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日本安全保障

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2015年1月31日

新 外交官の仕事 を出版します

10年前、草思社から「外交官の仕事」を刊行し、ご好評を得ていますが、今般草思社文庫の創設に伴い、文庫版として明日発売の運びになっています。10年も経ちましたので、内容は大幅に改定し、論旨も整理してわかりやすいものになっております。書店等でお求めいただければ幸甚です。

この本の趣旨は次の「はじめに」で述べてあります。その後、目次が続きます。

この本は、「外交官とは何する人ぞ?」という疑問を日頃持つ人たちに応えるためのものである。外国語もできない普通の若者がどうやって「外交官」になり、毎日どんな思いをして、どんな仕事をしているのか、日本の外交政策はどのように作られ、どのように実行されているのか、その実像を述べてある。

九年前に初版を出した頃は、外務省職員の不祥事件、ロシアとの北方領土返還交渉や国連安保理常任理事国化の挫折など失敗が重なった時期だった。外務省や外交官はほとんど国賊扱いで、日本の外交にはすべて×の印が貼られた。

しかしそれも行き過ぎで、日本の外交、外交官にはいいところもある。多くの予算を使って外交官を養成し、外交体制を維持している以上、これを全否定するより、活用することを考えた方がいい・・・僕はそのようなことを考えて、この本の初版を書いた。

それから九年、民主党政権の時代、人々は戦後・自民党政権時代のすべて、外交面では特に「対米依存」を告発し、否定することに夢中となった。そして民主党政権が大失敗で終わったあとの今、人々は今度は安倍政権にすべてを丸投げ、政治から手を引いてしまった感がある。電車の中でも新聞を読んでいる者は稀になり、中国にGDPで抜かれて以来、外の世界に対する関心もめっきり減った。

台頭する中国とバランスを取るためには、自前の外交を強化しなければならない。そして企業も外国で生産、販売を強化しなければならない。日本の職場でも外国人が増え、外国語が飛び交う時代になっているのに、内にこもったままでは、外国人たちにいい(・・)とこ(・・)取り(・・)をされ、日本人にいい仕事は残されなくなる。日本で生活するのに精いっぱいで、外国どころではない、ということなのかもしれないが、今ではその外国との関係が日本人の生活水準を大きく左右するものになっているのである。

だからいずれ、日本人は外国や外交への関心を取り戻すだろう。その時に、外交や外交官について事実と違ったところから出発しないように、この本を活用していただきたい。初版後の歳月の経過を考え、データも叙述も一新し、論理の流れもトリムしてある。
この本はもともと、草思社を設立した加瀬昌男会長の励ましによって出来上がったものである。その後同会長は残念ながら天寿を全うされたが、彼との共作と言ってもいいこの本が文庫として新たに長い生命を獲得したのは本当に喜ばしいものがある。


目次

はじめに

第一章 大使館とは何をしている(いない)ところなのか
  外交官は異界の住人?
  「外交」とは競争と貸し借りの世界
  日本の大使館では何をやっているのか、いないのか
  「外交官」というのは永遠の職業か
  外交官七変化
  「大使」の仕事は面白いか
  華やかなる疲労----外交官同士の付き合い
  華やかなる過食----会食あっての外交
  濫用できない特権

第二章 日本の外交官はどうやってつくられているか
  「外交官試験」をめぐる虚々実々----今は公務員試験
  青春の思い出、そして一生の出発点----「在外研修」
「自由の国アメリカ」で
モスクワ大学文学部

第三章 本国にいる時の外交官----陸に上がった魚?
  自分の国でカルチャー・ショック
  外務省の機構
  「担当する」とはどういうことか
  下克上、梁山泊
  国会エレジー
  歴史は夜つくられる

第四章 日本が持っている情報
  情報なくして外交なし
  外務省の情報収集
  情報収集のノウハウ
情報収集にはイマジネーション(想像・創造力)を
  情報担当者が政策を牛耳ろうとする危険性
  本省での情報処理体制は?
  日本にも諜報機関を?

第五章 日本外交の資産としてのODA
  ODAとは何?
  経済インフラを整備できる円借款
  バラエティ豊かな無償資金協力
  日本しかやっていない「草の根・人間の安全保障無償」援助
  日本人の顔が見える「技術協力」
  マルチの援助----国際機関を通じての援助
  ODAも消化能力に見合って
 一筋縄でいかない途上国の現実
「発展」は可能なのか、必要なのか
「要請主義」のプラスとマイナス
 「資金をちゃんと使っていることの証明」=アカウンタビリティの問題
  日本との意識の落差
  独裁政権を助けていいのか
  ODAはもっと総合的に----経済協力庁は必要か
 「援助大国・中国」の登場

第六章 「文化立国」? ----外交の手段としての文化
  歌舞伎、能、相撲、コンサート、展覧会、そして花火......
  地味でも大事な日本語教育
  流行の「コンテンツ」輸出----ソフト・パワーの最たるもの
  世界との人脈づくり
  文化交流の虚実
  外交官と文化交流

第七章 外交官の人事
  人事のメカニズム----ナマの人間が人間を評価する難しさ
  何を生きがいに働くのか
  「外交官」は毎日どんな気持ちで生きているのか
  異質な価値観の狭間で生きていく方法
  日本の外交官は国際標準に達しているか
  人事制度の抱える問題
  ゼネラリストと専門家のあつれき
民間からの「登用」
  政治家との間の距離の取り方

第八章 交渉と政策決定の過程
  交渉----海図のない航海
交渉の現場
  国際会議----マイクを握る怖さ、楽しさ
  交渉の参謀本部は東京
  官僚体制と戦略と
  ロシア、中国----社会主義のDNA
  ロシア人、中国人も同じ人間
  交渉、その歓びと哀しみと
交渉を攪乱するもの
陳情スタイル外交は足元を見られるだけ
  外交官、役人の仁義
  法的なアプローチと政治的なアプローチ
国益、戦略を実現するには

第九章 「直接民主主義」の時代の外交
  「海外広報」とは?
  「広報」----あの手この手
  「水を飲まない馬」----広報エレジー
  談話、会見、ブリーフィング----広報の修羅場
  広報とはナンボのものか
  広報とは「思い込み」を操ることと見つけたり
  日本の世論と外交の関係
  「ツイッター型直接民主主義」の時代----「国民国家」の諸装置の老朽化
  日本の世論の特性は?
マスコミのトリセツ

第十章 日本に「戦略」はあるか
 民主主義国家が一貫した戦略を持つ難しさ
 パラダイムの変化----「国家」という枠組みはなくなるか
 新しい時代の外交官
 アジア回帰か日米同盟か
 世界の建設にもっともっと貢献したらいい

あとがき

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