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世界はこう変わる

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2016年12月14日

世界のメルトダウン その26  理念の時代から情念の時代へ 倨傲と傲り

(13年前、「意味が解体する世界へ」という本を草思社から出版した。
米国のイラク攻撃が、「自由」とか「民主主義」というスローガンへの幻滅をかきたてると同時に、米欧諸国の足元でも移民により多民族国家化が進行し、近代の「自由民主主義」が危殆に瀕している様を随筆風に書いたものだ。僕が自分の書いた中でいちばん好きな本。
そして今、13年前に書いたこのことが、世界のメルトダウンを起こしている。
それについて共著本の出版を策していたのが頓挫したので、ここに自分の書いた分を発表していくことにする。これはその第26回)

 他方、先進国の側には倨傲、驕りが見られる。これは途上国、旧社会主義諸国を自分より劣ったものと決めつけ、彼らを「善導」する権利が自分にはあるとするものである。それは欧米の白人だけでなく、我々日本人の心の中にもあるものだ。

特に米国人の一部は、ソ連が崩壊したことで米国の主張を世界でほしいままに実現できるようになったと思い込んだ。ロシアの感情に顧慮することなくNATOを拡大してプーチンの反撃を招いたのも、そうした倨傲の結果だし、一九九〇年代末期お手盛りで金融規制を緩和してマネー・ゲームに耽り、その結果リーマン・ショックを招いたウォール・ストリートの連中もまた、「国際通貨ドル」にあぐらをかいた倨傲に耽っていたと言える。倨傲、驕りはその対象となった相手の怨念を呼び、紛争の源となる。

 戦後、敗戦国の日本とドイツは、自己宣伝を控えつつ、経済援助や戦争犯罪の摘発など、静かに徳を積んできた。戦後の復興に努めているアフガニスタンでは、日本からの経済援助で警官の給料がまかなわれ、社会の安定を何とか維持しているのである。これを知ったアメリカ人がある時筆者に、戦後の日本、ドイツの「陰徳」を称賛し、両国のすることが世界の平和と繁栄に役立ってきたんだな、と述懐したことがある。筆者は言った。「その通り。そしてそれは、日本やドイツがhumbleで、自分のやっていることをあまり言い立てなかったおかげでもある。今度は米国がhumility(謙譲)を実践する番だ」と。

米国人はこの頃しきりに、humilityという言葉を使う。だがその裏には「強い者、優れた者は自分の力を少し抑制してしかるべし」という上から目線の意味があって、少しも謙遜はしていない。謙遜して見せることさえできる自分を誇っているのである。世界を差配したいのであれば、無私、かつ控えめにならなければ、とても受け入れてもらえないだろう。
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