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世界はこう変わる

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2020年6月26日

ロシア旬報第3号 経済 2020年2月から6月

(今でも、旧ソ連圏でのできごとについては、ロシア語、英語のニュース、論評を毎日読んで、自分でデータ・バンクを作っている。それをベースに四半期ごとに若手の専門家の参加を得て勉強会を開いている。そのデータ・バンクを旬報として、簡単なコメントつきで公開することにした。あと何年できるかわからないが、お役に立てば幸い。日付は新しい順に並べてあるが、乱れているところもある。情報源として、IとかKとかの略号があるが、これはイズヴェスチヤとコメルサントの略。何もないものはwww.centrasia.ruあるいは日経の記事である)

この期間のロシア経済主要点

1.ミシュースチン首相就任までの停滞

3月にコロナ禍がひどくなるまで、経済での話題はミシュースチン新首相の手腕にしぼられていたと言っていい。ロシアの経済は2014年クリミア併合後の西側による制裁、そして同時に起きた原油価格暴落でルーブルが急落(ロシア中銀は外貨準備減少を嫌って、介入するのを途中で停止)、インフレ率が上昇して国民の実質可処分所得をこの5年にわたって下げる結果となった。プーチン政権はカンフル剤として、2024年までの大統領任期中に25,7兆ルーブルを官民合計で支出して一連のインフラ建設プロジェクトを展開することを企図(national projectsと称している)、予算は2019年から開始されたが、対象プロジェクトの決定、政府調達等関連規則の制定の遅れ等から、予算消化率は2019年9月時点で52%にとどまり、景気を押し上げるどころか、腰折れさせてしまうことになっていた。

2.ミシュースチン首相を迎え、ロシアは西側並みの金融・財政積極政策へ

 ミシュースチン新首相は徴税にITを導入することで、徴税率を飛躍的に高めた剛腕の人物である。メドベジェフでは始末に負えなかったナショナル・プロジェクトをジャンプ・スタートさせることが期待されていたのだろう。1月の国家歳出は昨年同期を53%上回った。これは昨年1月の数字が低かったせいもあるが、年間予算の8,8%に相当しており、2015年以来のハイ・テンポとなった(2月17日付intellinews.com)。これまでインフレを警戒して利下げに渋かった中銀も、2月7日には25ポイント利下げして政策金利を6%とした(インフレ率は2,4%)。最近、西側諸国で顕著になっている金融・財政総動員の拡張政策に、ロシアも踏み切ったかに見えた。

3.コロナによる中断

しかしさすがのミシュースチンも、政府全体(次官レベルまで)の人事刷新を短期に実現できるだけの人脈は持っておらず、戸惑っているうちに世の中はコロナ一色となり、ミシュースチンは後景に退いた。3月以来数度にわたって発表された救済策(5月までで総額はGDPの2,8%相当―5月12日付けintellinews.com)にしても、ミシュースチンの影は薄かったのである。そればかりか彼は4月コロナに感染して隔離され、職務を停止した。
コロナ禍が激化した3月下旬、プーチンは「有給休業」を不要不急の企業に指令。この措置は2度延長されて5月12日に一部解除された。非常事態は発令されなかったが、在宅強制等実施は厳格、かつ原油輸出価格の暴落もあって、4月のGDPは28%、税収は31%低下した(5月20日付Intellinews.com及び5月6日付Moscow Times)。原油価格が急落したこともあり、ロシア経済は一時悲観一色となった。当初、0,8%分の黒字を見込んでいた財政も、一時は4%の赤字を見込むこととなった(5月12日付intellinews.com)。また「有給休業」の負担に耐えられない中小企業を中心に解雇が横行。4月下旬Levadaが電話調査したところでは、自分あるいは同居している家族が一時解雇された者が全体の26%に及び、給料を下げられた者は32%に及んだ(5月19日 BBC Monitoring)。

