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世界はこう変わる

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2010年9月17日

天津での印象2:発展ぶりの諸相

発展ぶりの諸相
(1)北京空港にアプローチする飛行機の窓から見ていると、空港周辺の景色はもうすっかり整備された先進国のそれだ。再開発された場所では一戸建ての住宅はほとんどなく、近代的な高層ビルか瀟洒なマンションになるので、都市景観はむしろ日本より整頓されたところが多い。日本は列島改造で急成長したが、中国は「大陸改造」だからまだまだ先が長い。

(2)北京からは天津行きの「高速鉄道」に乗った。
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(高速鉄道)

昔、日本に来た外国人は必ず、好奇心をもって「新幹線」に乗り、その素晴らしさに一様に驚いて見せたものだが、今同じことが中国で起きている。これまで2時間以上かかっていた北京・天津間はこの時速330キロで音も揺れもなく走る(と言うより滑る)「高速鉄道」で、僅か30分強になってしまったのだ。因みに、あとで中国人の学生たちに聞いたら、これが外国の技術を寄せ集めたものであることを知らない。「えー? 中国製でしょう?」

(3)天津という街は、北京の外港だから9つもの国が租界をもっていた。だから今でもまるで神戸のように、垢ぬけた瀟洒なところがある。そして御他聞にもれず、高層ビルが雨後のタケノコのように立っている。
以前、ある中国のインテリは、「共産党は選挙ではなく武力で政権に就いたと言う意味では古来の王朝と変わらない、現在の中国は共産党王朝とでも称するべき存在なのだ」と僕に言った。だが、この「王朝」はすごいではないか。天津の高層ビル街を見て思う。汐留や新宿とその威容は変わらないにしても、どこか考え方のスケールが途方もない(つまり採算度外視)。
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(海河にそびえる高層ビル群)

発展ぶりのちぐはぐさ
(1)ものが急速に建設されるとき、ちぐはぐなことが起こるのは仕方ない。北京空港では飛行機を降りると、成田と同じような空港電車(成田のよりもっと全然長くて速い)に乗って中心ターミナルに行くのだが、この電車、途中までいくと工事中で単線になってしまう。1年半前もそうだった。オリンピックが終わってしまうと気も抜け、予算も抜けるのだろう。工事現場では労務者が寝そべっていた。働く気がない。帝国の原理で運営されている国では、お偉方と(中産階級と)下々の間が隔絶して、下々の者は働く気がないのだが、まさか中国がそれなのか?

(2)そして、新しくてもすぐ埃っぽくなる高層ビル、できたばかりでもうペンキがはげた駅のベンチ。ちょっと見ではなかなかのホテルの部屋も、隅では壁紙がはがれかかっている。つまりこれらのことを、総合的に合目的的に差配する者がいない。あるいは彼らに、そうしている時間がない。早朝、ホテルの部屋のすぐ外で従業員たちが誰はばかるところのない大声で呼び合ったりするのを聞くと、もういやになってしまう。

(3)夜、客をよんであったレストランに着くと、「停電だ!」と叫んで数人の従業員が走り出てきた。客達は暗い中、ろうそくでロマンチックに飯を食っている。
そしてウェイトレスはシャツがパンツの外に垂れている。それも最新流行でそうしているのではなく、どこか真っ白でないシャツ、薄汚い制服でやっている。なにか全てが有り合わせのような。そしてIBMのパソコン部門を買収したRenovoのパソコンは、スムースに動かない。

―――このように、外見では人を圧倒する中国も、いざ少し中に入ってしまうと、建設途上、意識改革途上の途上国の側面が見えてくる。だが、それからまた2~3日たつと、地平の向こうに見える、この国の未来のものすごさの実感に、日本人の心は次第に萎えてくるのだ。

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