Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
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世界はこう変わる

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2021年7月 2日

中国外しは中国とのビジネスと両立するか?

(これは昨年8月、「現代ビジネス」に投稿したものですが、今でも有効なので掲載しておきます)

 米中対立が、高まっている。トランプは、中国ByteDance社が米国で展開するビデオ・プラットフォームのTikTokは情報を中国に転送するから危険だとして、米企業への売却を促すとともに、ByteDanceは売却代金の一部を米国庫に納めるべきだと言明している。このままでは米中は、貿易・投資・技術面で、相手国企業の接収など仁義なき戦いに至りかねない。現代の国際社会に土足で上がり込もうとする感のある中国を抑えるのは賛成だが、抑えて抑えきれるものだろうか? 筆者は、経済関係を断絶する必要は毛頭ないが、けじめをつけて、絞るべきところはきちんと絞る。それは可能だ、と思う。検証してみよう。

米国はどこまで本気なのか?

 中国との対立は、米国の総意になっていない。もともとオバマ政権時代には南シナ海におめおめ人工島=軍事拠点を作らせてしまったし、尖閣防衛についてもへっぴり腰だった。トランプが中国叩きを続けるのは、「中国製品に米市場を奪われ、職も失った」と感じている中西部の白人労働者向けのサービスだ。彼は中国の危険性などは認識しておらず、自分の再選に中国叩きを使うことしか考えていない。今、彼の一部側近、そして軍は、トランプの中国叩きに乗じて、軍事・技術・資金等あらゆる面で中国を封じ込めようとしているが、トランプは再選されれば中国と握手することだろう。バイデンが当選しても、中国との過度の対立にはブレーキがかけられ、気候変動、核拡散防止などの問題の方に注意が向けられることだろう。
 つまり米国は中国を叩くだけ、ということはない。手を握れるところでは握るのだ。

「中国経済を抑える」ことはできるのか?

 中国は既に世界2位のGDPを持つ。中国に行くと、その高層ビルの数に圧倒される。中国の貿易量は世界2位で、日本にとっても中国は輸出相手として2番目だ。この中国を世界から切り離せるのか? 

昔共産主義ソ連を作った革命家レーニンはうそぶいたことがある。「見てろ。資本家の連中は今に自分達を絞首刑にするための縄を、俺達に売りにやってくるよ」 と。西側はソ連に対して「縄を売る」ことはなかったが、中国に対しては1990年代後半から資本と技術をつぎ込み、中国の低賃金労働者に自社製品を組み立てさせ、それを自分達が輸入するやり方を大々的に続けた。

外国企業による輸出は今でも中国の輸出全体の40%程度を占め 、2018年でも年間3518億ドルもの貿易黒字 を中国にもたらしている。2000年代にはこの貿易黒字と直接投資合わせて、年間30兆円分を越える外国資本が中国に流入して、中国の急成長のシード・マネーとなった。中国共産党は、国民の低賃金労働と外国の資金・技術に乗って、今や世界中の先端技術企業の買い占めをもくろみ、軍を強化しては周辺への拡張戦略に出ているのである。西側は、自分達をつるすための縄を中国に売ってきたのだ。

 今米国や西側諸国は中国との関係をすべて切るのではなく、「絞首刑の縄」、つまり自分たちの安全を脅かすようなものは渡さないことに注力している。米国は中国企業に国内の通信インフラを牛耳られるのを防ぐためにZTE社、フアウェイ等を閉め出したし、半導体を中心に軍事転用可能な先端技術の対中流出を止めようとしている。

焦点は「半導体」と言うか、センサー等個々の目的を持ったマイクロ・プロセッサー=超小型回路、それも最先端の性能を備えたもの、そしてこれを製造することのできる機械にある。半導体は、現代の産業のコメと言われるもので、多くの製品、そして兵器の性能、競争力を左右するが、中国はまさにこの分野でまだ後れているからだ。