4.持ち直しつつある原油価格とロシア経済

しかし今回中銀は、2014年とは異なり、ルーブル価格維持で積極的な介入を行った。外貨準備ではなく、これまで積み立ててきた国民福祉基金の一部を取り崩したのである。原油価格が持ち直したこともあり、現在ルーブルは原油暴落以前の水準に戻っている。しかしこれで、国民福祉基金のうち流動資産は9兆ルーブルしか残らないこととなった(5月12日付intellinews.com)。また財政赤字を埋めるため、財務省は4兆―4,5兆ルーブルの国債を発行しようとしている。これはコロナ禍以前から発行する予定だった2,3兆ルーブルを大きく上回る額になっている。
ロシアの原油輸出の指標「ウラル原油価格」は、米国テキサス先物市場のような投機的性格を持っていないこともあり、最低でも1バレル16ドル以下に沈むことはなかった(ロシアの予算は1バレル42ドルで計算している)。6月19日現在、ウラル原油価格は約42ドルに回復しており、ロシア政府関係者はほっとしていることだろう。折しもミシュースチン首相も全快して職務を再開。プーチンは、「誰も言わなかった彼を首相に選んだのは自分だ」とインタビューで明かすなど、信頼と期待を寄せていることをあからさまに見せている。
ロシア経済は原油価格の持ち直しで救われて、政治日程と同様、前へ進み始めた感がある。

5.ロシアの原油価格のからくり

なお3月周辺、ロシア経済を支える石油・ガスについては、次の点が目立った。
・3月初めOPECが減産で合意できず、怒ったサウジは大増産を開始。米国、ロシアを市場からたたき出す姿勢を示したため、原油価格は暴落し、テキサスWTI原油先物価格は1バレル、史上初めてマイナスの40ドルに沈むこととなった。OPECが合意に至らなかったのは、ロシアが同意しなかったため、そしてロシアが同意しなかったのは、最大手のロスネフチが抵抗したためと言われる。多分、事実だろう。
と言うのは、この暴落劇の後の5月12日、ロスネフチのセーチン会長はプーチンと差しの会談を行い、ロスネフチに優遇融資等を勝ち取ったからである。これはロシアが減産に同意するとロスネフチがロシアの石油企業の中で最大の被害を受けるので、減産に合意する前に救済措置をあらかじめもぎ取ったということだろう。当時プーチンは下僚とも差しの会談を一切避けていたのだが、セーチンとだけは差しの会談を行い、それをテレビで流させてさえいる。ところでロスネフチがどういう被害を受けるかというと、それは多分次のようなことだと思われている。
それは、シベリアの油田は老朽化しているので、水を注入することで地表に原油を押し上げているのだが、減産でこれを止めると、地層やパイプの中の原油に混入した水が永久凍土の寒さで凍り付き、再開が難しくなる、その油井は使い物にならなくなり、悪くすると株主達から背任罪を問われかねない、というのである。 
なお、この期間は原油価格も下がったが、天然ガスの輸出価格も大きく下げている。欧州へのスポット輸出価格は、目下逆ザヤになっており、国内で販売した方が利益を上げられる状況。ただガスの多くは長期契約で輸出されているので、そこまで実際の輸出価格は落ちていない。中国に対する天然ガスも7割は長期契約である。最近、中国向け天然ガスの輸出が止まったかのような報道があるが、これは3月16日から4月6日にかけてパイプラインのメンテナンスで止まったのを誤解しているのではないか。
なお、中国へ輸出されているチャヤンダ・ガス田のガスは多くのヘリウムを含む。ロシアは米国、カタールと並ぶヘリウムの産出国である。ヘリウムは半導体の洗浄に使われる重要なガスで、ロシアはこれまで国内で分離抽出していなかった。

(以下はデータベースから)
★20、4、20 Intellinews.com
2014年の制裁とルーブル下落で、食料貿易はずいぶん改善されたが、それでもやや赤字。
・現在世界一の小麦輸出国。全体の20ー23%。
・2000年頃、農業復活開始。1996ー2000年に穀物生産は6300万トンが1、16億トンに。うち重量ベースで66%が小麦、16%が大麦、11%がトウモロコシ。
・1996ー2000年は年間平均300万トンの穀物を輸入していたが、2017ー19年には4700万トンをネットで輸出。
・そしてこれは耕作面積の拡大ではなく、収量の向上による。肥料、種子、機械の改善とか。1987ー1991年穀物面積は5800万ヘクタールが2000年までには4000万に落ち、現在でも4100万。収量はヘクタールあたり、穀物1、63トンだった(1987ー1997年)のが、現在2、81トン。
・この数年、穀物生産は年間4500万トン。
・2019年穀物輸出は250億ドルで、兵器を上回る。
・2017ー18年、ロシアは世界の小麦輸出の20ー23%、穀物輸出の10ー13%を賄った。ロシアの穀物輸出の80%は小麦(数量ベース)。
・食肉生産も2000年が境で、それ以来360万トンが920万トンに。
特に鶏肉で、2000年の80万トンが2019年の470万トンに。食肉輸入は2006ー2010年減少し始めた。
・2000年にはソ連時代の個人菜園が農園となり、食肉生産の約半分。その後鶏肉と豚では大農園が主流に。牛だけがほとんど乳牛。しかしMiratorg、Prime Beefなどは牛肉に野心。
・畜産復興を初め、2000年を境に農業支援充実。2005ー2010年、政府の農業支援は135%増大。
・2013年、価格ベースでは、ロシアの食品消費の40%は輸入。肉の25%、果物の70%。
・2011ー13年にくらべて、食肉輸入は2014ー16年には19%減少。250万トンが130万トンに。

