Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
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世界はこう変わる

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2007年5月 3日

中国はとっくに世界一金持ちの国

 アメリカは移民国です。だから、社会のルールは簡単で透明なのでしょう(中流以上の社会では、書かれていないしきたりや、根回しなどもありますが)。レストランのウェイターでも、無愛想な感じの男が実は丁寧で礼儀正しかったり、インドネシアから裸一貫でやってきて中古のリンカーンを買い、それで個人ハイヤーをやって(免許取得手続きは透明で簡素な由)一家を養っているような例が目に付きます。

 小生が今回アメリカに行ったのはスピーチをするのが主な目的で、錆びてしまった英語をなんとかしなければと思って、タクシーの運転手を練習相手に選んだのです。ところがこれが移民社会の負の面で、タクシーにいくら乗っても正調の英語をしゃべる運転手に一人もめぐり会えず、舌はすっかり強張ってしまった次第です。インドネシアの「Banker」出身だったり、中国人、レバノン人、フランス語圏のカナダ人、ハイチ、ナイジェリア出身、という具合で。

 でも、彼らの陽気さ、地に足の着いた感覚は大変面白いので、随分だべりました。その中で秀逸なのを一つ御紹介します。ボストンで乗ったタクシーの、ハイチ出身の黒人運転手です。もともとカナダに移住していたのが、「女にくっついてボストンに来たのさ。何かあるのはいつも、女のせいだろ」ということでした。

(ボストン大学のところにさしかかると、道端に自分の友人を見つけたようで急に)
「おい、あれを見ろよ!あいつキリスト教徒のくせに女をじろじろ見てやがる。キリスト教徒は、女を見たら目をつぶるもんだ」
「俺は日本人だよ。I am not religious。中国人と同じ。信じているのは金なのさ」
「アッハッハ。俺の友人は中国人だ。なんだ、アイツ、金しか信じてないのか。言ってやろう。中国人は日本人が嫌いなんだな」
「だけど日本に来たがる」
「なぜ?」
「金を稼ぐためさ」
「・・・。日本の方が中国より金持ちなのか?」
「世界でNo.2だぜ」
「What? じゃ、No.1はどこだ。中国じゃないのか?」
「・・・・・・!?」

(以上です。この手の話は拙著「意味が解体する世界へ」(草思社)にも多数収録してあります。是非アマゾン等にご注文下さい)

コメント

投稿者: 勝又 俊介 | 2007年5月 5日 03:11

北京のど真ん中でタクシーに乗っても、運転手さんはたいがい地方から出てきている方や(運転席の前に置かれている名前のカードを見ると、新彊ウイグル自治区や内蒙古自治区などから来ていると想像される方もかなり多いです)、北京まで2~3時間かかるようなところに住んでおられる方だったりしますので、方言やイントネーションも様々ですし、スムーズに会話が進むこともなかなか少ないのですが、河東先生が書いておられるように、「地に足のついた感覚」から語られる話が面白くて、ついつい話しかけてしまいます。
昔は、中国でも最も優秀な学生が日本に留学していたようですが、いまは優秀な学生の留学先は完全に欧米にシフトしていますし、彼らがどんどんITビジネスで成功を収めていますので、世界一金持ちの国、なんていうイメージも「実感値」としてはかなりリアルなものかもしれません。留学というかたちでアメリカに渡ったというわけではないですが、現在世界を席巻している「YouTube」の創業者・スティーブ=チェン氏も、台湾系アメリカ人ですし。


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