半導体は千差万別、そしてそれを製造する工程は何段階にも及び、それぞれの段階でいくつもの種類の機械が必要である。それぞれの半導体については、パソコンのプロセッサーがインテル、スマホのものが米国のクアルコム、英国のアーム、自動運転などに不可欠の「目」センサーはソニー、工場のAI化に不可欠なセンサー・システムについてはボッシュ、キーエンス等々、そして半導体製造機械では米国のアプライド・マテリアルズ、オランダのASML、日本の東京エレクトロン等、圧倒的なシェアを持つ企業が、世界で既に確立している。

クアルコムやキーエンスは自分の工場を持たず、他社に生産を委託しているが、そうした電子製品の生産を受託する企業は台湾で発達しており、ホンハイ(アップル社の製品組み立てを受託)、TSCM(クアルコム社の製品生産を受託。工場は主として台湾にあるが、中国のフアウェイ社からも受注している)などは押しも押されもせぬ世界規模の大企業になっている。この体制を破ることは、中国にはできない。

だから中国のGDPは世界2位だと言っても、実は世界中から資金、技術を受けての上のことで、これを絞られた場合、どこまで自力で成長できるかは、まだわからないのだ。2019年でも中国は半導体を1000億ドル強も輸入していて 、自給率は15%程度と言われる。だからこそ習近平指導部は、中国経済の自立化をはかる「中国製造2025」計画で、半導体の自給率を70%にまで高めることを目標に据えたのだ。

伸びているところもある。「紫光集団」系の長江存儲科技は4月、世界の大手に追いつく128層の「三次元NAND型フラッシュメモリー」の開発に成功しているし、台湾の人材が作った民営の中芯国際集成電路製造(SMIC)は半導体製造受託企業=ファンドリーとして急伸。アップル製品組み立て受託にも成功して、台湾のTSCM等を追い上げている。

しかし、問題は山積している。中国は党・政府主導、つまり役人がビジネスを決めるので、多くのことがちぐはぐになる。福建省では晋華集成電路(JHICC)(国営)が6000億円相当あまりを投じて大規模な半導体生産工場を建設したが、米国が半導体製造装置の輸出を止めたために、もぬけの殻となっている 。装置を輸入しても、技術要員を外国に依存するケースが残っている。武漢の液晶パネル工場ではコロナ禍後、生産を再開しようとしたが、日本人技術者が日本に引き上げたままで稼働が遅れている 。

民営のフアウェイはもっとまともなビジネスをしているように見える。傘下の海思半導体社の製品は「世界トップクラス」で、フアウェイ社のスマホに搭載する半導体の5割は内製だと言う 。しかしこれも内実は、英国のアームに設計を、台湾のTSCMに製造を依存したものだし 、新型スマホ「Mate30」も部品の3割は日本製である 。中国経済は、実はまだ脆弱なのだ。

 今のように経済がグローバル化していると、中国に先端技術が渡るのを完全に止めるのは無理だろう、という声もある。確かにその通り。米ソ冷戦時代も、ココム(共産圏への先端技術輸出を規制した、西側諸国間の紳士協定)破りは絶えなかった。しかし米政府の規制をかいくぐった企業は、多額の罰金を科されることになる。それが第三国の企業であっても、米国はその企業の米国内での取引を禁じ、ドルの使用さえ禁じることができるので、そのリスクを冒す企業は少ないだろう。それに、冷戦時代の名残で、先端技術の輸出は多くの国が自前で規制している。先端技術が中国に渡るのを規制するのは、可能なのである

細り始めたカネと技術の流入

中国は、先端技術面での後れを、外国企業を買収することで克服しようとしてきたが、米国や日本はもちろん、ドイツでさえロボット技術最先端のクーカ社を買収されて以来、中国のカネに警戒的な姿勢に転じている。