★20、5、21 M.T.
ルーブル、2ヶ月前に値を戻した。70、8ルーブル。

★20、5、20 Www.rt.com
チュバイス、Forbesにインタビュー。石油依存からの速やかな脱却を主張。
今年度の予算での原油価格標準は42、5ドル。
現在ウラル原油は上がって33ドル。

★20、5、20 Intellinews
GDP、4月名目で28%、実質で20%下落。財務省談。
これは2008年の7、5%より悪いが、年間ではもっとよくなるだろう。
28%のうち3分の2はロック・ダウンによる。3分の1が原油価格低下
・しかし輸入が減少したことで、貿易黒字は38億ドル。財政はGDPの0、2%の黒字。

★20、5、19 BBC Monitoring
Levada電話世論調査、4月24ー27日。
「自分、ないし同居の家族がレイオフLayoffされたものは、全体の26%。もうすぐそうなるとする者が15%。(これはすごいことだ)
・32%は本人または同居家族の給料下げられ、14%はもうすぐそうなる。
・25%で給与遅配。
・他方、50%は給与遅配は起きない、40%は給与削減は起きない、47%は解雇されないと思っている。

★20、5、12 Intellinews.com
コロナ。政府、景気刺激策第3弾。
プーチンは閣僚に、6月1日までにNational Recovery Planを策定するよう命じた。
これまで2回、刺激策。合計でGDPの2、8%の3、1兆ルーブル。
シルアノフ、合計でGDPの6、5%ほどになるだろうと言う。彼は最近、GDPは5%は縮小するだろうが、政府はGDPの1、5ー2%相当を借りて、財政赤字4%を埋めると言った。
・最近では中小企業に重点。ベラウソフは、800億ルーブルをあてる布告に署名ずみ。やはり3月に比べて90%以上の雇用を維持している企業が対象。それでも、97万者が対象になるとふんでいる。
・中小向けに、家賃・税金の半年猶予、従業員1名あたり12、130ルーブルの毎月給料補助金。
・国民福祉基金を使うことは当然視されているが、そのペースが未定。シルアノフはかつて10年はもつといい、その後4ー6年に変え、今週ベードモスチとのインタビューでは2年と言っている。
・先月、財務省は中銀からズベルバンクのロスネフチの持ち株を買収するために国民福祉基金を用い、このため同基金の流動資産は9兆ルーブルしか残っていない。
・歳入は、計画の20兆ルーブルより4兆ルーブル減少するだろう。そのために予算は4%の赤字になる。当初、0、8%の黒字の予測だった。
・このため財務省は本年、主として国内で(と言っても主に外資が活躍)4ー4、5兆ルーブルの国債を発行する予定。コロナの前も、2、3兆ルーブルをOFZ国内で、30億ドルのユーロボンドを発行する予定だったのだ。
ロシアは、Clearstream、Euroclearに2012年加盟しているので、国内資本市場で債券の3分の1は外国投資家が保有している。

