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2016年9月12日

ウズベキスタンのミルジヨエフ大統領代行

カリモフ大統領の死後、憲法では上院議長が大統領代行を務め、3カ月以内に大統領選挙ということになっているのだが、8日国会の上下両院会合が開かれて、「上院議長より国家機関統治の経験を積んでいる」ミルジヨエフ首相が大統領代行に選ばれた。憲法というものの存在の何と言う軽さよ。
とは言え、日本でミルジヨエフ首相を知る人は少ないので、いくつか公開情報を拾っておく。因みに、僕が昔数回会った限りで言うと、このミルジヨエフという人は十分信用でき、頼りになる人という印象。

・彼は南部のジザク出身のタジク系「孤児」と言われる。それは、半分だけ事実。
彼の父Miromon(医師)は隣国タジキスタンのホジェント近くの寒村Yakhtan出身。ここはタジキスタンでも、ウズベク系住民が主に住んでいるところで、ミルジヨエフ家は地主・富農。ロシア革命後迫害されて、Miromonがまだ子供の時に、一家はウズベクのジザクに移住した。
その後、Miromonの兄弟、つまりミルジヨエフ首相の叔父はYakhtanに戻り、今でも住んでいる。だからミルジヨエフも子供の頃、ここに遊びに来たことがある。

・ミルジヨエフはウズベク系かタジク系かという論争があるが、Yakhtanの住民の多くはウズベク系。しかし父Miromonの母はタジク語をしゃべった。

・そしてミルジヨエフの母は保健婦だったが、まだ若い頃、病院で患者の結核に感染して亡くなっている。

・父Miromonはその後、タタール人の女性を後妻とし、彼女がミルジヨエフを実子のように愛しみ育てた。ミルジヨエフには二人の姉妹、そして父の後妻の息子と娘がいる。

・ミルジヨエフの敵は、「彼は孤児だ。だから残虐なところがあって、昔何かのことで小さな児童を殴り殺したことがある」と言う。しかし、彼は上記のとおり孤児ではない。会って話してみても、性格に歪んだところはまったく感じられない(もっとも、ウズベクは強権でしか治まらないことを知っているから、利権がらみで彼に抵抗する者に対しては苛烈な手段を行使する)。
彼の義母は今年の1月亡くなったが、ミルジヨエフはその葬式に出席している。そしてこの時、実にカリモフ大統領以外の要人はすべて参列したと言って良い。ハイダーロフ大統領府長官、12の州知事・市長までが参列したのである。

・ミルジヨエフは2009年から、地方に赴いては州知事たちに引導を渡し、辞任に追いやっている。これは従来、大統領のやってきたことなので、「? これは後継がらみか」と思ったものだ。上記の葬式への参列者の件も含めて、かなり早くからカリモフの後継者として大事にされてきたようだ。そして「後見」者はイナヤートフ国家保安庁長官だということになっている。これも、秘密警察という暗い言葉とは異質の、人間性を感じさせる人物だ。

・ミルジヨエフは以前から、ロシアに近いと言われることがあった。それは、彼の娘の夫がバブール・ウスマノフと言って、ウズベク出身で今はロシアの大富豪になっているウスマノフの甥、ウスマノフの事業の後継者と目されていたからだ。しかしミルジヨエフ自身は、そのようなことでロシアに傾いたり、あるいは別のことで中国に傾いたりする人物ではないと思う。
因みにこのバブール・ウスマノフは2013年5月、タシケントで自動車事故で亡くなっている。


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