある。どこかのテロ組織が大国の原潜を乗っ取り、その核ミサイルを大国に打ち込もうとするのだが、間一髪で乗り込んだジェームス・ボンドが敵のコンピューターを操作、ミサイルの照準を変えてしまう。地球上はるかに離れた2か所に潜る原潜から発射されたミサイルは、大国に向かう代わりにそれぞれの発射元原潜を破壊して、話しは終わるのだ。
今、北朝鮮が発射すると言っているロケットは、それがミサイルであることがわかった瞬間、日米が共同で開発しているMD(ミサイルを迎撃するためのミサイル)で撃墜するのだそうだ。それもいいが、高速で高空を飛行するミサイルを、小型のミサイルで正確に撃ち落とすのは難しかろう。相手のミサイルが空中で少しでも揺れれば、MDのミサイルは脇を通り過ぎ、もう永久に戻って来られないだろう。
そこで、007が参考になる。これはいわゆるサイバー・テロの領域だ。相手のコンピューター・システムに侵入し、例えばミサイルの照準緒元を変えるか、致命的なバグを忍ばせ、空中で爆発させる。米中ロシアなどは、こうしたサイバー神経戦の只中にあり、米国も中国の攻勢を前にたじたじとしているようだ。サイバー空間に侵入されると、今のように米国は核弾頭千発のオーダー、中国は百発のオーダーと言われる米国有利の戦略バランスが一気に崩れてしまう。
日本も、いつまでもアメリカの「核の傘」だけに頼らず、サイバー作戦能力を開発していくべきだ。
他にも手段はある。例えばレーザー。光兵器だと思われているが、実体は強力な電磁波だ。アメリカもロシアもこれを開発している。2月24日、何人かの軍事関係者がプーチン首相と懇談した中で、フォルトフ・科学アカデミー付属高温研究所長は言っている。「米国は電磁波兵器を戦略兵器と位置付け開発中です。強い電磁波を発射して巡航ミサイルなどを破壊するものです。ロシア科学アカデミーもこれを開発中です」(ロシア首相府サイト)と。ただこれも、高級ピストルの領域を出ない。パルスしか発射できないからで、狙いが外れると意味がない。
で、もっと完璧な守りとして、よくSF映画で出てくる電磁波による結界、あるいは金縛りなども、開発してもらいたい。北朝鮮のミサイルがこの結界に当たると跳ね返るとか、軌道が海の方へそれるとか、止まって落ちるとか。まあ、大変な出力が必要だろうから、今のところ夢物語なのだろうが。
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