★20、5、11 Intellinews.com
4月、ルーブル減価は17%のみ。原油は半分になったのに。
これは中銀がズベルバンクの株を財務省に売却したカネ、そして財務省のカネを売却してドルを下げているから。つまり中銀は外貨準備を使わずに(その維持は制裁に備えて至上命令)、また金利を上げずに介入してきた。2014年の場合、ルーブルの半減を許したが、その12月には金利を緊急に17%引き上げているのだ。
今回は4月に利下げさえして、5、5%にしている。
・外貨準備は年頭の5800億ドルから4月初めには5700億ドルに減少したが、これは評価額の問題。4月中銀が実際に売却したのは20億ドルにすぎない。
・4月11日、中銀はズベルバンク株の50%+1を財務省に2、14兆ルーブル(291億ドル)で売却。これで、中銀はズベルバンクを本音で監査できるし、ズベルバンクの配当は財政で使える。
・財務省はこのカネを国民福祉基金から(ドルでだろう)払ったのである。そのため、基金は9兆ルーブルほどに減少した。
・中銀がこのカネをどう使うかまだ不明。しかし市場は、ルーブル買い支え(介入)に使われるのではないかと見ている(財務省からドルをもらったのならば)。
・現在新たなルールができており、ウラル原油が25ドル以下になると、中銀はルーブル買い支えを始めることになっている。
・このため、4月、中銀は20億ドル以上を売却した。
・ウラル原油25ドルの場合、ルーブルの適正レートは75ー76ルーブルと計算しているが、実勢でそうなっている。
5月9日ブレントは30、97ドルで、ルーブルは73、4だった。
・財務省は独自に中銀を通じて、外貨を売却している。4月には毎日4600万ドルほど。以上総計して、3月10日(中銀が財務省のために介入を始めた日)から4月22日の間に50億ドル以上を売却。
(ちょっと混乱した書き方)

★20、5、7 Center
2008年の危機、年金引き上げで実質可処分所得の低下を防いだ。それが2014年になくなり、実質可処分所得の低下が始まった。2013ー19年に7、4%低下した。2019年約1%のプラスに戻り、2010年1ー2月までは悪くなかった。
コロナで政府が何も所得保障をしないと、第2四半期の実質可処分所得は年間で21、8%低下するところだったが、補償が出たので、年間を通じて8ー12%の低下で収まるだろう。
・2008年ではGDPは名目で7、8%低下し、失業率は6、2%から8、3%に上昇した。実質賃金は3、5%低下。
しかし年金が急速に伸び、実質で2009年18、1%伸びたことが事態を救った。2010年には年金が総体化され(何だっけ?)、年金は実質で34、8%増加した。これらのために年金基金からの支出は、2008年にはGDPの5、5%だったのが、2009年には7、4%、2010年には8、9%になっていた。
・20年1ー2月、実質賃金は少し伸び、実質可処分所得はやや下がった。

★20、5、6 Kremlin.ru
プーチン、テレビ会議主催。主要閣僚、85の知事全部。
最初に、「ミシュースチン、回復中。すべての決定に関わっている。毎日コンタクトしている。一刻も早い回復を祈りたい」。
「今日はコロナ対策の現状と、解除へ向けての道」
・ムラシュコ保健相、発言の終わりに、「外国の同僚とも情報交換してます。有用です。アレンジしてくれた大統領に感謝します。」(ロシア・外交)
・ベラルーソフ、「賃金優遇融資、人気高い。毎日2000件の申請。4月末で合計800億ルーブルを求めている。銀行は審査に追われている」
「企業が賃金のために現金を温存して、支払いを遅らせていることが問題。
→政府は運転資金を融資することを始めた。需要大。」

★20、5、6 M.T.
テレビ会議で閣僚たち、プーチンに対して、経済活動はコロナで33%低下したと報告。
税収は4月31%低下。特に石油・ガス輸出税収入は半分に。
小売り部門売り上げは25%減少し、73、5万人が失業と登録。

★20、5、6 TASS
シルアノフ、Vedomotiに対して、「ウラル原油が15ドルになった2014年の方が危機だった。現在は10ドルになっても、耐えられる。
しかし2020年の平均価格は30ドルだと思う。
予算はGDPの4%程度の赤字になり、GDPは5%は低下するだろう。それでも、歳出は削減しない。大幅には使わないが、国民福祉基金を使う。一方、外国で借り入れすることはしない。金利が高いので(?)。
ナショナル・プロジェクトは完成を後倒しすることになるだろう。しかし完遂する」

★20、5、6 Interfax
Belousovベラウーソフ首相代行、プーチンに対して、「現下の問題は、企業が賃金資金確保を第一にして、支払い延滞を始めていることです」(これは1998年直後と同じ)。

★20、4、29 Www.rt.com
Moody's、ロシアGDPは今年、コロナで5、5%下がるだろうとする。
3月末には、0、5%の成長を見込んでいた。

★20、4、25 The Bell
ウラル原油の価格はブレントを基準に、それより2ドル弱低く、Argus、Platts社によって値付けされる。現在、ロッテルダムでのロシア、ウラル原油売却価格は11、5ドルで、1999年3月以来の低水準。
Argus予測では、下半期は20ー10ドル。

