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世界はこう変わる

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2017年12月 9日

中国の金融はもつのか?

(これは、11月22日発行したメルマガ「文明の万華鏡」第67号所載の記事の一部です。
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中国の財政は今、火の車。地方政府が借金漬けになっていることは以前から報道されているが、中央政府の赤字も今年は2,4兆元が見込まれている(3月人民代での李克強演説)。その殆どは国債発行で賄っているはずだが、自分が調べた限りでは国債の発行額がわからない。ただ10月26日には香港で、13年ぶりとかということで、20億ドル分の外貨建て国債を発行している。外資を頼りにする程、困ってきているということだろうか。

 国債の大量発行は、何を起こすだろうか? 日本の場合、これでインフレも起きていなければ、金利の上昇も起きていない。中国では、日本とは違って通貨発行量をしぼっているために金利の上昇傾向が見られるが、資金をばらまいても増大する消費・投資需要は大きな生産力に吸収されて(住宅・食品価格を除いて)インフレは起らない。宋や元の時代、紙幣を発行しすぎてハイパー・インフレになったような、農本経済ではもうないのだ。

少し脱線すると、中国では紙幣は日常ほとんど使われず、スマホで買い物も決済する。こうなると、通貨発行量を変えることで景気を操作してきたこれまでの金融政策は使えるのだろうか? こういう疑問が起きるのだが、それは素人の考える疑問。「通貨」の多くは、銀行の口座=帳簿についている「数字」のことなので、中国人民銀が帳簿の上だけでも人民幣を発行して国債を購入すれば、その増発分の人民幣は予算として支出されて、企業や個人の口座に渡っていく。企業や個人はこうして帳簿上増えた金でものを買うので、スマホで決済しようが何であろうが、「通貨」の増減は景気に作用するのである。

そして、紙幣があろうがなくなろうが、モノやサービスの量に比べて通貨が過大に発行されれば、それが帳簿上のことであっても、デジタル・ドルやデジタル・円に対してデジタル・元はレートを下げていくだろう。

今巷では、中国は既存のビット・コイン類を買い上げて「ビット元」に統一し、これをドルに代わる世界通貨とする野望を持っているのでないか、という観測が行われているが、後で言うように、デジタル通貨が特定の国家の支配下にある限り、それが世界でどこまで使われるかはその国家の経済力、信用力によるし、一度にドルを追放することはできないだろうから、ドルとのレートはいつも生ずる。そのレートが中国に不利にならないように、中国は国内の財政・金融政策を操作しなければならないので、「ビット元」を導入してもものごとは今とさして変わらないのである。

本題に戻る。中国は、国債を外国人に買わせたがっているようだ。中国の国債が、米国の国債(TB)のように、世界の余剰資金を貯め込み、運用するための道具となれば、すごいことになる。中国も米国と同じく、財政赤字を垂れ流しても、外国に国債を買ってもらってその赤字をファイナンスできることになるからだ。

おそらく中国はそこを狙って、ゴールドマン・サックスなどの投資銀行に、中国国債を大量に買わせようとしているのであるまいか? 10日、中国政府は合弁証券会社への51%出資を外資系金融企業に認めたが(これまでは49%まで。2020年には100%出資も可能にするとの触れこみ)、これは西側金融機関に対する餌だろう。中国国内でもっと儲けられるようにしてやるから、国債を買え、というわけだ。

西側金融機関は、中国の国債がこれから値崩れするリスクも十分予想して、購入に慎重なのではあるまいか? 9月21日にはS&Pグローバルが、中国の長期国債格付けを従来の「ダブルAマイナス」から「シングルAプラス」に1段階引き下げたが、こうすることで中国国債の値を下げ、買う負担を減らそうという魂胆があるのではないか?

西側金融機関に中国国債を購入してもらうためには、人民幣のレートを安定させるとともに、ドルなどとの交換も自由にできるようにしなければならないだろう。更に、中国国債を大量に売買できる市場がどこかにできないと、外国の金融機関は困るし、更に将来の値動きをヘッジするための先物市場の整備も必要になる。他方、先物市場が整備されれば、外国の金融機関はそれを利用して中国の国債を叩き売ることで利益を上げようとするだろう。国債の国際的取引を拡大して財政赤字をファイナンスするメリットと、それによって国債価格、利子率、為替レートが乱高下するリスクのどちらを重視するか。日本の財務省はこれまでリスクの方を重視して、国債取引の規制緩和を抑制してきたようだが、中国はどちらを選ぶだろう。

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