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日本・歴史

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2019年6月 1日

天照大神は伊勢神宮に 疎開 したままなのか

(これは4月22日発行のメルマガ「文明の万華鏡」第84号に掲載したものです)

天皇家は「祭祀」を司ることになっている(そのことは、憲法にまで書いてある。本来プライベートであるべき祖先への祈りを、国事にしているのだ。明治時代の発想の名残りでないか?)。そしてそれは神道の祭祀、天照大神を祀るものだと思われているのだが、疑義がある。まず、「神道」というのは明治維新を実現した薩摩、長州の連中が系統化したもので、それまでは一種の祖先崇拝の礼の域を出なかったはず。持統天皇以来、室町時代まで天皇は死後、火葬に付され、仏式で法要を受けていたし、江戸時代の天皇の多くは京都の菩提寺である泉涌寺に葬られている。

 そして日本書紀を見ると、西暦300年頃の崇神天皇の個所に、天変地異が相次いだので天照大神を宮中から出し、居所を転々とさせたあげく伊勢に落ち着かせたことが書いてある。当時、地元で勢力を張っていた豪族の三輪勢力(現在の大神神社が祀る、大物主の神を祀る。これは竜蛇の神と言われる)と、実質的に連立政権を樹立するための妥協であったのかもしれない。三輪勢力は出雲からやってきたと主張する学者もいる。

歴代の天皇は持統天皇を最後に、明治2年までこの伊勢に行幸していない。そして今回、天照大神に退位を報告するには宮中での祭祀では不十分なのか、4月18日伊勢神宮まで出かけて行かれた。それも三種の神器のうち剣と璽を持って。もう一つの八咫鏡は、伊勢神宮の御神体となっている。だとすると、天照大神は古代の大和・三輪連立合意を守って、相変わらず伊勢神宮に住んでおられる、ということなのか?
 そういうことを思わせる、平成天皇・皇后両陛下の伊勢神宮参拝だった。

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