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世界はこう変わる

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2016年7月12日

IoTとかIndustrie4.0論議の虚しさ

(これは6月22日付メルマガ「文明の万華鏡」第50号に掲載した記事の抜粋です)

この頃の論壇とかセミナー界をにぎわしている話題は、AI(人工知能)、IoT(Internet of Things)、Industrie4.0、そしてこれらが合わさって起こす「第4次産業革命」といったところか。AIについてはこれまでも随分論じたので繰り返さないが、ロシアのペルミでこのほど製造中のロボットが自分で判断して街路に逃げ出し、捕物になったのだそうだ。もっとも、すぐ電池が切れて、ロボットは道の真ん中で座り込んでしまったのだが(その様子はここで見ることができるhttp://belnaviny.by/raznoye/v-permi-robot-sbezhal-s-testovogo-poligona.html。このロボットの外形はソフトバンクのペッパーにそっくり。ロシアでも、ロボット製造の世界分業チェーンに加わることは十分可能だということを示している)。

IoTの方だが、これはモノというモノにセンサーの類をはめ込んで、そのモノが今どこにあって、どう使われているかとか、動き方は正常かとか、いろいろな項目についての情報を「司令部」に恒常的に送信している。この膨大なデータをうまく解析すると、市場のパターンがわかったりするのだそうだ。もっとも、今までさして役に立ったという話しも聞かない一方、日本の企業でも実はずっと以前から実行しているところはある。典型例はコマツで、コマツの建機にはセンサーがし込んであって、地球の裏側のブラジルでもどこで何が何台稼働しているか、何をしているか、日本の本社で手に取るようにわかるのだそうだ。自社の建機が100%に近い稼働率なら、その国の景気は良くて、建機の注文がこれから沢山舞い込むから、その前に生産を増やしておく。または、分割払いで建機を購入しておきながら途中で支払いを滞らせた企業には、日本から信号を送ってエンジンが始動しないようにさせる。

Industrie4.0というのは、ドイツでの命名で、IoTの一種である。この頃の議論を聞いていると、ドイツが先行し、日本は「後れている」とされているが、必ずしもそうではない。コンピューターやセンサーを使って生産を集中管理している企業は、日本ではごく普通だろう。ドイツのIndustrie4.0はSiemensとかBoschが政府も引き込んで騒いでいるが、結局のところ自社が開発したプログラムをドイツ中の企業に売りつけることに狙いがあるように見える。日本の場合、生産のプロセスは企業の秘密であり、ここを他社の作ったプログラムに委ねることはあり得ない。

ドイツ人は頭でっかちで、「・・・はAであらねばならぬ(sollen)」と思い込むと、TPOにお構いなしにAを実行して失敗する。信号のない四つ角でなど、自分の方に進行優先権があると、相手の動きにお構いなしに突っ込んで衝突するのだ。もう1980年と昔のことになるが、僕が西独に勤務している時、西独外務省で面白い事件に出くわした。この時西独外務省は、「文書の集中管理」ということを始めたのである。例えばソ連との関係についての文書は担当官にコピーを作らせない。担当官は毎朝文書管理室から必要な書類を借り出して仕事をする。ところが夕方になると文書管理室はドイツ人らしく定時ぴったりオフィスを閉めて帰宅してしまう。担当官は残業ができなくなり、西独外交は生産性を大きく落とした。Industrie4.0の場合も、1社か2社が独占的に作ったプログラムを他社に画一的に押し付けようとしても、うまく行くまい。

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