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世界はこう変わる

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2015年10月16日

中国経済のほんとうのところはどうなのか

(これは、まぐまぐ社から発行しているメルマガ「文明の万華鏡」9月22日発売分の一部です)

中国経済と言えば「後退」の一字で語られる時代になった。7月の上海株価暴落(その後下げ止まっている)、元の切り下げと外貨準備の急速な減少が、その印象を決定づけている。僕も、来るべきものがやっと来た、という思いでいる。もともと中国経済は騒がれ過ぎで(米国の投資銀行などは大いに騒いで手持ちの中国株の値段を釣り上げ、大いに儲けた)、中国人までその気になって南シナ海の埋め立てなどを始めたが、もともと天井のある話しなのである。なぜか?

中国は、外資を取り入れ、彼らに製品を組み立てさせて輸出させ、それで得た貿易黒字でGDPを膨らませ、更に貿易黒字のドルを人民幣に替えて道路や鉄道のインフラを(必要以上に)建設して更にGDPを膨らませてやってきた。2000年代の経済成長率の約半分が貿易黒字の伸び、残りの半分がインフラ建設の伸びによっている。しかし中国は、これまで日本やその他の国でやってきた製品組み立てを代行して輸出しているだけ(だけと言ったら大袈裟だが)なので、仕向け先の米国、EUの輸入キャパ以上の輸出はできない。つまり輸出だけでは、以前の日本(「世界の工場」と言われていた)の勢い以上に出ることはできないのである。

ならば14億人の国内市場で消費を増やし、インフラ建設も進めて、内需で成長をはかればいいと思うのだが、これは1985年プラザ合意後、日本が試みて失敗したことだ。内需振興のためには国民の所得水準を上げねばならないが、当時の日本の場合も、今の中国の場合も、輸出増加なしには国民への配分は増やせない。もし予算や融資を垂れ流して景気を刺激しても、それはしまいに通貨のレートを下落させ、輸入を減らすだろうし、国内のインフレを激化させる。ドル表示でのGDP額も縮小してしまう。そして予算や融資の垂れ流しはバブルを生み、いつかは金融危機を起こしかねない。日本のバブル崩壊がそうだったし、中国の場合、2008年リーマン・ショックのあおりをかぶらないよう40兆円以上もの予算、銀行融資を垂れ流したつけが今になって不良債権の山となり、経済の脚を引っ張っている。

現下の中国経済で僕がわからないでいるのは、外貨準備は実際のところどのくらいあるのか、そして資本がどのくらい純流出しているのか、そしてもっと根本的には習近平と江沢民派の死闘はもう終わったのか、江沢民一派は資本を外国に搬出することで中国経済、そして社会全体の不安定化をあおっていたのではないか、それはもうやめたのか、ということである。9月3日対日戦勝70周年の式典で、江沢民一家が天安門上に揃い踏みの姿を見せたことで、片が付いたと思っていいのだろうか? 

中国の資本流出入の統計については、不透明なことが多すぎる。中国では輸出契約額を膨らませて海外から資金を国内に持ち込み、輸入契約額を膨らませて資金を海外に送金することが普通なので――人民幣が交換可能通貨ではなく、資本取引の規制が厳しいことが原因――、経常収支の中に資本収支の一部が隠れている。だから完全な実態はわからないのだが、2014年経常収支は伸びを続けたのに対して、資本収支が初めて960億ドルの赤字に転じたことが注目される。そして今年第一四半期には資本収支赤字額は拡大して1590億ドルを越え、経常収支の黒字額789億ドルを遂に上回ったのである。

他方、一時は4兆ドルに近づいていた驚異の外貨準備も、2015年になって減少のスピードを速め、8月には940億ドル弱減少して3兆5600億ドルとなった。一見、まだ十分あるかのように見えるが、1991年6月ソ連のパヴロフ首相が突然、外貨準備が底をついたという声明を発して全国民をショック状態に陥れた前例が思い出される。帳簿上あると言われていても、いろいろ突き合わせてみると何もなかったというのは、我々の生活上もあることで、中国も約1.7兆ドルの対外債務を抱えているので(うち70%程は短期の逃げ足の速い資金)、それほど安心してはいられまい。

中国の経済は、西側の経済とは違う。政治と企業の関係、「企業」の形態、GDPや資本収支の数え方、どれを取っても西側と質的に違うところがある。つまり読めない。まだまだ驚天動地のニュースで、西側の株式市場、為替市場を揺り動かしてくれることだろう。日本企業は、欧米への輸出のためには欧米自身、あるいはメキシコやバルカン諸国などその周辺、あるいは自国を生産基地とし、中国の膨大(と言われる)な国内市場へは高級品だけを輸出する方向で投資の方向を変えていくべきだろう。

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