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2020年3月17日

コロナ独裁へ? ヒットラーの権力収奪過程再訪

(これは、2月26日に発行したメルマガ「文明の万華鏡」の一部です。
この後、米国はコロナ・ヴィールスで大騒ぎになっていて、民主党系マスコミは「トランプ大統領はコロナに無策だ」と攻め立てていますが、気を付けないと、形勢を逆転されるでしょう。トランプは既にコロナで「国家非常事態」を宣言していますが、いつこれを大統領選挙の(無期)延期の方向に持っていこうとするかわかりません。既に10名以上の集会を禁じているということは、大統領選挙プライマリー選を既に阻害するものになっています。)

弾劾が成立しなかったトランプ大統領は、予想された通り、弾劾手続きの過程で自分を裏切った政府高官達を解任、そして自分の友人達への有罪判決を緩和等々、したい放題、やりたい放題の状況。米国は法治国家、民主主義の国と言われるが、一方ではリンチ等、力で決着をつける伝統もまた強く、トランプを支持する大衆はむしろ後者の方なのだ。

僕が恐れているのは、強権政治の行きつく先はファシズム、あるいは恐怖政治である、ということ。ドイツでは1933年、ヒットラーが腹心のゲーリングを警察に送り込んで1カ月後、国会議事堂放火事件が起き(起こされ)、ヒットラーはこれを非常事態として市民権の多くを停止。野党政治家の多くを逮捕し、さらにその1カ月後には政府が立法権をも掌握して独裁体制を樹立している。

まあ今の米国でそんなことが簡単に起きるとは思わないが、トランプは何をやるかわからない。米国では、非常事態はこれまで何度か発布されているのだ。既に述べたように、トランプが国家情報長官代行に、彼の腰巾着とも言える記者あがりのリチャード・グレネルを任命したことが気がかりだ。

このグレネルという男は、2017年7月ドイツ大使に任命される前は、極右と目されるBreitbartなどの記者をしていたのだが、ドイツに赴任する飛行機の機上から、国防費をGDPの2%にしろ等、ドイツ政府への「指示」とも取れる口調のツィッターを発し、ドイツ国民の度肝を抜いている。そしてロシアのガスプロムがドイツに向けて増強中の天然ガス・パイプライン「ノルト・ストレーム」を異常に敵視。昨年12月には、米議会での軍事予算案法案に、右増強工事に関与する西側企業には制裁を与えるという趣旨を書き込ませることに成功した。

西欧のイタリア都市国家間の外交に発する品のいい、しかし非効率で偽善的なところもある古典的外交のスタイルは、時代遅れのものになりつつある。これからはグレネルのような、自分自身が放送局、ロビーストとして動くことのできるスーパー外交官が求められるのだろう。

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