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2017年2月14日

ネオコン、人道介入主義の功罪

(以下は、1月末発行のメルマガ「文明の万華鏡」の一部です。2月14日現在、トランプ政権はフリン安全保障問題担当補佐官が辞任を余儀なくされたことで、そろそろダッチ・ロールを始めていますが、これがネオコン的な過度の反ロ政策の復活につながらないよう願っています)

 オバマ退場間際になって、米国の論壇ではネオコン、人道介入主義に対する批判が噴出した。「外国の非人道的独裁政権は、外部から干渉してでも倒さなければならない」というのがネオコン、人道介入主義の連中の言うこと。米国の国連大使だったサマンサ・パワー女史、ウクライナの「民主革命」を担いだ国務省次官補ヌーランド女史などが代表的な存在。スーザン・ライス大統領安全保障問題補佐官をこの中に入れる人もいる。

 但し、この人たちの中には、民主主義を無邪気に信奉している者と、政治的な思惑で他国を「レジーム・チェンジ」しようとする者の両様がある。後者について言えば、レーガンの時代設立されたNational Endowment for Democracyが今でも存続し、世界中の民主化運動に助成金を出している。その助成金を受けて米国のNPO、Freedom House、共和党傘下のInternational Republican Institute(マッケイン上院議員が議長)、民主党傘下のNational Democratic Instituteなどは世界中で「民主化」運動を展開、彼らにとっての最大の目標はプーチン・ロシアの転覆になっている感がある。

2011年12月ロシア総選挙の直後、モスクワなどでは10万人を超える反政府集会が吹き荒れ、革命の危険性さえあったのだが、プーチンはこれを米国の策動によるものと、深く深く信じ込み、今回米大統領選で仕返しに出た可能性がある。

 ところがトランプ政権の主流(フリン安全保障問題補佐官、セッションズ司法長官等)は、こうしたネオコン、人道介入主義に真っ向から反対している。「(ウクライナ、アラブ諸国等で、これらの運動は)混乱を生むだけで、有害無益だ」というわけである。

オバマ政権の間、こうした声は抑えられていたが、政権も末期になって一気に噴き出た感がある。代表的なものには、1月3日、Voice of AmericaでのThomas Grahamインタビュー(同人はキッシンジャー事務所の所長格で、ロシア大使の声がある。但し彼は、ウクライナをロシアに実質的に与えるべきことを主張しているだけで、ネオコンを明示的に批判しているわけではない)、昨年10月7日Consortiumnews.comに掲載されたRobert Parry(1980年代、イラン・コントラ事件の調査報道で有名)の論説などがある。またジョン・ブレナン前CIA長官は11日CNNとのインタビューで、「アラブに民主主義を広めることができると思い込んだのは、誤りだった。シリアに米軍が介入しなくて良かった。介入していれば、アサドを除去することはできただろうが、その後の混乱は収拾がつかないものとなっていただろう」との趣旨を述べている。

 これに対してネオコンの側が生き残りをかけて展開しているのが、「トランプはロシアの手先だ」という議論。「トランプはロシアにビジネスで旅行した時、ホテルでのセックスを撮影されている」とか、「大統領選でロシアは民主党本部のコンピューターをハッキング。クリントン候補に不利な情報をウィキリークスに流す等して、クリントン候補を傷つけた」とかがそれである。12月末オバマ政権は、ろくな証拠も明らかにすることなく、「ハッキングで大統領選に干渉したロシア」を制裁、35人の外交官を国外退去処分とした。この殆どヒステリー的な行動を、プーチンの側は馬鹿に仕切ったかのように黙殺、「ロシアは今回対抗措置は取らない」として、自分の正気ぶりを世界に見せつけた。

ネオコンはかつてのソ連のプロパガンダ手法を学んでいて、誇張した情報、偽情報を流しては世論を操作するのに長けている。その典型は、イラク侵攻の前に、「イラクは大量破壊兵器を保有している」という情報を世界中に信じ込ませてしまった件である。今ネオコン達は「ロシア=悪」、「トランプはロシアに近い」、「よってトランプは悪」という三段論法でトランプを引きずりおろそうとしているのだが、「ロシアは米大統領選に干渉した」こと、そして「トランプはロシアに近い」のところで、信ずるに足りる証拠を示せていない。

オバマが軍事介入を避けながらも、ネオコンの跳梁を世界中で許していたことは、いざ民主化運動で情勢が悪化した時、米軍は助けないという結果を招き、国際情勢をいたずらに不安定化させてきたと思う。それでも、トランプが民主主義とか自由とかの価値観には一切構わず、国内の不満は恫喝とウソで押さえつけ、外交は「取引」の一点で進めるという、まるでロシアのような国になってしまった今、ネオコンにも生き延びて欲しいところがある。

他方、米国では白人の人種差別主義者を核とするAlt-rightの動きが目立つ。彼らはBreitbartなるネット・ニュースを中心に、代表として右ニュース創立者のSteve Bannonをホワイトハウスの「戦略担当補佐官」(新設ポスト)として送り込み、意気が上がっている。Bannonはハーバードのビジネス・スクールでMBAをとっており、右翼運動を営利事業として拡大する術に長けている。Breitbartは本年、ドイツ、フランスにも進出する。欧州のスキン・ヘッドや右翼よりもシニカルで、主義より営利に重点を置いているかもしれず、気味の悪い勢力である。こんな白人植民地主義の権化のような連中がのして来たら、日本は中国とでも本気で提携せざるを得ないかもしれない。
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