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2013年6月10日

ユーラシア情勢バロメーター(中央アジア 12年11月~13年5月)

ユーラシア情勢バロメーター 中央アジア 2012,11~2013,5

今の中央アジアでは、下記の諸点をめぐって安全保障環境が流動的であることを背景に、ウズベキスタン、カザフスタンを中心に国際関係が変わりやすい。一時ナザルバエフ・カザフスタン大統領、3月にはカリモフ・ウズベキスタン大統領の健康悪化の噂が流されたが、いずれもその後健在である。中央アジア諸国首脳健康悪化説は、ロシアとの関係が悪化すると現れやすい。

これまでロシアとの関係が良好だったカザフスタンでも、ロシア、ベラルーシとの関税同盟で一人割を食っていること(関税同盟に加入して、外部に対する輸入関税が上がったため、国内価格が上昇してしまう)、2015年までに「ユーラシア同盟」を作ることを至上課題とするロシアが種々圧力をかけてくるのにキレ始めていることなどから、ロシアに対する不満が増大しているとも伝えられる。

またトルクメニスタンのベルディムハメドフ大統領は4月末、競馬に出場して落馬し(ユーチューブで見られるが、ひどい落馬の仕方だ)、その後一時出現した後は鳴りを潜めている点が気にかかる。タジキスタンでは11月に大統領選が予定されており、ラフモン大統領再選が確実視されているものの、新たな政党が結成される等、情勢には動意が見えている。

なお、中国が政権移行期にあったこともあって、この時期には上海協力機構について動きがほぼなかったことも特徴的である。

①2014年に向けてアフガニスタンの米軍、NATO軍が撤退するが、2014年には同国で大統領選挙も予定されているので、タリバン政権復活も含めてアフガニスタン情勢がどうなるかわからない。
②アフガニスタンから撤退する米軍が兵器を中央アジアのどの国にどのくらい残置・売却・供与するかがまだ未定である。
③ロシアが「2015年までに『ユーラシア同盟』を結成する」ことを目標に締め付けを強めている。
④タジキスタン、キルギスを中心に、中国のプレゼンスが急増している。

アフガニスタンに2014年以降も米国がどの程度関与していくつもりかによって、中央アジア諸国に供与される兵器も決まっていく。ただアフガニスタン、中央アジアは内陸の地なので兵站が不安定なため、米国はここにプレゼンスを残していくことに確信を持てないでいるようだ。たとえばキルギスのマナス空港などは、中国、ロシア双方ににらみを利かせることができる理想的な地理的位置にあるのだが、兵站の面からは非常に脆弱で、米軍を置くとかえってロシアあるいは中国の人質になりかねない。

但し米国にとっては、プレゼンスを確保するのに軍は必ずしも必要ではあるまい。ロシアの中央アジア専門家クニャーゼフ等は、米国が中央アジアにおける諜報組織を増強しつつあることを指摘している。確かに諜報組織があるだけで、米国は中国の新疆地方に対してにらみを利かせることができるだろう。

以下、項目毎にいくつか注目される報道を並べ、コメントを付することにしたい(と思ってキルギスのところまで書き進めたら、間違って随分消してしまったのに嫌気がさして、途中で尻切れになっているが)。

ウズベキスタン
・3月末、カザフスタンのIdrisov外相がウズベクを訪問し、来るべきナザルバエフ大統領の久しぶりのウズベク公式訪問の準備を行った。カリモフ大統領とも会っている。ナザルバエフ大統領は7月にウズベキスタンを訪問すると報道されており、その際「戦略パートナーシップ協定」の署名が予定されているようである。すでに「永久の友好についての条約」はあるのだが、両国とも相手をロシア、中国なみの重要性を持った相手として認識するということである。ウズベキスタンとカザフスタンはこれまで中央アジア地域での主導権を奪い合う感があり、両国首脳の公式訪問は長年行われていないので、この動きは一定の意味を持っている。

