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論文

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2009年10月13日

中央アジア情勢メモ(09年8月周辺)

2009年8月周辺の中央アジア情勢
                             2009年9月22日
                                
1.総論
(1)米軍物資、ロシア・中央アジアを通過してのアフガニスタンへの搬入、本格化

9月からは、米軍の軍事物資がロシア領空、中央アジア諸国領空を経てアフガニスタンに搬入される。パキスタンからの陸路がタリバンに脅かされているため、アフガニスタンに展開する兵力を倍増させた米国にとって、この経路は非常に重要になる。
ドイツのラムシュタイン空軍基地を出発、ロシア南部のロストフに着陸して積み荷の点検を受け、アフガニスタンに至る。年間4000~5000飛行を予定し、計5万トンを運ぶというから半端じゃない。ロシアは米国に大きな恩を売った。

(2)世界金融危機はNIS諸国でのロシアの地位を上げたか?
古い報道を見ていたら、今年1月ロシアのナビウリナ経済発展貿易相が、「ロシアは経済危機をNISとの経済関係拡張の好機ととらえ、担当調整機関設立さえ考えている。ロシア対外経済銀行はベラルーシの対外経済銀行の資本のうち97.24%を抑え、ウクライナの産業投資銀行の新規発行株の75%を得ている」と述べているのを見つけた。
世界金融危機後、ロシアとNIS諸国との関係はまちまちで、一概に伸長しているとも言いきれないが、最近ロシアに対する辛口の態度が目立つウクライナ、ベラルーシでさえ上記のようなウラの関係があるし、ウズベキスタンもロシアは最大の貿易相手国である。中央アジアとロシアの関係も、ウラと表、双方に気を配っていかなければならない。

(3)NATOとCSTO(ロシア主導の「集団安全保障条約機構」)が反テロで提携?
アメリカのブレジンスキーが"Foreign Affairs"誌で、「NATOとCSTOは角突き合わせてばかりいないで、反テロで提携できるではないか。NATOとCSTO、どちらに入ってもいいし、両方に入ることもできる、としておけばいい。そうすれば、ロシアの帝国主義的メンタリティーを静めることができる」と書いている。自分も前から同じことを考えていたのでまだ読んでもいないのだが、8月末にはモスクワの「アメリカ大学」学長エドワード・ロザンスキーも同じことを言っている。
これに対してロシアの識者は、「NATOの拡大をごまかすための眼つぶしだ」と言って、この提案をはねつけている。ロシアも自由、民主主義、市場経済でやっていくのだから、なんでこのような偏狭なことを言うのかわからない。

(4)ロシアはCSTOの充実を急ぐ
ロシアが、CSTOの即応展開軍を、ウズベキスタンの抵抗を無視して設置しつつある。8月にはモスクワのCSTO統合参謀本部で、即応展開軍として最初の共同図上演習を行った。NATOは米国主導だと皆言うが、一国でも反対すれば決定は行われない。民主主義を守るための軍事機構なのだから、決定メカニズムも民主的になっている。ロシアも、全員の了解を得ずにCSTOの即応展開軍を設置し、それに抵抗するウズベキスタンの国境近くにこれを配備するような非民主的なことを続けていると、同盟国をかえってNATOの懐にかけ込ませることになるだろう。

(5)アフガニスタン情勢と中央アジア情勢の関連

 アフガニスタンは文明的・経済的には中央アジア、またはイランも含めたオリエント文明圏の一部だし、北部には国境を接するタジキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタンの三民族が多数居住し、2001年には「北部同盟」としてまとまって米国に協力、タリバンを政権から追い出した。中央アジアとは不可分の関係にある。
 そのタリバンが盛り返していることが、中央アジア諸国にも影響している。