「中国人は多数が米国に留学しているから、技術、マネジメントの双方で進んだものを中国に持ち帰るだろう」と言われるが、それは一般化していない。米国に留学した高度な知識を持つ中国の人材の多くは、米国での就職を選んでいる 。今後、トランプ政権による圧力で、これら研究者が中国に帰還しても、能力を十分発揮できる環境は中国にあるまい。

中国は何でもカネで手に入れようとしてきたが、そのカネも次第に手に入りにくくなっている。2018年、中国には約1400億ドルの直接投資が流入し、貿易黒字は3518億ドルに及んだが、後者の60%程度をたたき出していた 対米貿易黒字がこれから減少していくと、中国は恒常的な経常収支赤字国に転落するだろう。これまで米国の投資銀行等は「中国経済の将来性」を吹聴しては、中国企業の米株式市場上場を受け持って大儲けをしてきたが、米国当局は、中国企業の経理は透明性に欠けるとして規制する方向に転じた。2019年中国企業が米国での上場で調達できた資金は僅か35億ドルで、前年から61%減少している 。

米国上院は共和・民主超党派で、軍人の年金基金FRTIBに、資金を中国株に投資するのを再考するよう呼びかけている。この基金の資産総額は5780億ドルに及ぶ 。そして香港が金融ハブの機能を停止すれば、ここで上場して外貨を手に入れていた中国企業は困窮するだろう。2018年の中国企業のエクイティファイナンスのうち、香港での調達額は42%、IPOに限れば55%に及んでいるからだ 。

西側は中国なしでやっていけるのか

では、西側は中国なしでやっていけるのか? 中国は多くの国にとって主要な貿易相手国になっている。家電製品も文具製品もmade in Chinaのものがなくなると、我々の生活は成り立たない。中国市場を失うと、多くの国は輸出の20%以上を失うことになるだろう。
中でも米中は相互依存性が高く、中国はその貿易黒字の60%を米国相手に稼いでいたし(2017年)、米国で売られている家電製品、日用品、文具など、自動車をのぞく多くのものがmade in Chinaになっている。しかし米国はパソコン、スマホはベトナムからの輸入を急増させているし、ゴープロは米国向け製品の生産を中国からメキシコに移転した 。

そして日本の場合、対中輸出のうちかなりの部分は、中国市場向けと言うよりは、中国で自社製品を組み立てている日本、そして欧米、台湾の企業向けのもので、多くは最終製品に組み込まれて米国やEUに再輸出されている。これら工場が例えばベトナムや米国やインドに移転すれば、日本はそこに輸出するので、総輸出量は減らない。中国市場で消費される分は、日本から輸出、あるいは中国国内で生産を続ければいい。2018年、日本製造業の対中直接投資累積額は8,8兆円あったが、ASEAN諸国では12,5兆円もあったのだ。中国が日本経済の死命を制するわけではない。

中国は太陽発電パネル、風力発電設備、ドローンなどで世界市場を席巻し、最近では製薬業の成長も著しい。これは別に規制する必要はない。ビジネスの競争の話しである。

衣料用染料 やリチウムのように、製造・加工時の環境汚染基準が緩かった故に、中国が世界で高いシェアを持つ品目があり、中国が西側に対して持つ切り札だと言われるが、レアアースは他の場所でも豊富にあるし、代替材料もある。

5Gについては、大げさな議論がまかり通っている。それは、フアウェイの5G製品を拒むこととすれば、西側は5Gの普及で中国に大きく後れてしまう、というものだ。これは、5Gとは何か、フアウェイの製品はその中でどういう意味を持っているのか、を調べずに虚しい議論をしているのである。

5Gとは大量の情報を瞬時に伝達、瞬時に分析して対応を瞬時に指令し返す技術である。フアウェイは、このうち送受信と伝達のインフラ作りに特化した企業で、集めた情報を処理して自動運転を可能にするような技術――5Gで最も難しく最も利益の上がる分野――はフアウェイではなく、内外の自動車企業等がしのぎを削っているところなのである。しかも5G通信のインフラはフアウェイの独占ではなく、かつて世界の電話・電信インフラを牛耳っていたフィンランドのノキアや、電機業界で大手のスウェーデンのエリクソンも大きなシェアを持っている。

