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北朝鮮

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2017年8月30日

パラダイムの変化3 日米同盟の相対化

(これは、8月23日「まぐまぐ」社から発行したメルマガ「文明の万華鏡」の一部です。全文にご関心の向きは、http://www.japan-world-trends.com/ja/subscribe.phpで購読の手続きをお願いします)

北朝鮮のICBMが、日米同盟転換の引き金を引くかもしれない。

日米は「同盟」とは言いながら、1951年日本の独立回復と引き換えに結ばれた「第一次安保条約」は、実質的には米軍による日本占領の継続を合法化しただけのような代物だった。この条約には、米国が日本を防衛する義務のことは何も書いてない。米軍は血で贖った日本の基地を、ソ連、中国に対抗するための格好の橋頭保として確保したのである。

これを何とか苦労して1970年、条約を改定した結果、米軍による日本防衛の責務を確保したのが岸総理で、その後日本は関連法を整備、一貫して対米立場の向上に努めてきた。

しかし1991年ソ連が崩壊し、新生のロシアが自由、民主主義、市場経済を標榜して西側に擦り寄って来た時、冷戦は終わったし、中国も対外開放政策に乗り出してきた時期だったので、日米同盟はその対象をしばし失った。その後2008年リーマン世界金融危機で米国の力が一時後退すると、中国が軍事力増強を背景に自己主張を強めたし、北朝鮮が核ミサイル開発を進めたので、日米同盟はその有効性を取り戻した。

しかし今、日米同盟はいくつかの面で転換点にある。一つは、朝鮮半島から米軍が去る日が近くなってきたのではないかということだ。米国は北朝鮮を武力攻撃することは結局控え――韓国、日本が報復攻撃を受ける――、話し合い、つまり朝鮮戦争を最終的に集結するための平和条約を結ぶ方向に行くだろう。平和条約が結ばれれば、米軍は韓国に駐留する正当性を失って撤退するだろう。その時朝鮮半島では再統一への力学が働いて――一般に考えられているところとは正反対に、その時はむしろ北朝鮮の方が強い立場にあるだろうが――、朝鮮半島にロシア以上のGDPを持つ大国、それも核兵器を持ち、日本に敵意を持つ大国が誕生する

次なる幕は、北東アジア諸国の単なる見栄と意地の力比べ、歴史上の恨みの精算の場だ。中国の経済が大崩れしなければ、アジアは昔の中華圏復活の様相を強め、米国も中国のルールに従わざるを得なくなるだろう。反中姿勢の強かったバノン首席戦略官はホワイト・ハウスを去り、トランプの娘で側近のイヴァンカ夫妻は9月に訪中しようとしている(秋に予定されるトランプ大統領の東アジア諸国歴訪の露払いであるが)。

日本、米国は、アジアがもたらす脅威と利益、その双方を見つめ直し、その上で同盟関係を再定義する作業を静かに始めるべきだろう。それは、「敵」を想定して対抗するより、バランス外交を前面に出したものになるだろう。米国の嫌いな人も日本には大勢いるが、日米双方とも一国だけでは、アジアでの脅威に対処し、利益を確保するのは難しいのである。

この時「核の傘」をどうするか。今の世界では、核兵器は防御兵器となっていることを念頭に置くべきだ。核ミサイルを振りかざして領土要求や金銭の要求をしてくる国家はない。北朝鮮は自分の政権をつぶされないための抑止手段として、核ミサイルを開発しているのである。統一朝鮮が出現しても、核ミサイルを振りかざして慰安婦問題での譲歩を迫ってくるようなことはしないだろう。「相手が核を持っているから、こちらもすぐ核、あるいは核の傘を」とはならないかもしれない

1923年、日英同盟は延長されずに消滅したが、これは米国が英国に働きかけて(というのは、米国が日英同盟の標的になりかねなかったので)1921年、日英米仏による4カ国条約を結ぶことで、「日英同盟は4カ国条約に発展解消」という体裁を提供したからである。

今日、これにならって、日米韓中露の5カ国による相互不可侵条約でも結ぶか? それは危ない。というのは、4カ国条約は日本が満州を占領したのをきっかけに、無力さを露呈したからである。合意を担保する、つまり合意を破った国に対する制裁等の制度を持たない集団安全保障条約はこのように儚い。日米韓中露の5カ国条約を結んでも、尖閣等をめぐって武力衝突が起こるのを抑止することはできない。それよりは、現在中ロ、そしてロシア・北朝鮮間にある、同盟関係に限りなく近い、善隣友好協力条約の方が参考になる
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