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世界はこう変わる

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2020年6月23日

個人と国家 の直結

(これは5月27日に発行したメルマガ「文明の万華鏡」第97号の一部です)

世界の「国家」の歴史を見ると、それは中央の権力と末端の個人との距離が縮んでいく過程に見える。封建制では、個人は地元の領主に生活を握られ、絶対主義になると皇帝・国王が派遣する代官・知事に差配された。つまり個人と中央の間には「中間団体」が介在し、人間の「血と汗」(つまり徴兵と徴税)を絞りたてていたのである。

しかし今は日本でも、労働組合や宗教団体や業界団体のように票を取りまとめる中間団体はどんどん老齢化・弱体化して、個人はばらばらになっている。政府にとってこれを自分で取りまとめ、監視し、税金を取り上げるのは至難の業。まして日本のようにマイ・ナンバーが普及していない国はお手上げだ。

マイナンバーが普及しないのは国家が怠慢だからではなく、国民が本当の所得額を政府に知られるのを嫌がったりして手続きを取らないからなのだが、他の国では国民一人一人に番号をつけてその税金、医療等のデータは相互に結び付けてあるから、コロナ禍での補償金支給も大げさに言えばクリック一つでできる。つまり、国家が個人に直接手を伸ばすようになる歴史の進化は、ほぼ完結したのだ。

一方、中国など全体主義国家は、監視カメラ、スマホ、ドローンなど技術を悪用して、究極の全体主義国家を作り上げた。中国でもロシアでも、今回のコロナで戸外にゴミ捨てに出ただけで、監視カメラに把握され、自宅隔離を冒したとして罰金を食らった話がある。

電子化で政府と個人が直接結びつくのは、何かと便利。しかしそれも政府が国民に何かをくれる時に限るので、この直結リンクを恣意的な増税や徴兵に悪用されることがないよう、いろいろ縛りをかけていかないといけないだろう。

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