ロシアは「ユーラシア同盟」設立に向けてカザフスタンへの締め付けを強め、これにカザフスタンが反発しているとも言われているので(ロシアはソ連時代の政治スタイルに里帰りする傾向を強めているので、旧ソ連諸国に対しても同様の出方に出ている可能性がある。カザフスタンと並んでユーラシア同盟の核となるベラルーシは最近、ロシアの経済利権下にますます組み入れられつつある)、カザフスタンがウズベキスタンに歩み寄る可能性もあるのである。

・ただ4月15日カリモフ大統領は訪ロして、プーチン大統領とも会談している。「米軍がアフガニスタンから撤退した後の脅威」を両首脳とも強調し、安全保障面での協力を打ち上げた。ウズベキスタンは、ロシアを中心とした集団安保機構CSTOへの参加を「停止」しているが、安全保障面ではロシアとの緊密な協力を続けている。12月訪ロしたカミロフ外相はラヴロフ外相と、「ウズベキスタンに米軍基地は置かない。ロシアとは二国間で安全保障協力をやっていく」ことで合意している(12月19日付コメルサント紙)。カリモフ大統領はアメリカの対アジア・太平洋「ハブ・スポーク方式」を勉強したのかもしれない。ウズベキスタンにしてみれば、意に染まない協力を強制されかねないCSTOよりも、完全にコントロールが利く二国間の協力の方が望ましいのであろう。

・そしてカリモフ大統領は、ウズベキスタンが「NIS自由貿易地帯条約」に加入するにおける条件をつめた。5月31日ミンスクで開かれたNIS首脳会議で議定書が調印され、ウズベキスタンはこれに正式に加入した。これは、ロシア、ベラルーシ、カザフスタンが作った「関税同盟」、そしてその後それが深化した「単一経済空間」に入りたくない旧ソ連諸国のために用意された、もっと緩い取り決めで、5月31日の首脳会議ではウクライナも「オブザーバー」としてこれに入っている。ウクライナはEUとの提携強化の二股をかけているので、このような煮え切らない対応となっている。

・3月、「カリモフ大統領重病」説が流された際、後継論議がまたひとしきり盛んになった。その中で面白かったのは、これまでも「後継者」として自他共に認められてきた大統領の長女グリナーラ(後継としてふさわしい行政経験を積まされていないことを指摘する報道もある)が、自分のツイッターで、同じ後継者有力候補と言われてきたアジモフ第一副首相の悪口――腐敗しているとか――を書いたと言われることである。彼女のツイッターをフォローしているわけではないので、真偽のほどはわからない。もう一人、ミルジヨエフ首相について興味ある報道があった。彼の娘婿はウスマノフと言って、ロシアでも今や指折りの政商となっているウズベク出身アリシェル・ウスマノフの甥(アリシェルの後継者だった)なのだが、5月20日の新時代誌によると、この人が5月8日タシケントで交通事故で亡くなったというのである。諜報機関や暴力機関の発達した国々では、交通事故が事故でないことがある。

・2月25日のロシアRIA通信によると、ウズベキスタンの人口が3000万人を超えた。筆者が勤務していた2004年頃は2500万人だったので、10年間でずいぶん増えたことになる。そして2012年には、都市人口が初めて農村人口を超えた。

・2月17日の Ferghana.ruは面白い記事を掲載した。アフガニスタンの米軍、NATO軍がその兵器の一部を撤退の際、アフガニスタン政府や中央アジア諸国に贈与、あるいは払い下げしていくということはほぼ既定の事実なのだが、ウズベキスタンは彼らが領内の鉄道を通って欧州へ引き上げる際の料金をふっかけることによって、重い大型兵器を自分のところに置いていかせようとしている、というのである。ウズベクは攻撃ヘリコプター、無人偵察機、地雷突破装甲車等を狙っているそうだ。英国は中央アジアを経由して11000のコンテナを搬出するが、うち40%はウズベク軍に渡されるという観測もある由。確認したわけではないが、パキスタンにせよ、中央アジアにせよ、ロシアにせよ、そういうことをやりがちな国ではある。

