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2011年10月11日

ロシアがユーラシア大陸を席巻 プーチン首相の新構想

今日、ロシアのプーチン首相が辛亥革命100周年を祝っている中国を公式訪問する。彼は9月24日、「何年も前から決めていたこと」として、メドベジェフ大統領を差し置いて自分が次の大統領選に出馬するのだと、言明したばかり。ロシア民衆は「密室政治」だと憤慨し、政治に透明性が欠如していることでは人後に落ちない中央アジア諸国においてすら揶揄されながらも、「他にましな政治家もいないので」ロシア人の大半は消去法で彼に投票することになるだろう。そしてプーチンは10月3日、かつてのソ連政府機関紙「イズベスチヤ」に「ユーラシアのための新しい統合計画」と題する論文を寄稿して、自分が大統領になったら「ユーラシア連合」を立ち上げるのだ、とぶち上げた。

ロシアはベラルーシ、カザフスタンと関税同盟を立ち上げ、1年少し経ったばかり。これさえ多くの問題を引き起こしているというのに、プーチンはこれを2012年には「単一経済圏」なるものに昇格させて「超国家的機関を作り」、マクロ政策、独占禁止、基準認証などを調整させるのだそうだ。まあ、EU委員会あたりをモデルと見ているのだろうが、この(多分ロシア人主導の)「超国家的機関」は世界の極の一つになるのだそうだ。そして欧州とアジアの間の架け橋になってくれる・・・(注:自分のやりたいこと、できることが明確でない者は、有力者間の仲介をやりたがるものだ)

ユーラシア連合というのは、関税同盟やこの「単一経済地域」などを統合して作る。そのような訳のわからない組織なら、既にCIS(旧ソ連諸国のうちバルト三国を除いて作った「新独立国家連合」)というものがあるではないかと思うのだが、プーチンの論文では両者は違うのだと言う。でもどこが違うのかは一向にわからない。

この「民主主義と市場経済を奉じ、旧ソ連諸国だけでなくどの国も加盟でき、リスボンからウラジオストックまでをカバーする」というユーラシア連合だが、メドベジェフが大統領になったばかりの時打ち上げた「欧州安保構想」がバンクーバーからウラジオストックまでをカバーする気宇壮大なものだったのに比べると、経済面だけに集中し、かつ欧州と旧ソ連だけでまとまろうとして、日本はもちろんのこと米国、中国もろくに眼中にない。

今回プーチン首相の訪中での見ものの一つは、彼がこの「ユーラシア連合」をどのように使うかなのだ。「このように立派なものをロシアは作ることにした。ついては中国を入れてやるから、その代わりにロシアの天然ガスを高値で買え」ということになるのかどうか、そして中国がそれを飲み、その代わりに高速鉄道の建設など「先端技術」面で中国がロシアを助け、ロシアの近代化を助けるという戦略的関係を結ぶ。こうしてロシアはユーラシアの中部を牛耳る連合の核として、EU、中国と鼎立してユーラシアを差配する。日本、米国、ASEANなどはこうした構図に後から「入れてやる」・・・・・このような時代遅れの発想をプーチン首相の取り巻きたちはしているのでないか?

明日か明後日の新聞には見出しが出るだろう。「中ロ、エネルギー、先端技術で戦略的協力関係へ。ユーラシア、巨大勢力鼎立の時代へ」。だが、日本の企業は慌てる必要はない。「ユーラシア連合」なるものに、どんな国が入るというのか? 中央アジアか? いや中央アジア諸国にとっても中国との経済関係はロシアとのそれを上回りつつあるので、ロシアだけに組み込まれてしまっては困ることだろう。ロシアは、「ユーラシア連合」を作るなどと大風呂敷をひろげて、後で大恥をかくことにならないだろうか。

エネルギーについてだが、他ならぬロシアは中国だけが顧客になるという事態は避けたい。中国国内のエネルギー価格は低めに抑えられているので、外国からできるだけ安く買いたたこうとするからだ。新幹線技術や発電所の輸出については、中国に当面やらせておけばいい。

ロシアは、このようなカビ臭い発想と戦術で2012年のAPEC首脳会議をうまく乗り切れると思っているのだろうか? いや思っているのだろうが、そこにはアジア太平洋方面についての勘がまったく欠落している。

コメント

投稿者: ちんこ | 2012年6月12日 12:08

ぱいぱい

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