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世界はこう変わる

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2014年8月 7日

住民不在、意地と欲のウクライナ

(以下は、7月30日http://www.nippon.com/ja/column/g00206/ に投稿した記事です。冒頭部分のみここに転載します。続きはNippon.comの方でお読みください。
なおその後も情勢は動いていて、今日はロシア軍のウクライナ侵入があるかもしれないという発言が行われています。


 東ウクライナでは遂に民間機が撃墜されて、298名もの人々が命を失った。そして東ウクライナの住民も、余所者同士の争いに巻き込まれるのを嫌って、50万人以上もがロシア領に避難した。しかしウクライナをめぐる東西対立の一方にいる米国オバマ政権は、この紛争で何を求めているのか、どこまで行くつもりなのか、明確な方針を欠いている。ロシアの方も、好戦派と妥協派がクレムリンで争っていると伝えられる。あえて野球試合に例えると、投手はノーコン、打者はファンが勝手に登場、観客ゼロといった乱戦に相当するだろう。

 このようになったのは、ヤヌコーヴィチ前大統領がEUの財政支援を引き出すために連合協約を結ぼうとしたものの、プーチン大統領から猛烈な反発と同時に融資供与という餌を差し出されるや、連合協約をあっさりと捨ててしまったことに発する。かねて米国NGOなどが養ってきたウクライナの「民主主義」勢力は反ヤヌコーヴィチ運動を盛り上げ、それに全国の不満青年分子が糾合してキエフで無政府状態を演出、ヤヌコーヴィチを追い出してしまった。これを米国による対ロ攻勢と認識したプーチン大統領は、それから僅か3週間余でクリミアを併合し、ロシア海軍の基地セヴァストーポリという最低限の足場を守ったのである。

もっと端的に言うなら、米国の一部勢力はウクライナをEUやNATOに組み入れて、冷戦におけるソ連の「敗戦」を決定的なものにせんとし――オバマ大統領の意志ではない―、できるならロシアにおいても「レジーム・チェンジ」で民主化を実現したいと考えている。他方、プーチン・ロシアの方は、冷戦での敗戦はオウン・ゴールだと思っていて、敗戦意識はもう消えている。リーマン金融危機で米国は弱体化したと思い込み、自分の勢力圏・商圏を囲い込んで「ユーラシア連合」を作る好機と考え、そのためにはソ連内でロシア共和国に次ぐ勢力を持っていたウクライナを是非確保しておきたい。今のウクライナは、ソ連崩壊という大地震の後の、いわば揺り戻し、米ロの意地の張り合いの場になっているのである。

続きはhttp://www.nippon.com/ja/column/g00206/ でご覧ください。

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