 ①タジキスタンには、90年代の同国内戦時代にアフガニスタンに避難した旧難民が3000人(UNHCR推定)も帰国している。同時に、パキスタン軍攻勢でバジリスタンからあぶりだされた「イスラム解放戦線」のテロリスト達がタジキスタンに入り込み、故郷のフェルガナ地方(ウズベキスタン、キルギス、タジキスタンの領土が入り組む)で活動しようとしている。5月から7月にかけ彼らの活動が目立ったが、8月は特に大きな事件はなく、タジキスタン内政はおおむね平穏だったようだ。

 ②ウズベキスタンは目下、ロシアとの関係がねじれている。駐タシケント・ロシア大使はもう1年くらい空席だし、ロシアが旗を振って隣国キルギスのオシュ(ウズベク系住民が多い)に集団安全保障条約機構の即応展開軍を駐留させる動きには強硬に抵抗している。ロシアのメドベジェフ大統領は8月27日ウズベキスタンの独立記念日に当たってカリモフ大統領に祝電を送り、その中でCSTOと上海協力機構にもっと熱心に取り組んでくれるよう懇願する始末。
さりとてウズベキスタンは、2005年まで見せた過度とも言える米国寄りの姿勢にも復帰せず、大国の間でバランスをうまく取る術を習得したように見える。ウズベキスタンの外交政策は親米から親ロに、そしてまた現在の半分親米に揺れているように見えて、実は独立維持・強化という一本の太い線は一貫している。

8月の末にはペトレウス米中央軍司令官が来訪し、カリモフ大統領と本年2度目の会談を行った。彼は外務相、対外経済相、国防相とも会ったようで、一人で何役も兼ねているかのようだ。彼は、米国と、ウズベク軍人の教育・訓練協力についての文書に署名したが、これは小粒の合意だ。

 ③トルクメニスタンがアフガニスタン情勢との関連で報道されることはほとんどない。だが実際は、長い国境線を持ち、アフガニスタンへと至る道路も有しているのだ。永世中立国の建前上、アフガニスタンに関連してやっていることをあまりおおっぴらにしたくないのだろうが、実は早い段階から米軍機の領空通過を認めているのだ。

(6)ダイナミックな外交を、民族的故地シルクロード方面で展開し始めたトルコ トルコは最近、学者出身のダブトグル氏が外相になって以来、戦略的でダイナミックな外交を繰り広げている。これまでのタブー、障壁にこだわらず、問題解決に果敢に挑戦しては、トルコをめぐる国際的なフレームワークをトルコの有利に変えていこうとしているのだ。主要な舞台は近東、そしてコーカサス地域、そして斜めにEU加盟もにらんでいる。元々オスマン帝国という大帝国の末裔だから、その外交は端倪すべからざるものがある。

  アルメニアはオスマン帝国時代の恨みもあって、1991年の独立以来、トルコと国交を結んでこなかったが、8月31日にはスウェーデン政府仲介の下、①二国関係発展についてと、②外交関係樹立についての2議定書に署名した。これから6週間かけて両国で議論し、批准する。発効して2か月以内にトルコ・アルメニア国境を開放することになっている由。トルコ、アルメニア国境が開くと、不安定になったグルジアに代わってアルメニアを通って中央アジアの石油・ガスをトルコに運び込む可能性が開ける。将来はイランの天然ガスを、トルコを通って欧州へ運べるかもしれないのである。

  問題は、トルコと人種的に近いアゼルバイジャンが91年以来アルメニアと、ナゴルノ・カラバフ地方という飛び地(アゼルバイジャンの内部にある、アルメニア人の多い独立単位)をめぐって戦争さえしたことのある仲だということだ。アゼルバイジャンはアルメニアの対トルコ接近に対して早速、ロシアとの関係をやや強化し、バランスを取り始めた(但しトルコもロシアとの関係を最近増進しているので、アゼルバイジャンの旗色は芳しくない)。アゼルバイジャンはこれまで、多量に産する石油、天然ガスを主として西側に輸出してきたが、アルメニアは米国、フランスを含めて多数の移民を昔から送り、それぞれの国内でアゼルバイジャン以上の発言力を持っている。
ナゴルノ・カラバフ問題は現在、ロシア・西側数カ国が形成する調停グループによって解決への仲介がはかられているが、アゼルバイジャンはこのグループの意見がアルメニア寄りになることを防ぎたい。同国が10月に議会で採択する予定の初めての軍事ドクトリンに、アルメニアとトルクメニスタンが潜在敵国として書かれる可能性が指摘されるようになってきた。中には、アゼルバイジャンがナゴルノ・カラバフを攻撃する可能性すら指摘する向きもいる。

