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2015年7月 4日

日韓関係 これからの50年

(これは6月23日発売のNewsweek誌に掲載されたものです)

「日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約」(日韓基本条約)署名から五〇年。この間韓国は躍進して自信をつけるにつれ、戦前三十五年間にわたる併合のしこりを克服し、日本との交流を拡大してきた。

 しかし日本と同様、韓国も首脳の一存で政治は動かない。市民運動の盛んな韓国では、何かのきっかけで反日気運に火がつくと、反日でない識者も発言を控え、それによって日韓関係は前進と後退の波を繰り返す。二〇〇二年ワールドカップの共同開催で盛り上がった日韓関係は、その後盧武鉉、李民博政権それぞれの末期に反日の波が起り、現在の朴槿恵政権もその波の中にある。

反日の根
李民博政権末期以来、つまり今回の日韓関係冷却の発端は、二〇一一年八月韓国の憲法裁判所が、元慰安婦の賠償請求権問題で韓国政府が具体的な措置を講じてこなかったのは違憲、との判断を示したことにある。日韓両政府は、基本条約と同時に締結した「財産及び請求権に関する協定」で相互に請求権を放棄しているが、憲法裁判所はそれを違憲と判断したことになる。当時社会の中枢を担うようになっていた「三八六世代」(高度成長の朴正煕政権時代、反政府運動をして弾圧された者が多い)の、戦後の外交見直しを求める声に影響されたものであろう。

韓国は市民運動が強く、世論は大きな力を有する。そこで李民博政権は慰安婦補償問題について譲歩を野田政権に求め、拒否されると大統領自身が竹島を訪問して世論の圧力を交わす挙に出た。これを受け継いだ朴槿恵大統領は、世論に極度に敏感だし、反対派を力で弾圧しつつ日本からの支援を引き出して経済を建設した朴正煕大統領の娘でもあるだけ、なおさら日本に甘くするわけにいかない。

これに対して日本としては、一九九五年、「財団法人女性のためのアジア平和国民基金」を設立して募金を集め、それを韓国政府に渡して元慰安婦への配分を委託したことがあるので(政府予算を用いると、政府間の請求権を相互に放棄した上記「財産及び請求権に関する協定」を自ら骨抜きにしてしまうので、民間募金を募ったのである)、何回もこの問題の再検討を求められても釈然としない。

無理して譲ってみたところで、韓国側は必ず新しい要求を掲げてくるだろう。韓国では、今様のポピュリズム政治と並行して、昔ながらの権威主義、つまり「格」で人間の上下関係を固定する思考が未だに強い。社会から指弾される罪を犯した者の家系は、長年にわたって差別される。それは国際関係にも及んでいて、日本をいわば「永世犯罪国」に仕立てて低位に位置づけようとしているのである。

お互いキレずに対等に
しかし、韓国人も日本人も四六時中相手のことを考え、憎しみ合っているわけでもない。毎年、両国間では五百万以上の人間が往来している 。日韓市民は双方のポップ・カルチャーを楽しみ、両国企業間の協力関係(競合もあるが)には緊密なものがある。韓国への直接投資では、日本が毎年二十~三十億ドル周辺で、首位、または米国に次ぐ二位を続けている 。朝鮮半島有事の際の米軍司令部は日本に置かれているし、自衛隊と韓国軍には長年の交流実績がある。双方は、米軍を媒介して機密情報を共有する仲でもある。首脳会談はもう四年以上も開かれていないが、「日中韓協力事務局」が二〇一一年以来ソウルで活動し 、三国はここに外務省の幹部を常駐させて、首脳会議、外相会議の準備など三国間協力の問題を常に話し合っている。

日韓が疎遠な関係を続けることは、両国自身の利益にならない。北朝鮮にしてみれば、願ってもない展開だろう。かつての日本は韓国に行って眺めると、GDPで十倍以上の大きさ、さながら海の向こうに屹立する壁のように思えたが、現在は三倍強、国連事務総長、世界銀行総裁などの要職も韓国人が務めるに至っている。日韓双方とも感情に支配されることなく、双方の外交の中に対等の主権国家として相互をしっかりと位置付けるべき時なのである。

また日韓関係はそれだけで独立して考えるのではなく、北朝鮮等との関連において考えていくことも必要である。北朝鮮で指導者の不意の交代があった場合には、日韓間の緊密な意志疎通が必要になるし、朝鮮半島再統一ということにでもなれば、それは人口七千万強の強国が隣に出現することを意味するので、日本の外交は大きな再編成を迫られる。その時は、北朝鮮の開発した核兵器の扱いが国際的な問題となろうし、統一された国と全く新たな条約を結ぶのか、それとも韓国との条約類をそのまま適用するのかという問題も生ずる。統一された国家が米中の間でいずれに傾くかによって、日本をめぐる安全保障環境も激変するだろう。韓国との関係は過大評価も過小評価もせず、キレずにじっくり進めるしかない。

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