Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
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世界はこう変わる

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2018年4月27日

4月の情勢

25日に、「まぐまぐ」社からメール・マガジン「文明の万華鏡」第72号を発行しました。その冒頭部分を如何にアップ致します。4月、日本をめぐる情勢をまとめたものです。

 ―グローバル水雷艦長―
子供のころ、水雷艦長という遊びがあって、戦艦は駆逐艦より強いが水雷よりは弱く、水雷は駆逐艦より弱いというような、力の相対性を基礎とした鬼ごっこでありました。今の世界は水雷艦長さながら。世界の番長政治家トランプが、米国の軍事・経済的底力をバックに、中国、ロシア、日本、北朝鮮と次々に黙らせ、戦後世界秩序における米国の取り分を取り返そうとする中、彼自身は国内でセクハラやらロシア・コネクションやらでそろそろ弾劾でも始まるかという、「グローバル水雷艦長」戦となっております。

 トランプのやり口はいろいろ批判されますが、あれだけ荒っぽいことをやっても言っても、中国もロシアも主に口先で言い返すだけ。手荒なことは避けてじっとしています。14日に米国はシリアに百発以上ものミサイルを撃ち込んだのに、「第3次世界大戦」勃発を警告していたロシアの識者達は、だんまりを決め込んでいます。米ロ両軍はシリアで、直接衝突を避けるために綿密な接触を続けていますので、このミサイルもロシア軍に絶対当たらないよう、シリア政府軍関係施設だけを狙ったのでしょう。

 その中で日本は、米国の政高官低を真似たためか、あるいは社会全体の劣化を反映してか、省庁体制の空洞化が歴然としてきました。いやそれどころか日本は、室町時代のような絶対権力の不在、ガバナンス全体の空洞化、真空化の兆候を露わにしています。

安倍政権は目下、行き詰まり。街の景気は良いですが、それを支えてきた輸出の好調は、トランプの政策でこれから抑えられるでしょう。振り返れば、安倍政権が登場して以来オバマ政権は、日本が円安で輸出を増大させ、国力を回復するのを容認してくれていた気味がありますが、トランプはそろそろ日本側にも「pay back」させようとしているのでしょう。

その中でTPPが、日本にとってお守り札のような存在になってきたのは、反米の観点からTPPに反対する人が多かったことに鑑みると、滑稽なものがあります。今やトランプの保護主義から身を守るために、「米国に押し付けられた」TPPにすがるという構図になっているからです。なおかつては、TPPの中のISDS条項(投資家対国家の紛争解決:例えば日本への直接投資で違法な扱いを受けた外国企業は、その国を、国際連合国際商取引法委員会(UNICITRAL)または投資紛争解決国際センター(ICSID)等に訴えて損害賠償を求めることができる)が、TPPに反対する有力な論拠となったものですが、こうした条項はこれまでの日本の他のFTA等にも含まれている定番で、さしたる害をもたらしていないことは報道されませんでした。TPPにこの条項が入っているので、中国がこれに加盟して来た場合、外国の企業は対中投資で不法な扱いを受ければ中国政府に訴えると同時に上記の国際組織に仲裁を要請することができるので、かえって好都合でしょう。

―明治以来の官僚国家の瓦解へ?-
対米でも対中でも対ロでも経済でも、安倍政権はポイントを上げることができず、数々のスキャンダルで国会審議はストップ。ところが四分五裂の野党は、今総選挙をやられるのを怖がっていて、何か政権から譲歩を得たところで国会審議を正常化したい。
その何かは何かと言ったら麻生財務相の辞任なのでしょうが、安倍総理は信義にあつい人なのでそれはやらないでしょう。あり得ることは財務省の解体と、その中での麻生財務相の自然な辞任(多分もっといいポストを与えられ、焼け太るでしょうが)でしょう。予算編成は内閣に「予算局」を設けることで、完全に政治家の自家薬籠中の物となり、財務省は、戦前の内務省に代わって戦後獲得した筆頭官庁の地位を完全に失うことになります。

財務次官の「セクハラ発言」では、次官の言動の異常な軽さがテレビに如実に映し出され、官僚神話が地に堕ちたことをダメ押ししてくれた感があります。アベノミクスはほぼ一貫して財務省に財政赤字の拡大による景気振興という煮え湯を飲ませることで成り立ってきたのですが、財務省は黙らされた上に、遂には切り刻まれることになるのでしょう。

それで財務省を嫌ってきた人たち、予算をくれないので恨んできた人たち(筆者も含めて)が快哉を叫ぶのはいいのですが、官僚機構が砂の城のように崩れた場合、日本を統治する存在がなくなると言うか、選挙のことしか考えない政治家の思い付きで引き回され、支離滅裂になっていくでしょう

もう一つの策として、自民党総裁選を9月から6月くらいに前倒しして、総理をすげ替えることも可能でしょうが、それを安倍チームがすんなり呑むかどうか。そして石破氏、岸田氏あたりが首相になって、果たして世間は落ち着くものかどうか。その時は、次期総選挙に向けて橋下徹氏、あるいは小泉進次郎氏の入閣で自民党の人気を維持することになるでしょう。野党の方は分裂しているために、政局の主導権を取ることはできないでしょう。

―4月の国際情勢は宙ぶらりん期―
4月の国際情勢では、多くのことが宙ぶらりんでした。米中の貿易交渉はまだ水面下にありますし、米朝首脳会談もこれがどんなものになるか予想がつかず、ロシアは5月7日の「新」大頭領就任式までは新しい政策の仕込みの期間に当たります。ただロシアでは既にいくつかの利権争いが表面化するとともに、その多くがメドベジェフ首相に不利なように仕組まれており、彼の首相再任はもうなくなった、という声が高くなっています。またプーチンの第4期政権に新機軸を期待する声は聞かれず、気の抜けた「どうせ停滞だろ」的な論調が支配的になっています。

今月の目次は次の通りです。実はこれと同じ量のものを書いてあるのですが、長くなりすぎるので、分割して後日お送りしようと思います。

 国の組み合わせを変えてみる
   (トランプが東アジアで起こすガラガラポン)
   (朝鮮統一で日本はどうする?)
   
 中ロ準同盟のきしみ
   (対立が常態)
   (中ソ蜜月へ―ソ連のDNA、中国に注入)
   (中ソ対立が定番だった30年間)
   (中ロ提携へ―反米のための便宜結婚)
   (中ロ間の摩擦要因)

 随筆:国破れて観光客あり 京都、大阪の惨状
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