(7)ウィグル問題は中央アジアに未だ飛び火せず 
新疆地方では9月になってもウィグル問題が収まっていないようだが、新疆に接するカザフスタン、キルギス、タジキスタンはこの問題の火の粉がふりかかってくるのを今のところうまく防いでいる。キルギスではウィグル人によるデモがあったが、当局が検束してしまった。

(8)中央アジアへの関心を強めるインド
このところ、インドで中央アジアについての学会が開かれる回数が増えた感じがする。インドはもともと中央アジア文明圏の中にあるし、現在は中国の伸長を極度に意識するようになっているので、中国の裏庭である中央アジアに地歩を拡大しておきたいのだろう。9月の初めには、パティル大統領がタジキスタンをインド大統領として初めて訪問し、ビジネス・フォーラムを開いた。

(9)ロシアをふりまわす南オセチアのココイトゥイ「大統領」
 昨年8月グルジア戦争の舞台となった南オセチアでは、ロシア政府が大枚の資金を出して復興が進んでいることになっている。ところが金額の割には成果が見えないとロシア政府が苦情を述べると、南オセチアの利権を牛耳るココイトゥイ「大統領」はこれをはねつけ、また戦争になってもいいのかと言わんばかりの言辞を弄する。そうなれば、ロシアはまた世界中から非難されることになるので、黙って援助を続ける。
ココイトゥイン氏は、「Truso渓谷等、本来北オセチアの領土だった土地がグルジア領になっている。南オセチアが北オセチアに代わってこれを要求する」などとも言っている。北オセチアは南オセチアとは山を隔てたロシア領の共和国。南北オセチアが合併したりすると、隣のイングーシ共和国などとの以前からの紛争が再燃しかねず、これもまたロシアには歓迎できない発言だろう。大国ロシアの悩みは深い。

以下、中央アジア各国についての8月周辺の報道から主要なものをまとめておく。いずれもインターネットで得たもので、未確認情報であることを断っておく。

ウズベキスタン
(1)カリモフ大統領はもう71才になるが、元気なようだ。9月1日恒例の独立記念式典で彼は民族舞踏を踊りまくり、会場をまわっては外交団長のトルクメニスタン大使とも踊って見せた由。

(2)09年上半期、ロシアが最大の貿易相手国(但し旧ソ連諸国はロシアも含めてウズベクの貿易全体の40%以下になっている)。20億ドル以上になり、全体の19.6%相当となった。これは08年上期より6.5%増である。ウズベクの対ロ輸出は10.7億ドル、輸入は9.9億ドルで、ほぼバランスしている。
ウズベクの全貿易額は105億ドルで、輸出は60億ドル、輸入は44億ドル。貿易黒字が大きい。黒字のほとんどは旧ソ連諸国以外との貿易で稼いでいる。
全貿易額中、スイスが12.3%、中国11.1、ウクライナ7.5、カザフ6.9、韓国4.7、アフガン3.2、トルコ2.4、ドイツ2.3、米国1.2%を占める。

(3)7月31日、イスラムの高僧アンヴァル・トゥルスノフ師が自宅付近で暗殺未遂にあう。同人はこれまでワハビズムとヒズブタフリルを強く非難してきたので、ヒズブタフリルによる犯罪との説が強い。7月16日にはタシケントのメドレセの次長Abror Abrorov(36歳)が殺されている。

(4)8月29日夕、タシケントの数か所で警官と何者かの間で撃ち合いが発生した。
「8月29日、タシケントで最近の犯罪事件の犯人が警察に抵抗して2名射殺された」との報道があった。