・ロシアの税制では、35ドル以上ならば、原油企業は50%の税金。20ー25ドルなら税率は24%に低落。これで国庫は減収になる。

・今年度予算は、ウラル原油50ドルで計算しているので(?)、ウラル原油が12、4ドルで推移すると国庫は毎月38億ドル相当の減収になると財務省は言う。
(ルーブル減価による国庫増収分は勘定していないだろう)

・国民福祉基金のうち現金化できるのは1427億ドル程度。外貨・金準備は5500億ドル。2年は持つだろう。

・いずれにせよ、2024年大統領選の時、国庫はカラになる。

★20、4、21 FT
有給休暇の対象でないのは、鉱業、金属、石油ガス。
石油化学などは対象になっている。

★20、4、21 TASS
グレフ、「これまで急速な回復があるだろうと思っていたが、危機は長引く可能性がある」

★20、4、20 Intellinews.com
農業現状について包括的な記事。
畜産業も、豚、鶏は復活。牛のみ変わらない。それでもソ連時代も牛は乳牛だけだった。

★20、4、20 Jamestown
シベリア、極東の石油・ガス施設従業員にコロナ広がっている。今のところ操業を止めるほどではない。
しかしNOVATEKのLNG工場、中ロガス・パイプラインのチャヤンダ・ガス田での状況は深刻で、注視に値する。
★20、5、12 Intellinews.com
コロナ。政府、景気刺激策第3弾。
プーチンは閣僚に、6月1日までにNational Recovery Planを策定するよう命じた。
これまで2回、刺激策。合計でGDPの2、8%の3、1兆ルーブル。
シルアノフ、合計でGDPの6、5%ほどになるだろうと言う。彼は最近、GDPは5%は縮小するだろうが、政府はGDPの1、5ー2%相当を借りて、財政赤字4%を埋めると言った。
・最近では中小企業に重点。ベラウソフは、800億ルーブルをあてる布告に署名ずみ。やはり3月に比べて90%以上の雇用を維持している企業が対象。それでも、97万者が対象になるとふんでいる。
・中小向けに、家賃・税金の半年猶予、従業員1名あたり12、130ルーブルの毎月給料補助金。
・国民福祉基金を使うことは当然視されているが、そのペースが未定。シルアノフはかつて10年はもつといい、その後4ー6年に変え、今週ベードモスチとのインタビューでは2年と言っている。
・先月、財務省は中銀からズベルバンクのロスネフチの持ち株を買収するために国民福祉基金を用い、このため同基金の流動資産は9兆ルーブルしか残っていない。
・歳入は、計画の20兆ルーブルより4兆ルーブル減少するだろう。そのために予算は4%の赤字になる。当初、0、8%の黒字の予測だった。
・このため財務省は本年、主として国内で(と言っても主に外資が活躍)4ー4、5兆ルーブルの国債を発行する予定。コロナの前も、2、3兆ルーブルをOFZ国内で、30億ドルのユーロボンドを発行する予定だったのだ。
ロシアは、Clearstream、Euroclearに2012年加盟しているので、国内資本市場で債券の3分の1は外国投資家が保有している。
★20,5,13
大統領は11日、「非労働期間」の終了を宣言。モスクワでは建設業や製造業の再開を12日
から。職場での社会的距離の確保やマスクと手袋の着用。
○中央銀行は4月、20年のGDPの実質成長率が前年比マイナス4~6%に落ち込むと予測。プ
ーチン氏も失業者が140万人と4月初めから倍増。
★20,4,27
4~6月の小麦や大麦など穀物輸出に割当性を導入。割当量は700万トンで、24日時点です
でに68%が輸出業者に割り当てられた。国内で小麦粉などの価格が上昇するのを抑える狙
い。割当量は前年同期を20万トンだけ下回る水準。世界の需給への影響は小さい。
★20、4、25 The Bell
(ロシア・石油)Ural価格は、Argus and Platts社がBrentに比例して決めている。Brent価格は世界の石油の3分の2に用いられている。UralはBrentより若干低く設定される。現在ロッテルダムでは、ブレントより1、75ドル安い。
・今週ブレント先物は16ドル以下となったが、現物は13ドル。ウラルは11、5ドルで、1999年3月以来の底値。
・35ドルだとロシアの石油会社は50%の課税。20ー25ドルになると24%になる。
・ロシアの2020年予算はウラル50ドルで計算。このため、10ドル程度が2ヶ月続くと、ロシアは約120億ドルの歳入を失う。
