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世界はこう変わる

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2008年4月16日

ロシアの石油、天然ガス―データ

3月モスクワに行った時、RusEnergyという民間調査会社の話も聞いてきた。一人で持っているのももったいないので、ここに大要を書いておく。
これ以上のデータが欲しい方は、RusEnergyに有料ベースで直接聞いてください。

西シベリアの原油資源
ロシアの主要な油田である西シベリアでは、これまで砂利層から採取してきた。現在そのピークに達していて、2015年には生産が下り坂になろう。もっとも、技術次第では更に採油量を増やすことができるかもしれない。
ソ連時代は増産のために採掘の初期段階から水が注入され、油層を分断してしまった。分断されて残った油たまりを「レンズ」と称する。かつてはこのレンズを一つ一つ採掘して要ったものだが、ドリルだけで2~300万ドルかかる。その後BPが「水平法」をロシアにも持ち込み、一つのドリルで複数のレンズを採取する方法を開発した。
砂利層以外の粘土層にも原油が埋蔵されている。しかし採掘原価は高く、技術開発の必要性がある。ルークオイル系のRytecが取り掛かっているが、時間がかかるだろう。
また西シベリア最大のサモトロール油田の下部4.000~5.000メートルくらいの深部には、これまで採取されたとほぼ同量の原油が埋蔵されている。ただこれだけ深部へのドリルは費用が数倍高くなる。それにこの深部の原油は圧力が高く温度も高い。事故でドリルが破壊されると、その費用は膨大になる。

西シベリアにはもう、大型油田は発見されないだろう。周辺部、特に北部にはかなりあるだろうが。現在原油開発は北へ漸次移行しているが、ツンドラ地帯でもあり難儀している。

バシュキリアとタタールスタンの原油はあと数年はもつ。ここでは重質油、オイル・サンドが多く、タートネフチはカナダのオイルサンド開発実験をしているSHELLと契約を結んでいる。

北極圏に石油と天然ガスの宝庫があるように喧伝されている。しかし北極圏にはそれほどの資源はない。全ては周辺の大陸棚にあり、ノルウェーとロシアの間を除き、すべて境界線は確定している。

東シベリアの原油は、埋蔵量がまだ不足している。特に太平洋にまでパイプラインを伸ばす第二フェーズを賄えるだけの量があるかどうか。
今のところVankor油田が最大、他にイルクーツク州のヴェルフニエ・チョムスキエ、ヤクート・サハ共和国のタラカン、クラスノヤルスクに中規模、トムスクに小規模油田がある。
この3年、天然資源省は広大な地域の石油開発入札を実施し、イルクーツクでは中国企業も落札している。これは探鉱だけでなく、採掘権も再度の入札なしに与えられるもので、「一貫免許」(スクヴァズナヤ・リツェンジヤ)と呼ばれている。
Vankor油田の油は西シベリアのスルグートまでもっていかないとパイプライン網にのせられない。スルグートまでもっていくなら、西欧への輸出に向けた方が合理的だ。

原油の国内消費は増加している。それでも金額ベースの輸出が減らないよう、石油製品の輸出を増やそうとしている。

投資
現在の原油生産レベルを維持していくための、新規油田開発資金はある。問題は、原油価格が高騰しているために、政府が新規油田の開発を急いでいないことだ。油田を立ち上げるには投資を開始してから5年はかかることを考えると、原油価格が急落した場合に生産量を上げることができず、リスクのある政策である。特に北部の大陸棚での開発資金が不足している。

天然ガス
サハリン3のキリンスキー鉱区の埋蔵量は4000億立米で、ガスプロム所有である。韓国、中国に輸出するのに十分な量である。サハリン4,5の天然ガス埋蔵量は評価中である。
コヴィクタ・ガス田は2兆立米の埋蔵量があり、現在チュメニ石油所有になっているが、ガスプロム所有に移行中である。ケメロヴォまでパイプラインを建設し、そこで幹線に接続して国内消費に向けられるのではないか。

ヤクート・サハ共和国のチェイジェンスコエ・ガス田はガスプロム所有で、1兆立米の埋蔵量がある。これは輸出に向けられよう。太平洋石油パイプラインに並行してガス・パイプラインを建設する必要がある。そしてナホトカで液化するのである。
クラスノヤルスクのレオベレジュナヤに1兆立米の大ガス田があるとの観測もある。

中国への天然ガス輸出については、価格水準について合意が出来ていない問題がある。中国は千立米当たり100~130ドルを主張している。(西欧向けは300ドル周辺)

ガスプロムは方々で国策プロジェクトをやらされたりして、資金不足に陥っている。その新規ガス田開発が遅れ、2007年には生産量が1~2%落ちた。特にヤマル・ガス田の開発が遅れている。

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