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世界はこう変わる

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2019年5月17日

ユダヤ資本を使いまくるトランプ

(これは4月24日発行のメルマガ「文明の万華鏡」第84号の一部です)

 1910年11月。ニュー・ヨークの対岸、ニュー・ジャージーの郊外の駅から、怪しげな列車が出発する。はるか南ジョージアの保養地ジキル島の駅に下り立った面々は、モルガン、ロックフェラー、ロスチャイルド、ウォーバーグ、クーン・ローブ等、当時の米国金融界を牛耳る機関や議会、政府の代表たち6名。当時の米国は今の中国と同じく、高度成長を遂げ、超大国の地位を築く寸前。19世紀以来たびたび繰り返していた金融恐慌の一番きついものが、1907年にやってきたばかり。信用不安を民間銀行だけでせき止めることはもうできないと認識した銀行家たちは、欧州にならって「中央銀行」を作り、信用不安の際にはそこに紙幣を印刷させることで危機を逃れようとしたのだ。

その案を作ったのは、この会合の僅か8年前の1902年、欧州の投資銀行Warburg本社から米国に移って来たポール・ウォーバーグ。ウォーバーグとは、ドイツ北方の町の名から来る。ここはちょうど地中海経済圏とバルト海経済圏を結ぶ陸路の中間にあり、ヴェニスのユダヤ系銀行家Del Banco家がここに進出してウォーバーグ家と名を変えたものらしい(https://en.wikipedia.org/wiki/Warburg_family)。中世から現代にかけての、地中海⇒アントワープ次いでアムステルダム⇒ロンドン⇒米国という資本の移転ぶりを象徴している。

このジキル島で作られた案も踏み台にして連邦準備制度法が作られ、FRBが発足する。これに署名したのはウィルソン大統領だが、彼は大統領選でウォーバーグ等から資金を受けており、署名直後は「これはいい法だ」と言ったが、後になってこう言ったそうだ。

「私はうっかりして、自分の国を滅亡させてしまいました。大きな産業国家は、その国自身のクレジットシステムによって管理されています。私たちのクレジットシステムは一点に集結しました。したがって国家の成長と私たちのすべての活動は、ほんのわずかな人たちの手の中に有ります。私たちは文明開化した世界においての支配された政治、ほとんど完全に管理された最悪の統治の国に陥ったのです。」と
(https://sites.google.com/site/uranenpyou/home/frb)。よく言うよ、と思うが、この「ほんの僅かな人たち」という言葉には、ユダヤ資本への警戒心がこめられているのかもしれない。

しかしFRBは当初、予定された銀行の最後の救い手にはならなかった。1929年の米株価暴落は、FRBが引締め政策を取ったことで起きたようだが、それによって起きた多数の銀行の破綻でFRBは何もしていない。これら銀行は二束三文でロックフェラーとモルガン財閥が買いたたき、その後の独占的地位を築き上げたとされる。

米国の経済危機は、第2次大戦で政府が国債を大量に発行し、軍需をテコにGDPを倍増させることで克服された。この時、FRBは国債を大量に買い入れることで、これに貢献している。


時代は飛んで2008年。リーマン金融危機の後、FRBはバーナンキ議長の下、金融の大緩和で米経済の回復を成し遂げ、2018年には通貨量引き締めと利上げに踏み切ろうとしたところで、腕白のトランプ大魔王に掴まってしまった。FRBにはトランプのお友だちが乗り込み、見るからに気の弱そうなパウエル議長は、おどおどして引締めから緩和へ180度転換。

かくしてFRBは、かつて欧州からやってきた資本(その中にはユダヤ系資本のプレゼンスが大きい)の相互扶助団体的なものから、トランプ再選のための打ち出の小づちにその身を落とされてしまったのだ。
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