Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
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世界はこう変わる

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2008年4月18日

ロシアの若者も頑張っている。彼らなりに自由だ

08年3月のモスクワ(4)   今時のロシアの若者は

今回はモスクワ大学の学生と2週間にわたってつきあったので、彼らの考え方が少しはわかった。
昔からモスクワ大学はリベラルなのだが、その点は今回も変わってないなと感じた。ただ、欧米に対するかつての憧れは失せ、むしろロシアの弱みにつけこんで勢力拡張をはかられたことに対する恨み、自分達自身のことは棚に上げてロシアの後進性ばかり言い立てることに対する怒りのようなものさえ感じられた。
僕のクラスにはフランスからの交換留学生も数名いたのだが、ロシア語ができないこともあって、ロシアの学生からはわりと浮き上がっていたように見える。以前だったら、ロシア人学生の方から下にも置かない扱いをしていたろうに。

ただロシア人学生は、欧米の文化は好きだ、と言うより、自らその一部だと思っている。但し欧米のものなら何でもいい、というわけではない。欧米のものでもロシアのものでも、「いいものはいい。好きなものは好き」ということなんだと、彼らは僕の質問に対して答えて言った。

このリベラルで教育水準の高い若者達を、あえて敵に回す必要はない、
むしろ世界的レベルで進行している自由の侵食に対して、ロシアの青年達とも肩を組んで対抗していくことができるのではないか、と思う。
モスクワ大学の中を歩いていると、そこはヨーロッパ的な市民社会の世界で、このようなところで「ロシアには個人主義の伝統がない」などと言ってみせても、理解を得られないだろう。

以下、ナマの素材の形で、いくつか気のついたことを並べてみる。

●授業でプレゼンテーションをやらせると、休み時間中にでもインターネットから素早く情報を収集してうまくやり抜けてしまうのは万国共通。
そしてご他聞にもれず、いい加減なインターネット情報を信じ込んでしまう。
僕の授業中にも、「中国はロシアから、サハリン、カムチャツカ、シベリアを要求している」、「日本はサハリンを要求している」といった発言をする学生がいた。

●僕の学生は、日本の学生よりも英語ができて発言も積極的だった。
しかし外国人の僕を相手に肩肘張って見せたのか、「ロシアはスーパーパワーになれる」とか「中国との同盟を結んで他国に尊敬してもらう」とか、猛々しいというかむしろ痛々しいところもまだ残っている。90年代の困窮の反動なのだ。
そして、中国とロシアの貿易は最近ロシアの赤字になったこととか、東シベリアの石油はまだそれほど中国に出ていないことは知らない。今までの報道を鵜呑みにしているだけだ。

●ただ大学院生ともなれば、好い青年達が育ってきたことが如実にわかる。
学問的アプローチはしっかりしているし、数理的な経済分析、パワーポイントを使いこなしての発表や厳しい自由討論など、もう全く西側並みだ。
僕が教えたビジネス・スクールの学生にはカルムイキ共和国から来たモンゴル系の女学生もいたのだが、これがまた開けていて、英語でビジネス・モデルのプレゼンテーションをすらすらとやってのけるのだ。
我々日本人の方が市場経済を知っているなどと思い込んで「ノウハウの移転」を行う時代は、もう終わったのだ。ノウハウだけだったら、ロシア人の方がよほど体系的、理論的にものにしているだろう。

●ロシアの経済は独占大企業に牛耳られているが、貿易などでは中小の民間ヴェンチャーもまだ生きながらえている。
僕の知っている青年は中国とも取引をしているのだが、「ドル表示ではレートが1%動いただけで商売にならなくなります。」と言っては、元表示で貿易をしている
プーチン大統領がルーブルを国際通貨にすると言っているのだから、ルーブル表示でやったらいいじゃないかと言っても、取り上げない。


東アジアは以前と違って、ロシア人の目にはもう「ブランド」になったようだ。大学院生達の議論を聞いている限り、そうである。
以前ロシア人が黄色人種に対して感じていた距離感、蔑視が(ビジネススクールにいる限りでは)もう感じられない。
日本に対しては以前から特別扱いだったが、今では韓国や中国も経済発展を既に遂げた国として扱われている
もっとも、僕の試験で50点以上を取れた学生は10%もおらず、ステレオタイプとは違う見方を特にアジア人が教えるような場合には聞く耳持たず、という面が残っているのかと思わせた。または考え方を上から押し付けられるのを嫌う、ということか。

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