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2019年9月 8日

米国の中距離ミサイルの復活で、中国のAD A2能力は無害になるか

(これは8月28日に発行したメルマガ「文明の万華鏡」第88号の一部です)

 米国は1987年の米ソ中距離核戦力全廃条約を撤廃、18日には陸上配備中距離巡航ミサイル(実体は2000年代まで太平洋にも海上配備していた巡航ミサイル「トマホーク」)の発射実験を行った。海上、海中から発射できる巡航ミサイルなのだから、陸上から発射できないわけがない。新たに開発する必要もなく、じきに実戦配備になるだろう。但しトマホークの核弾頭は2010年代初頭までには取り外され、その後廃棄されているので、核装備はまだできない

 核弾頭ではないけれど、トマホークがグアムに陸上配備されることで、中国のAD/A2能力(中国は、米国の空母艦隊が近づけば、弾道ミサイルで撃沈すると豪語し、米艦隊が中国周辺に近づきにくいようにしている。これを専門家はAD/A2と呼んでいる)が無害化されると言う声があるが、通常火薬弾頭のトマホークは今でも、米国の潜水艦は搭載しているはず。有事には、これで中国のミサイル基地をたたくことは、これまでも可能だったのだ。グアムに陸上配備されるということは、抑止力を「見える化」しただけのことである。

 なお、今回の米国の発射実験に使われた発射基が、日本に予定されるイージス・アショアにも配備されることとなると、ロシア、中国は言いがかりをつけてくるだろう(既につけてきているが)。「イージス・アショアはミサイルを撃墜するミサイルを発射するだけではない。自分たちの領土を攻撃できる中距離巡航ミサイルも発射できる。けしからん」というわけだ。

 これについては、「日本は専守防衛なので、そのようなことはしない」と言っておけばいいだろう。日本がいつ、ここに中距離巡航ミサイルを配備するか、中ロを疑心暗鬼にしておけば、抑止力、あるいは交渉の具になるだろう。日本が中距離ミサイルを配備するのはけしからんと言うが、自分たちは既に配備、あるいはロシアの場合これから配備しようとしているではないか。それに、北朝鮮の短距離ミサイルはロシアの短距離ミサイル「イスカンデル」に酷似しているとも言われている。

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