・それでも、国民福祉基金のうちLiquidの部分は1427億ドルと推定され、シルアノフは2年はもつ、と言っている。
★20、4、24 Www.rt.com
ナビウリナ、「コロナ救済で現金を国民に配ると、90年代のようなインフレになります。インフレは4%程度に押さえるべきです」
★20、4、24 Www.rt.com
中銀利下げ。5、5%に。6%から。
19年10月以来。
★20、4、21 James
様々のリポートを総合すると、企業従業員の30ー50%は出社、工場に出勤している。
★20、4、20 Interfax
AmChamによれば、ロシアの米国企業で、離脱を考えているものは皆無。半分以上はリストラもしていない。
★20、4、20 TASS
政府、原油価格暴落で、予算計算し直し開始。2月にはウラル価格を57、7ドルで計算。現在20ドルを念頭。
2020年は9000億ルーブルの黒字の代わりに、5、6兆ルーブル程度の赤字になるかもしれない。
・その手当をどうするか。ズベルバンク民営化の収入がいくらになるかまだ不明。
国民福祉基金から2兆ルーブル、他から1兆ルーブル程度。残りは起債で。しかしそれだけ起債できるかどうか。
★20、4、16 TASS
National Rating Agency予想では、コロナのためロシアは17、9兆ルーブルを失い、1550万の失業者がでるだろう。もっとも被害を被るのはサービス。
Economic Expert Group予想では、国民福祉基金はこれまでの予定の6年間ではなく、2年間で使い切られるだろう。
中銀がGKOを購買するしかなくなる。
★20、4、14 M.T.
Sergei Gurievをはじめとするリベラルなエコノミスト達、提言。
コロナ救済のためにQEを。合計1360億ドル。中銀は国債を購入せよ。政府は個人、企業に現金を配れ。一人毎月2万ルーブルを。
★20、4、14 Intellinews.com
ロシアの対外債務4500億ドルに減少。外貨準備は5600億ドル。
★20、4、14 Intelinews.com
第一四半期のFDIは、わずか2億ドル。昨年同期は103億ドル。在ロシア外資の再投資も新規FDIに数えられているので、2億ドルということは、外部からのFDIはたぶんマイナスであったことを意味する。
★20、4、13 ?クドリン、13日RBCに語る。現在のコロナ対策は足りない。2008年当時を参照し、合計3兆ルーブルは必要。現在議論されているのはGDPの5%程度だが、7%は必要。
★◇20、4、10 TASS,N.G.
National ProjectsはコロナでIrrelevantになっている。それに会計検査院によれば、第1四半期の予算執行率低い。
保健で40、5%(年間予算のこと? それとも四半期予算のこと?)、住宅で32、7%、道路・テジタル経済、貿易は20%以下。
ある議員によれば、「コロナのおかげで、ロシアの経済システムの脆弱性露わに。full-scaleの改革が必要」。
★20、4、10 Bloomberg
政府関係者言によれば、コロナ追加経済刺激策、検討中。これまでのものはGDPの2%のみ。10%は必要。休業中の給料補助。企業からの圧力が強い。
しかし原油暴落のため、政府は福祉基金を使いたくない。起債でしのごうとしているが、8日、5週間ぶりにルーブル債を発行しようとしたところ、需要は弱かった。
★◇20、4、10 Fondsk.ru
2018年まで世界の中銀、金準備を増やした。2018年ロシア中銀が最大の買い付けで(しかしルーブルで)274トン増やした。
・しかしそれは2019年後半には減少に向かい、本年の1ー2月、ネットの買い付けは64、5トンのみ。昨年同期比44%減少。
この代わり中銀は、民間銀行等がヘッジで購入するのを促進しているもよう。
中には、金を売却する中銀も現れた。
・金を自分で産出する諸国は、金買い付けに外貨を使用する必要ない。
中国が1位で2018年404トン、豪州が314トン、ロシアが297トン、米国が222トン、カナダが189トン、ペルーが158トン、インドネシアが136トン、ガーナが130トン。
・ロシアは2019年、金の輸出を8倍の57億ドルにした。主として英国へ。
本年1ー2月増加して、8、5億ドル分。
・ロシア中銀は4月1日、国内の産金業者からの買い付けを停止。理由不明。