・2月7日付centrasia.ruによれば、ウズベキスタンは中央部と東部のフェルガナ盆地を、タジキスタンを経由せずに結ぶ鉄道の建設を計画中だそうだ。中央部と東部の間には高い山脈があって(このあたり野生チューリップの発祥の地なのだが)鉄道は通れない。鉄道は南のタジキスタン領を経由してフェルガナに入る。カリモフ大統領はタジキスタンに依存するのを嫌い(タジクに年間2500万ドルをふんだくられていた)、もうこの5年、中央部の油田とフェルガナの精油所の間の原油運搬も、山越えのタンク・ローリーでやっている。今度はトンネルを掘ることで、山越えの鉄道を作るということだ。それでも傾斜はすごいことになると思うので、できるのかいなと思ってしまう。全長129キロ、トンネル2つ、工費は19億ドル。2014年には着工して5年で完成する予定だそうだ。。

・鉄道関連で言うと、ウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタンの三国は、ソ連時代に作られた鉄道が互いの領土を経由してまた自国に戻ってくる路線が多いことに閉口(税関等で時間がかかる)、自国内だけで完結する路線を作ろうとしてきた。またタジキスタンは外界(と言ってもロシア)と結ぶ鉄道は二つしかなく、二つともウズベキスタン領を経由している。ウズベキスタンは種々の理由で時々この鉄道を止めるので(昨年秋にはレールまで撤去したそうだ)、タジキスタンにとって「ウズベクを通らずに外界に出られる鉄道」を作ることは悲願なのだ。

またキルギスは北部の首都ビシケクとウズベク系の多いオシュなど、南部フェルガナ盆地の間を結ぶ鉄道がない。間に高い山脈が貫いているので、ウズベク領を迂回しているのだ。だからキルギスは南北を結ぶ鉄道の建設を悲願としていて、中国を当て馬にしてロシアに建設させようと策している。中国は既に「中国―キルギスーウズベク」路線を提案しているのだが、これはキルギス内部で政治的な(と言うか、中国から何ももらえない政治家たちから)反対を受けている。

そしてこれに含まれないタジキスタンにとって、この案は最悪なので、タジキスタンはタジキスタンでキルギスを引き込んで(と言うのは、タジキスタンは今ロシアと関係が良くないので)ロシアーカザフーキルギスータジク路線を作ってもらおうとしている。タジクのあとこの路線はアフガニスタン経由でトルクメニスタンに入り(ウズベキスタンを外してあるのがミソ)そこからイラン経由でペルシャ湾に出る。この件は、5月28日ビシケクでのCSTO非公式首脳会議でアタムバエフ・キルギス大統領が持ち出し、ロシアはフィージビリティ・スタディーまで約束させられた(5月30日 24kg.org)。ロシアは、中国を見せ球にされては、中央アジアからいろいろ絞られているのである。

・12月26日のcentrasia.ruによると、ウズベキスタンの天然ガス生産は2011年4%減少し、630億立米になったそうだ。そして最近ロシアのガスプロムと結んだ契約では、これまでの年間90億立米の輸出量が75億立米に落ちた(千立米あたり253ドル)。そして2012年、中国への輸出量は20億立米程度になるだろうと見られている。ウズベキスタンは中央アジアの中ではロシアに対する最大の天然ガス輸出国だが、生産量の減少、中国への輸出増、西欧でのロシア・ガスへの需要低下で、ロシアへの輸出量が減ったのだろう。

・12月11日のCentrasia.ruによると、ウズベクでは2013年から英語が第1外国語になり(ロシア語の扱いは不明)、中学から必修になる。いくつかの科目は英語で教えられることになる。ウズベキスタンには9800の学校があって、450万の児童がいる。ウズベキスタン人は語学習得能力が高いから、生徒はいいだろうが、日本と同じで先生が困る。大学でさえ、「英語での授業」が奨励されて、英語のできない教授達は悲喜劇を繰り広げているらしい。
他方、ロシアは2012年12月から、出稼ぎ者に(ウズベキスタン、タジキスタン、キルギスからの出稼ぎ者は多い)ロシア語テストを義務づけるのだそうだ。
(未完)

コメント

投稿者: Cartier love bracelet couple 18k white gold | 2015年1月 6日 12:32

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