Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
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世界はこう変わる

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2014年7月25日

メルマガ 文明の万華鏡第27号 を発行しました

メール・マガジン(有料)「文明の万華鏡」第27号を発刊致しました。

右の目次は次のとおりです。先月号から料金を半額、毎号300円強に致しましたので、この機会に是非「まぐまぐ」社から定期購読予約をお願いします。

(目次)
「集団的自衛権」について
随筆:集団的自衛権狂騒曲
随筆:げにすさまじきもの――街中で中国人男女の傍若無人――
随筆:げにすさまじきもの――新聞を車内で読む中老年男――  


ご参考までに、メルマガの冒頭部分を下記に転載します。

―――まるで世界大乱とも言える情勢です。ウクライナ、アラブの春の後始末、シリア、イスラエル・パレスチナ、イラク、南シナ海、尖閣、北朝鮮のミサイル好きと、世界中に「火」のマークがついているような時代で。

その中で、中韓無しの片肺飛行(主エンジンの日米関係にも異音)、ロシアや北朝鮮方面を開拓して足しにしようとしてきた安倍外交は、まさに
そのロシアと北朝鮮方面で米国とベクトルが行き違うこととなり、水入りという状況です。
この1ヶ月で目立ったことは、習近平政権による腐敗一掃の動きが江沢民系や共産主義青年団系の高位軍人、政治家にまで及んでいることがまず挙げられます。夏には幹部リゾートの北載河で当面の重要政策について内々の摺合せが行われるので、9月以降の中国内外政がどうなるか注目しています。

インドのモディ新政権が、最初の外遊は日本にすると言っていたのを先延ばし、目下中国との関係強化にひたすらなのも、目に留まるところです。インドに「対中カード」としての役割を安易に期待していた日本人にとっては、冷水を浴びせられた思いでしょう。モディ首相としては、何よりもまず経済ありきで、そのためには中国との関係を安定させ、製造業投資を呼び込みたいのでしょう。中国製造業はあまり海外への投資をしていないことは、モディ政権当事者は知らないようです。

習近平国家主席が北朝鮮より先に韓国を訪問して中韓蜜月をぶち上げたことも、特筆されることです。そしてそれよりも、朴大統領が米国で築いた対韓好感度は牢固として残っていて、米国は韓国の対中傾斜にさして懸念の様子がないばかりか、韓国と歩調を合わせて日本の対北朝鮮外交に文句をつけてきたと報道されている点が目に付きます。近年、韓国人の米国移住は多数にのぼり、人数、質ともかなりの人材がワシントンの安全保障政策決定ネットワークに入り込んでいることが、このようになっている背景にあるでしょう。韓国は米国と利害が対立することが少ないため、米国も安全保障面での韓国系の容喙を許しやすいのでしょう。日本はこの点が弱く、もっぱら「外部から」米国政府に物申すしかありません。

もう一つは、イラクで快進撃をしていたISISについての報道があまり見られなくなったことも目に付きます。世界中であまりに紛争が多いため、CNNも全てをカバーしきれず、ある日はウクライナ、次の日はイラク、そして次の日は南シナ海というように事態が「突然緊迫」しては次の日は画面から消える、というような感じなので、真実を把握できなくなっています。ISISについては、同じスンニー派のサウジ・アラビア政府がむしろ抑える方向を露わにし出したことが目に付きます。7月2日、オバマ大統領はサウジのアブドラ国王に電話、イラクのISISについて協議するとともに、サウジがイラク政府に5億ドルを供与したことを評価すると言ったようです(Reuters)。そしてロシアのラヴロフ外相は6月末サウジを訪問して、イラクの領土保全を尊重するべきことで意見の一致を見、この点では米国とほぼ同じベクトルを示しているのです。ISISはシリアの反政府過激派の流れだと報道されていますが、恐らくサウジや湾岸諸国からの援助が途絶えたことが、彼らを南下させたのではないでしょうか。そしてサウジの政策変更は、2月のファイサル王子の外相就任、4月のバンダル総合情報庁長官解任に象徴されていると思います。

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