Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
ChineseEnglishRussian

世界はこう変わる

Automatic Translation to English
Automatic Translation to English
2020年1月17日

ドイツ国民の米国離れ

(これは昨年12月25日に発行したメルマガ「文明の万華鏡」第92号の一部です)
ドイツ人も日本人同様、敗戦では随分屈辱を舐めている。東半分の女性はソ連軍兵士に辱められたし、西半分では米軍人相手の慰安婦のような女性たちもいた。だからというわけではないが、戦後の西独では、折に触れて強い反米運動が何度も起きている

それは、西独がNATOに加盟した1955年、あるいは米国が中距離核ミサイルを欧州に配備しようとした(西独・仏首脳の要請に応えてなのだが)1980年代初め等々である。

筆者は1980年代初頭、ボンで外交官をやっていたのだが、西独の外交官は折に触れて、米国何するものぞという気概を見せた。例えば1982年のフォークランド紛争(アルゼンチン沖の英領フォークランド諸島を、アルゼンチンが武力で制圧しようとして英国と戦いになり、敗北したもの)では、西独はドイツ系の多いアルゼンチンに同情的だったのだが、英米に「ベルリンを守ってやっている」ことを盾に、英国支持を強制された。この時、西独外務省の担当官は、筆者に対して米国に対する怒りをあからさまにぶつけて来たものだ。

そして今ドイツでは、国防費をGDPの2%にしろだの、貿易黒字を減らせだの、ロシアからの天然ガス輸入を減らして米国のシェール・ガスを輸入しろだのと言い募る、トランプへの反感が強まっている。そしてトランプの代官よろしく2018年5月に着任したグレネル大使は、イランとの関係、あるいはロシアとの関係でドイツの政府、企業に「指令」がましい発言を連発。かくてトランプはドイツ系なのに、米独は離間する一方だ。

12月3日ドイッチェ・ヴェレが報じたYouGovの世論調査では、54%の者がNATOは依然として必要としつつも、55%の者がNATOの欧州メンバー諸国は米国の助けなしに自主防衛しなければならないと思っており、49%の者が米軍は全面的、あるいは部分的に撤退するべきと思っており、54%の者がNATOはロシアと敵対するのではなく、協調をはかるべしとしている。そして42%の者は国防費増額に反対しているのである。

これに加えて、核武装についての議論がドイツで表面化している。昨年8月3日付日経によると、同7月29日付Welt紙(保守系)は一面で、「我々には核爆弾は必要か」という見出しの下、保守系の政治学者Christian Hackeの「ドイツは今、米国の核の傘の下にいない」という意見を掲載している。


トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.japan-world-trends.com/cgi-bin/mtja/mt-tb.cgi/3945