フアウェイは、5Gがまだ雲をつかむような話でいる段階なのに、「これが5G用です」と言って、割安の設備を各国に売りつけているに過ぎない。中国の青年はポルノを瞬時にダウンロードできると言って喜ぶだろうが、将来、遠隔医療や自動運転などで5Gが実用化される時、ファウェイの今の規格では使い物にならないかもしれない。

中国ではサプライ・チェーンが整っているし、人材も豊富だから、工場をなかなか移転できない、という声もある。しかし、1990年代末に西側企業が中国に工場を作った時には、サプライ・チェーンは不在、つまり西側企業が使えるような部品を納期を守ってきちんと納入してくれるような企業は皆無だったから、西側企業は部品企業も本国から連れて行ったのである。そして今では何でもすぐ作ってくれることになっている深圳でも、品質基準が日本と違い、こちらの要求通りのものが出て来ないというような問題がある(「深圳に学ぶ」 藤岡淳一)。

それでも一つ、ひそかな懸念がある。それは米国、西側が先端技術、特にAI技術で中国に競り負けるのではないかということである。ロボットでも生産が急増しており、2025年までに国産のシェアを7割に高めようとしている。中核部品である小型精密減速機では日本のハーモニック・ドライブ・システムズに依存してきたが 、最近では中国のリーダードライブ社が台頭。中国で2割以上のシェアを占めるに至っている。

先端技術と言えば「シリコン・ヴァレー」だが、最近ではその勢いは衰えている。GAFA等「鯨」の住処となったせいで、家賃、賃金が高騰する等、スタート・アップに優しいところではなくなった。これに比べて深圳は、デジタルとモノの技術開発が共存し、安全基準などの規制がゆるいために、新規製品の開発は非常に容易だと言われる。中国に軸足を置くTESLA社は128種類もの部品の生産を深圳の企業に生産委託したし、シリコン・ヴァレーの企業自体が深圳とヒト、モノ、カネの面で交流を深めており、その様は目をみはるほどだと言われる 。

しかし、西側の懐は深い。日本は電子部品のいくつかで、未だに世界首位の座を確保しているし、半導体製造装置でも上位を維持している分野がある。米国では、シリコン・ヴァレーは硬直化しても、MITを擁するボストン地域が再び活発化しつつあるし、ヒューストン、フェニックス、デトロイト、ピッツバーグ、そして首都ワシントン郊外など、様々な分野でのハブがひしめいている。市場経済の活力は、指令経済に勝つだろう。

米国債・ドルの運命が中国の手中に?

米国人が中国との過度の対立を自戒する時持ち出すのが、「中国は米国国債を大量に保有している。つまり米国に多額の資金を貸してくれているのだ。中国を怒らせたら、何をされるかわからない」ということだ。そこは、米国は心配し過ぎで、米国債を大量に売って困るのは、むしろ中国の方なのだ。そんなことをすれば中国元のレートが跳ね上がって輸出ができなくなるだろう。それに、多額の外貨を保管する手段は、米国債以外にない。

最近では、「世界通貨は人民元に交代する」という見出しがマスコミで踊るが、これは販売部数を増やすための掛け声のようなものだ。誰も信じてはいない。なぜか? まず中国の金融当局が、本音ベースでの人民元の国際化、つまり資本取引の自由化をする気がない。自由化すれば、中国国内の資本は海外に大量に流出して(他ならぬ中国のエリートが、公金を横領してはドルにして、米国の自分の隠し口座に送る)人民元の暴落と国内のインフレを呼び起こすだろうからだ。

 中国は「デジタル人民元」を発行する準備をしている、と言われる。しかしこれは、国内での国民監視、徴税には役に立っても、例えば湾岸諸国が中国に、これまで通りドルでの石油代金支払いを求めてくるなら(多分そうなる)、「デジタル人民元」は国際貿易の決済にはほとんど使われまい。
 
中国は米国農家を倒産させるか?

