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世界はこう変わる

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2007年9月 1日

ロシア大統領選挙は経済困難の年となるのか? ―サブプライム問題の影響と「2008年問題」

米国の住宅融資の一種「サブプライム」のバブルが崩壊したため、世界の株式、為替市場は乱高下を続けている。ロシアではどうだったか? 1997年のアジア金融危機は1998年8月にはロシアの債務不履行、ルーブルの大幅切り下げ(確か3分の1ほどに)につながったから、今の状況を大いに関心をもって見ている。

98年と違ってロシアはオイル・マネーを溜め込んでいるから、まだ破局の兆候は見られない。株式相場が年初に比べて10~12%落ちたのが目立つくらいだ。

しかし、ロシア経済の好調は外国からの借金で維持してきた面が強い(外国で低利の資金を手に入れては、それをロシア国内での消費者ローンに回して消費ブームを演出し、建設に回して建設ブームを起す)のだが、そろそろ不良債権を抱えだしたロシアの銀行は、これまでの低利では借りられなくなってきた。
世界の金融機関はリスクの高い融資案件を忌避しつつあり、これまで西欧でユーロ・ボンドを大量に発行してきたロシアの企業も、資源企業は除きボンドの買い手がつかず困り始めた

しかもロシア国内でも、外国人投資家はロシアでの資産を急速にドルにかえて、手仕舞いを始めている。そのためルーブルがたたき売りされ、ドル・レートが上がっている。
政府は今のところ、豊富な外貨準備にものを言わせてルーブルを買い支えているが、ルーブルはジリ貧になる可能性もある。

このままではさしあたり、来年ロシアの企業が対外借り入れを返済する際、条件が非常に不利なものとなりかねない。ルーブル・ベースでの返済額が膨れ上がる可能性があるし、再借金して借り換えようとしても、高金利を払わざるを得なくなる。石油収入があると言っても、爆発的な消費ブームで輸入が急増しているため、2008年か遅くとも2009年には貿易黒字も消滅する可能性がある。オイル・ブームが演出した「ロシアの復活」ももはやこれまで?

というわけで、ロシア国内では「2008年問題」という言葉が流行りだした。3月には大統領選挙、7月には日本でG8首脳会議があって、新しい大統領が国際舞台に顔見世をする大事な年だ。ロシア経済は、いやロシアの安定それ自体が、アメリカの住宅ローン問題に翻弄されることになるのだろうか?

最近のロシアでは石油価格上昇のために、ルーブルが上がると同時にインフレも進行するという、普通の工業国では考えられない現象が顕著になってきていた。07年になってからも、経済は表向き高成長を維持しているが、そのかなりの部分対外借り入れと建設に支えられていて、自力で盛り上がる力に欠ける。ここでルーブルが下落すると、インフレは一層昂進するのではないか? 12月に総選挙、来年3月に大統領選挙を抱えているのに、困ったことだ。
もうちょっと、ロシアの統計を丹念に見ないといけないが、とりあえずロシアや外国での報道からいくつかの事実を集めてみた。

★8月21日の閣議でプーチン大統領は、「(ロシアの株相場が7%下がったのは)調整だ。外国でほどひどくない。年末までには、ロシアの株も7月のレベルに戻るだろう、と言うグレフ経済発展・貿易相の意見に賛成する。西側では、前向きのサインもある」と述べる。

★ドル供給
外国投資家がリスク資産手仕舞いでルーブル資産を売却し始めたため、中央銀行はドル売却、ルーブル買い上げの操作を行う。これは、8月17日までに55億ドルに達した。
その後いくらの介入をしたかはわからないが、中銀が8月30日発表したところでは、外貨準備は8月24日時点で4,138億ドル(世界3位)あり、同17日の4,147億ドルに比べて9億ドルしか減少していない。
★ルーブル供給
中銀がドル売り、ルーブル買い介入を続けたためにルーブルが市場に不足したらしく、中銀はルーブルを市場に供給する。

・8月15日:220億ルーブル供給(金利6,18%)。
・8月22日:1,275億ルーブル
・8月23日:1,200億ルーブル
・8月27日:1回、2回に分けて計2,615億ルーブル供給(6,11%)
・8月31日:1回目499億8000万ルーブル、2回目、437億8000万ルーブル供給(6,09%)
(以上は約250億ドルに相当する)

★外国での借り入れ、高価に
○07,8 外国でのユーロ・ボンド発行が高価、または不可能になってきた。従ってこれまでロシア企業が国の内外で活発に行ってきたM&Aも一服。
○ロシアの銀行資産の15%は外国からの借り入れ。それは総額2,65兆ルーブル。
○そのうち特に海外で低利で借り、国内で高利(時には120%)の消費者金融をしていることが特筆に価する。特にルースキー・スタンダード社が非難され、調査されている。
これは、今回のように海外で金利が上がると脆弱になる。
国内金利も上昇している

○ロスネフチの債務は250~260億ドル。
だが、サブプライムでユーロボンド発行できず、リファイナンスに困っている。
中国はそこに付け込んでいる。

○「2008年問題」
・07年初め、ロシアの10の資源企業の株価総額は6,500億ドルで、GDPの3分の2。
ガスプロムだけで2,700億ドル。エクソン・モービルは米国GDPの3,5%以下。
・このバブルを背景にこれら企業は対外借り入れを増やしてきた。
このため、03~06年に公的債務は980から660億ドルに減ったが、銀行・企業(特に国有)による借り入れは310から1,670億ドルに増えた。

返済が増える中で金利も高くなり、ルーブルも下がって、返済負担はいや増し=「2008年問題」
                                                         (了)

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