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世界はこう変わる

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2016年10月30日

世界のメルトダウン その19  国際紛争の新たなactor達7 野放しになった軍事行動

(13年前、「意味が解体する世界へ」という本を草思社から出版した。
米国のイラク攻撃が、「自由」とか「民主主義」というスローガンへの幻滅をかきたてると同時に、米欧諸国の足元でも移民により多民族国家化が進行し、近代の「自由民主主義」が危殆に瀕している様を随筆風に書いたものだ。僕が自分の書いた中でいちばん好きな本。
そして今、13年前に書いたこのことが、世界のメルトダウンを起こしている。
それについて共著本の出版を策していたのが頓挫したので、ここに自分の書いた分を発表していくことにする。これはその第19 回)


野放しになった軍事行動

戦後何度も繰り返されてきたことであるが、米国が海外での武力介入を抑制する中で、中国、ロシアが実力を行使する例が増えている。二〇一五年中国は、フィリピンなどとの係争中の南沙諸島を埋め立て増強、軍事基地とする構えを示した。また別の係争海域に進入したベトナム漁船には中国の海警艦船が体当たりし、漁船を沈没に至らしめる例が数件生じた。また二〇一五年九月には、シリアでロシア軍が爆撃を行った。西側のIS攻撃に協力すると言いながら、作戦のかなりの部分は準同盟国シリアのアサド政権擁護のために、西側が支援している反アサド勢力爆撃にも向けられた。千五百キロもの彼方のカスピ海に浮かべた軍艦から発射される巡航ミサイル、地中海に潜航する潜水艦から発射される巡航ミサイル、長距離爆撃機から発射される巡航ミサイル等、ロシアは国防費を大増強して装備の近代化に励んできた成果をシリアで実験しているように見えた。

新型兵器の「実地試験」は、米軍もやることがある。だからロシアは、「米国もしていることを自分がやって何が悪い」と言うのだが――子供じみている――、米国の場合、他国のプラスになることも多くやっているので、目をつぶってもらえる。だが、ロシアの場合そうはならない。ロシアの行動は利己的なことが多いし、米国の武力行使を批判しながら、米国と同じことをやるので、世界での支持を得られないのである。

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