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世界はこう変わる

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2010年11月 2日

ニヒルな時代 9月のロシア モスクワっ子の生活――最近の変化 

上がる生活の快適度
ソ連の時代、モスクワの乗り合いバスはなぜかバネが弱くて壊れやすく、たいていは右か左かどちらかにひどく傾いで走っていたものだ。トロリーバスはそんなことはなかったが、それはそれでブリキの箱にモーターをつけただけのような、走ればいいと言わんばかりの無骨な造りだったのだ。
今ではロシア国産のバスでも、それなりに見てくれはいい。「良くなったね」とモスクワっ子に言うと素直に喜ぶ。ところがそのバスの裾を見ると、金属板の角と角がずれている。「でもずれているじゃないか」と言うと、モスクワっ子は「ロシアは気候が厳しいから」と言い訳をする。寒いと角と角がずれるのだろうか? 

ほぼ西側並みの物価
地下鉄の値段は行くたびにあがる。今回、初乗りは50ルーブルで、実に150円相当だ。2009年1月には22ルーブルだったのに。もっとも全線50ルーブルで行けるのが東京と違うところだが、多くの者はそれほど長距離乗りはしない。ガソリンは今回、1リットル25ルーブル(約80円)で、世界価格にほぼ等しい。
モスクワ大学の食堂も、もうずいぶん高くなっている。学生食堂にも高級と一般があり、高級な方で軽めの夕食をとると400ルーブル(1200円ほど)もする。ここでは教授よりも、学生の方がごく当たり前といった風情で飲食している。普通の学生食堂は120ルーブル(360円ほど)くらいだが、これなら日本の大学の学生食堂と物価水準は変わらない。

誰でも行ける海外旅行
ソ連時代、海外旅行は特権階級、あるいは海外に親戚のいる者に限られていた。それが今ではまったく自由。中流の上ともなればスイスでスキー、アフリカでサファリはごく当たり前だ。世界には湾岸諸国、トルコやタイの海岸リゾートのようにロシア人観光客であふれているところもある。モスクワからは、1万ルーブル(約3万円)でエジプトに1週間航空賃込みで行ってこられるのだから当然だ。

高給取りは仕事にはげむ
仕事の忙しさは職場によってむらがあるが、外資系などでは「夕食はふつう21時、朝の3時頃まで仕事で、10時にはまた出勤」というような生活もあるようだ。ロシアの高給取りは休暇も派手に取るが、仕事ぶりもまた猛烈なのだ。それ以上の金持ちとか有名文化人になると夜遅くまで付き合いを兼ね、梯子酒で遊び回る。

「ダーチャ文化」の曲がり角?
都会に住むロシア人はすべてがアパートやマンション暮らしと言ってよく(ところがこの数年、モスクワの中心部に一戸建ての豪邸が出現し始めている)、郊外にダーチャと称する別宅、実は一戸建ての本宅を購入することがソ連時代からの習わしだった。春や秋にはダーチャの近くの森でキノコ採りをするのがレジャーだし、ダーチャの庭に果物や野菜を植えては暮らしの足しにもしたのである。それは今でも同じで、夏になるとモスクワっ子は週末はダーチャで過ごす。
ところが最近では車が増えて、ダーチャに往復するのも大変になった。行きも帰りも渋滞で、以前なら1時間半で行けたところが今では片道3時間はかかる。車以外では行けないところが大半なので、これはモスクワっ子にとっては大問題なのだ。

上下・左右のきずなを失いばらばらになったままのロシア人
ソ連崩壊で、社会の上下・横の関係は壊れ、人々はばらばらになった。個々人が裸だから、それだけ攻撃的になる。この頃ではアパートの廊下で見慣れない人間と眼が合うと、お互いに「こいつは泥棒、強盗ではないか?」といった眼で身構える。

スーパーかバザールか?
RIMG0255.JPG(モスクワのショッピング・モール「アシャン・シティ」)
ロシアではスーパーやショッピング・モールはもう当たり前になった。でもぴかぴかのスーパーも、なぜか歩きにくい。人々があたかも目的を持っていないかのように、予測不可能な動き方をするからだ。そこは、欧米のスーパーと違う。たぶん、初めてこのスーパーに来た者が多いためか、何を買うべきか、何がどこにあるかわからないという風情なのだ。

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