中国が米国農産物の輸入を止めると、米国の農家が困って、トランプ批判に回るだろうという声もある。確かに米国は2016年に214億ドルの農産物を中国に輸出していたが、2018年には中国が米国産大豆の輸入関税を大幅に上げたため、91億ドルに激減している 。しかし、これで米国中西部の農家が倒産したという話しは聞かない。米国では、大豆だけ作っている農家はあまりなくて、種々の作物を組み合わせているので、大豆が駄目なら他のものを増やせばいいのである。従って米農産物のグローバルな輸出額は2018年、むしろ微増しているし、中国は大豆消費の約9割を輸入しているので、米国大豆をブラジル産などで簡単に代替もできない。大豆不足は国内の豚肉価格上昇を招くこともあり、中国は米国産大豆に対する追加関税を2019年7月には撤廃して輸入量を回復させている 。

中国経済の外面ではなく中身を見ろ

西側や日本では、中国経済の話になると圧倒されて、へっぴり腰になる人が多い。大袈裟な報道や、見せかけの数字に圧倒されているのである。たとえば、中国政府は電気自動車(EV)生産を振興し、これで西側企業を圧倒しようとしているが、中国企業は政府助成金を得るため、「何ちゃったってEV」を濫造。2019年には国産EVの発火事故が7件明らかになっている。多分、電池に問題があるのだろう 。寧徳時代新能源科技(CATL)のように、自動車用電池の生産では世界一にのし上がった大企業もあるが、助成金のおこぼれを狙う急造メーカーが乱立して事故を起こしているのだ。

「科学技術の研究論文の数や質で、中国は日本を抜き去り米国に迫っている」という報道がある。しかし、中国の科学者は論文掲載の数を争いがちで、その質には問題があることが多い。盗作、偽作が多い上に、金を払えば掲載してくれる悪質な雑誌が多い 。日本の国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の調査によると、引用回数の多い中国人研究者の論文でも、研究者が実績作りのために相互に引用し合っているケースが見られた由 。欧米研究者との共同研究が多く、そのため西側の専門雑誌に論文が掲載されるケースが多いのも、カネで実現している面があるだろう。
中国は、米国のナスダック市場の向こうを張って、2019年にはスタート・アップ向けの「科創板」なる新市場を上海に創設したが、初めの熱気はすぐに冷め、取引は低調に終始している。

「中国経済の有望さ」の証左として、スタート・アップの数が急増していることが指摘されている。しかしこれも、政府が2014年に「大衆創業・万衆創新」政策を打ち出して、助成金を増やしたことがブームを過熱させているのである。新卒毎年700万人のうち、20万人が創業に走り、1日約1万6千に達する起業ラッシュとなった が、うまくいっているものはごく少数である。

中国はオウン・ゴールで後退する

習近平は、中国経済のうわべを本物と取り違え、覇を唱えるのを急ぎ過ぎた。経済を知らず、ものごとを見せかけの力と大きさだけで判断したからだ。中国は米国の虎の尾を踏んで技術とカネをしぼられ、これまでの成長モデルは逆回転をし始めている。義和団のような混乱の時代さえ招きかねない。経済成長のためのシード・マネーを稼いできた外資系工場がこれから次第に本国や第三国に移転していくと、中国経済は大きな打撃を受けることになるだろう。

輸出業で働くのは1億人。その家族と関連サービス業従業員も入れると、4億人もいると推計されている 。アップル1社だけでも、中国経済への年間貢献の規模は240億ドルと見積もられており、150万人の労働者がアップル製品の組み立て、250万人がアプリの開発に携わっていると見られている 。

だから、中国を世界経済から完全に切り離すという、無理なことをする必要は無い。一部の先端技術の対中流出、資本の過度の流出を抑えていけば、世界と中国は節度のある協力関係を続けていくことができるだろう。

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