(5)通貨スムの減価が進んでいる。2003年頃にはヤミ・レートがなくなっていたのが、復活している。7月末公定レートは1ドル=約1500スムだったが、ヤミでは約1900スムなのだそうだ。公定レートでの両替所は開いているそうだが、最近ではマフィア勢力が殊更に行列を作り、一般客をはじき出しているそうだ。
現金が出回りすぎていて危険だと言う専門家もいる。1月、2月にはスムはドルに対して35~40%下がった。ロシア、カザフスタンの通貨がドルに対して大幅に切り下がった以上、ウズベキスタンも下げないとロシア、カザフスタンとの貿易が成り立たなくなるという事情があったろう。無利子の消費者ローンを供与して、国民に国産耐久消費財を買わせ、余分なスムを引き上げることが提唱されたりしている。

カザフスタン(1)内政、外交は安定しているが、この国の国力の基盤をなしていた好調な経済が、石油価格暴落、西側での貸し渋りを受けて、困難に直面している。2月には大手のBTA銀行がいったん国有化された上で、ロシアのズベル銀行に売却された。
報道によれば、2008年の予算の30%は、これまで石油輸出収入に課税して積み立ててきた国民福祉基金を取り崩したものである。
ムーディーズは、「西側からの融資借り換えが相変わらず難しいため、カザフスタンの銀行の財務状態はまだ悪い。既にBTA、Alliance、Astana-financeが破綻した。事態は悪化するだろう」と発表している由。
8月には政府は、個人顧客をめがけて特別な国債を発行する予定であることを明らかにした。額面が10ドルで、購買日のレートの現地通貨テンゲで払い込む。当面総額150億テンゲの発行が予想されている。銀行預金を食わないよう、預金金利以下の5.49~7.3%の利回りが設定されている。

(2)8月末、中国のGuanhui社が、カザフスタンのザイサン地区の石油企業の株49%を買収した。これにより、カスピ海から中国への3000キロのパイプラインで年間1000万トンの石油を送るというこれまでの協定を、年間2000万トンに倍増することで合意が成立した由。中国は4月にも、カザフスタンに100億ドルの借款を供与しており、攻勢が目立つ。

キルギス
(1)8月、Ittipakウィグル協会の会長アクバーロフ氏と副会長ナスィロフ氏はデモで強い中国非難を行い、当局に拘束された。Ittipakウィグル協会は今年、20周年。

(2)CSTOの即応展開軍が駐留することとなったオシュには、既存の施設がある。しかし部隊の駐留に向けて整備するのに2.5億ドルはかかるだろう。これでロシア軍は、タジキスタンに常駐している201師団に、ウズベク領を経由せずに補給ができるようになる。ウズベク外務省は8月3日、「オシュにおけるCSTO部隊の駐留は、地域の情勢を不安定化させる」という覚書を関係各国に配布した。

(3)キルギスにおける軍事基地をめぐっては、ロシアが米軍をマナス基地から追い出すべく工作してきたが(結局米軍は居残り)、国境を接する中国がこの件について何も発言せず、何もしていないことが目につく。陣取り合戦に加わる大義名分も必要もないと思っているのだろう。賢明な政策だ。

タジキスタン
(1)8月1日、ドシャンベでタジク、ロシア、パキスタン、アフガンの首脳会議が開かれた。共同声明では、「上海協力機構の傘の下で経済協力を進める」という個所もあるが、そのわりには中国が言及されておらず、中国外しに見える。ロシアのメドベジェフ大統領はこの4カ国間協力を「ブランド」にしたいようで、何回も「上海協力機構の下で」と繰り返しながら、4カ国を代表するかのように諸外国、国際機関の支援も受け付けると表明した。まるでロシアが上海協力機構のオーナーであるかのようだが、ロシアが「一極支配」だとして非難するアメリカでさえ、このようなやり方はしないものだ。

