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世界はこう変わる

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2011年5月 4日

5月18日に次期ロシア大統領は決まる?

2012年は方々の国で首長が代わる年で、ロシアでは3月に大統領選挙があることになっている。万年「次点プロ」のジュガーノフ共産党議長などは早々に出馬意図表明をしているが、本命はメドベジェフ大統領かプーチン首相、そのどちらかということになっている。

そしてメドベジェフさんはリベラル、プーチンさんは保守というイメージ(プーチン氏も2000年に大統領になりたての頃は結構改革志向だったのだが)を演出して対照的。対決とまではいかないが「さあ、どっちにする?!」的な問いを選挙民に発することで、政治への関心を盛りたてようとしている。選挙民にしてみれば、「どっちでもいいから早く決めてよ」的な気持ちだろうが。

4月20日、プーチン首相は下院でQ&Aを含めると4時間以上もの長広舌、実に2020年に至るまでの政策構想を描いて見せた。大統領選への意欲を見せたものと解釈されたが、彼は与党「統一」の党首でもあるので、本年年末にある総選挙に向けて党首として演説したものと解釈することもできる。

ところでその「統一」は、おいしいポストについているエリートなら皆入るべき、昔のソ連共産党に似た存在になってきたと言われている。今や飛ぶ鳥を落とす勢いのリベラル(と言ってもナショナリスト)・ブロガーのナヴァルヌイは、この党を「ならず者と泥棒たちの党」と名づけ、その名でのポスター・デザインを公募するという悪乗りぶり。こんなのを街中に貼られては、たまったものじゃない。政権の賞味期限が短くなってしまう。

そうこうしているうちに、メドベジェフ大統領の側近たちも、プーチン首相だけに花を持たせてなるものかと思ったようで、5月18日にロシアと外国のマスコミを一堂に集めて記者会見をやるのだ、希望者は記者登録せよ、というおふれをネットに出した。メドベジェフ大統領はツイッターなどで国民とコミュニケートするのは好きなのだが、こんな大袈裟な記者会見は初めてだそうで、モスクワではさぞかしいろんな観測が飛び交っていることだろう。

多分、「来年の3月の大統領選挙までメドベジェフ大統領・プーチン首相の連立(タンデム、連結車と呼ばれている)で国民の支持が持つのか? まだ60%台の支持率がある今のうち、早いところで大統領選挙をやってしまおうとしているのだろう。5月18日にはその発表があるのだ」とか、「4月20日のプーチン首相の下院スピーチに対抗し、メドベジェフ大統領も大統領選出馬を本気で考えていることを示して、前人気をあおろうとしているのだろう」とかいうのが主なところではないか。メドベジェフ大統領のマスコミ担当チマコーヴァ女史は、余裕たっぷり:「あら、普通の90分の会見よ。いつもインタビューの要望が多くて、応えきれていないものだから。場所? そりゃロシアのマスコミも外国のマスコミも、『面白い』って思うようなところ」

ロシアの経済は原油価格に連動して浮沈を繰り返す。今またその経済は表向きは上向きだけれど、原油に依存して浮沈するしか仕様がない現状に、社会は白けている。いくら大統領と首相の間でリベラル、保守の対立を演出しようとしても、それはだんだんボケとツッコミのコンビみたいにコミカルになってくる。選挙を前倒ししたいと思っている者がいるのではないか?

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