Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
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世界はこう変わる

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2020年7月25日

7月の情勢まとめ メルマガ 文明の万華鏡より

まぐまぐ社から発行しているメルマガ「文明の万華鏡」は7月22日に第99号を発行しました。それの、「はじめに」は最近の情勢のサマリーになっているので、ここにアップ致します。

コロナ蟄居ももう4か月。世界中、コロナや天然災害の話しばかり。「コロナ後」はどうなるかという議論も盛んですが、オフィス不要論等々、大袈裟なものが多いと感じます。実際には、飲み会等々、「コロナ以前」に一刻も早く戻りたいというエネルギーが社会に満ちているのですから、コロナ後の社会が一変していることはないでしょう。

私自身について言えば、コロナ前はAIのこととか、空飛ぶ車とか未来への「進歩」のことばかり考えていたのですが、コロナで世界は50年ほど過去に引き戻されてしまった感があり、「米国の人種差別等、今さら議論しても仕方ない。やるしかないだろう」、そういう感じで、知的なチャレンジを感じない日々を過ごしています。

米国では白人が少数派に転落するという恐怖感が今の展開の根底にあり、中国は19世紀植民地主義勢力から受けた辱めを濯ぐことばかり考えています。つまり世界は、「これまで清算せず、ただごまかしてきた過去の中に引き戻され、これを何とかしろと言われている」状況なわけで、ここは評論家・批評家ではなく、実務家の出番です。処方箋はわかっているのですから。

日本でのコロナについては、相変わらず実態、真相がわからない中で、「今日の感染者数」に振り回される状況が続いています。政府・自治体はすべてを知っているのに、「今日の感染者数」だけある時は多めに、ある時は少な目に、というように操作して、国民の鼻面を引き回しているのか、PCR検査をやたら増やして陽性の者をやたら見つけても、治療薬もなく、隔離病床は足りず、ホテルを用意しても無症状者は行きたがらない、という現状では社会に混乱を呼ぶだけだから、適当に国民をごまかしているのか、それとも総理官邸には保健分野の知見・調整能力が欠けているのか等々、何もわからず歯がゆいことしきりです。

この問題では、かつて国会で社労族だった安倍総理の医療業界への配慮、そして日本の観光・旅行業界のドンであるところの二階・自民党幹事長への配慮、菅官房長官と小池都知事の間の確執等々が、種々決定の迷走を呼んでいるのかもしれないのに、そこはマスコミのタブーになっているようです。

因みに東京都のサイトhttps://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/cards/number-of-tested/で見ると、面白いことがわかります。5月20日時点で検査数(PCR検査のことでしょう)は約1200、これが6月には約2000周辺で推移しました。ところが7月から急増して16日には4485件に達しているのです。まるで、7月5日の都知事選で検査増を「解禁」、夜の街関係者への検査を強化し、不要不急業種を自主閉鎖に追い込もう、そうやってももう選挙でしっぺ返しを受けることはないから、と考えているように見えます。

その間、コロナはじわじわ広がっていたようです。と言うのは、検査件数のうち陽性だった率は、5月20日で約1,2%、7月16日で約6,5%で、上昇しているからです。「今日の感染者数」に加えて、「陽性率」も公表してくれという、世論の要請に都や政府が応えてこなかったのには、こういう背景があるのかもしれません。そして、日本での死亡率は低いと言われるけれど、だいたい4%程度なので、これは世界平均と殆ど変わらないのです。

この問題の根底には、コロナには治療薬がない、ワクチンもないという問題があるのですが(ロシア、英国で開発しているワクチンは、秋には使えるようになるかもしれません。あまり借りを作らずに輸入し、国内でうまく配分しないといけないでしょう)、これができたところで、コロナは完全には消えないでしょう。人が集まる場所での紫外線殺菌灯常置を義務付ける等(関連株を持っているから、こう書くのではありません)「ウィズ・コロナ」の体制を作っていくしかないのでしょう。

ということで、今月の目次は次のとおりです。
 
 コロナで足踏み・ポピュリズム
 「トランプ落ちるかも」議論の台頭
 企業は誰のものなのか?
 米国が提供する核抑止力の劣化
 今の世界の四大災危について
 今月の随筆:生命の起源

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