(2)タジキスタンの東部の山岳部にはアフガニスタンからテロリストが移住してきて(UNHCRによれば、テロリスト以外の難民数は3000名ほど)は、7月には政府軍との間で小競り合いが起きたりしているが(7月中旬戦死した5名のテロリストの中には、ダゲスタン人2名、チュメン、サンクト・ペテルブルク出身のロシア人が2名いた由。これについては両国とも沈黙)、8月にはテロリスト征圧作戦は終わり、道路も開通し、政府軍部隊はドシャンベに帰還した由。
 上記(1)首脳会議の直前、都心と空港2カ所で爆破事件があったのだが、ラフモン大統領はなにごともなかったかのように8月8日、休暇でチェコに出発した。それに先立つ1週間前には、ドシャンベ東方の「サントゥーダ・ダム」発電所をメドベージェフ大統領とともに「稼働」させている。ここはタジキスタンが消費する電力の12%を産出する。

(3)ラフモン大統領はまだ56歳だが、最近長男のルスタム・エモマリ(22歳)が目立つようになっている(弟ソモンは10歳)。ラフモン大統領には7人の娘、2人の息子がおり、これまでは妻の兄弟ハサン・サドゥラーエフが後継者と目されてきた。
ルスタムは、ラフモン大統領と上記(1)のロシア、パキスタン、アフガニスタン大統領との4者首脳会談でも、青年同盟副議長として出席した。2010年2月の総選挙で議員に推薦されるものと思われている。
彼はロシア、ドイツに留学し、タジク国立大では国際経済関係を専攻した。モスクワでカジノを経営していた。現在は、国家投資委員会、国家資金委員会でも勤務している由。そして誰も彼のボールを奪おうとしないため、サッカーの「名手」と言われている。
昨年5月には、200社を経営するタジキスタンの渋沢栄一のような叔父、ハサン・サドゥラーエフ・オリオン銀行頭取を狙撃したと言われる。

トルクメニスタン
(1)9月13日、カスピ沿岸のトルクメンバシでトルクメニスタン・ロシア非公式首脳会談が行われた。ロシアからトルクメニスタンへのトラック・カーレースの決勝点に両首脳が集まったもので、このレースはロシア製KAMAZトラックの販促を目的としている由。両首脳は4月から止まっているトルクメニスタンの天然ガスの対ロ輸出再開問題について前向きの感触をにじませるも、購入価格問題でつまずいて合意には至らなかった。
 9月初め、ガスプロムのミルレル社長は、「トルクメニスタンとの取引は民間契約ではなく、政府間協定でやってほしい」と述べ、さじを投げている。

(2)8月、ベルディムハメドフ大統領はブルガリアとトルコを訪問した。ブルガリアでは「ナブッコ」参加の意向を打診している。
ロシアが4月初めにトルクメニスタンの天然ガス輸入を止めて以来、トルクメニスタンは血眼でロシアに代わる輸出先を探している。何しろ天然ガス価格が高騰した08年、これを輸出して政府が得た資金は歳入の80%にも及んだのだから。

(3)最近、トルクメニスタンとアゼルバイジャン間の関係悪化についての報道が多い。
資源の豊富なカスピ海底での国境線が確定していないことが基本的原因だ。トルクメニスタンがカスピ海岸に「海軍基地」を作るという報道がアゼルバイジャンに流れて大騒ぎになったりした。
こんなことでは、トルクメニスタンの天然ガスをカスピ海の海底にパイプラインを通してアゼルバイジャンに運び、そこから更にグルジア・トルコ経由で西欧へ輸出することなど不可能だ。ロシアを通るパイプラインに依存しない「ナブッコ計画」などまだはるか先の話になる。トルクメニスタンはどう動いてみても、天然ガスの売却相手としては当面ロシア、中国、イランの三者しかいない。

(4)8月末、ウクライナが建設していた、アム川のAtamurat---Kerkichi間の鉄橋がようやく完成した。全長1414米の長大な橋で、これによってアム川の右岸に存在することが探鉱されている大ガス田を開発しやすくなる。

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