★20、4、7 www.rt.com
コロナ
ロシアの株式、それほど落ちていない。3月初旬かなり落ちたが、ロスネフチはその後、落ちた分のほとんどを取り戻している。
・3月19日、モスクワMOEXは年間で最低に。しかしその後盛り返し、特にガスプロムは人気。多くのPortfolioに組み込まれている。
・4月はじめには、原油生産の低下も看取できる。3月に比べて0、35%減少(Reuters)。もうからないので。
・6日寄りつきはRTSは2、2%、MOEXは0、9%プラス。
★20、4、3 Interfax
コロナ
ナビウリナ。「供給需要両面でショック」。需要面では貧困層が多いということ。
★20、3、31 Bloomberg
ロシアは、制裁で対外債務ほとんどなく、今回助かった。
★20、3、25 Riddle,Vladislav Inozemtsev
原油で暴落したのは先物価格であり、現物ウラルは昨日29ドル。
→先物価格暴落は、4ー5月の輸出には響いてこない。
・ロシアの問題は、先進国中銀のような緩和・拡張ではなく、外貨備蓄を取り崩す防御的政策しか取らないことだ。
★20、3、25 Regnum
最近Vecti24へのインタビューでセーチン、「ロスネフチは新規開発せずとも、22年間、現在の量を採取できる」。
「ロスネフチの運転採取費用(投資含まず)は1バレル3、1ドル。サウジ、アラムコの2、5ー2、8ドルと同等」
★20、3、25 Kremlin.ru
プーチン、テレビ・スピーチ。
我々全てが心配していることについて。
市民の生命と健康、第一。
・国民投票は自分にとって非常に重要だが、期日は健康専門家と協議して決める。
・来週を病休休暇とする。公共機関はのぞく。もっともいいのは、自宅にいること(つまり全員外出禁止ではない)
・これから3ヶ月、3歳以下の児童のいる家庭に5000ルーブル追加支給。
・青年の病休支払額小さいので、少なくとも最低賃金に合わせること。
・失業手当て、8000ルーブルなので、最低賃金の12、130ルーブルにすることを提案。
・収入が30%以上下がった者は消費者ローン、住宅ローン支払いを猶予する(期間言及なし)ことを提案(suggest)する。
・中小企業は、消費税以外の税支払いを6ヶ月猶予することが必要と信じる。銀行融資返済も同様。
・企業に対する倒産申し立ては6ヶ月モラトリアムすることを提案する。
・これらの措置は、今回の事態で大きな被害を受けた企業を対象とする。
・中小企業の社会保障負担を30%から15%に。これは長期的な措置である。
・ロシアでの所得を配当として外国に送金している者は、これまでの2%ではなく15%の税金を課すことをSuggestする。このために、二重課税防止協定を改訂する必要があり、応じない国とは一方的に破棄withdrawする。
(これは外国との間で大きな問題となる)
・100万ルーブル以上の銀行預金、証券を持つ者には、利子収入に対して13%の税を払うことを提案する。これは、口座所有者の1%にしかならない。
・これらの歳入を、上記の歳出にあてる。
★20、3、20 Meduza
政府はコロナ救済策を準備。その草案をV.が入手。政府はすでに16日、一連の措置を発表し、300億ルーブルの基金をもうけて観光企業、航空会社への税軽減をした。
・国家買い付けにおいて薬品産業への優遇措置を一部回復。
・薬品、装置の輸入で関税免除。
・食品その他必需品への価格統制。
・Platonによる貨物運転手からの料金徴収、一時停止。
・輸入食品への関税免除拡大。
・輸送・観光業界への補償。
・中小企業の社会保険支払い、3ヶ月延長。
★20、3、20 Centrasia
中銀、ルーブル下落にもかかわらず、利上げせず。6%のまま。実質ゼロ。
★20、3、19 Intellinews.com
Repo市場(銀行間市場?)は圧力を受けているが、最近年に比べれば小。
★20、3、19 N.G.
ルーブル下落を続け、1ドル、80ルーブルに。中銀の介入を求める声、市場に満ちるが、中銀は介入せず。
株式市場は暴落。
人々の生活水準が落ちることへの恐怖。
★20、3、18 Www.rt.com
ルーブルは2015年以来、世界でももっとも安定した通貨だったが、今年になってからはもっとも変動した通貨になっている。ドルに対して28、59%下落して、80ルーブルを越える。
★20、3、18 Interfax
Federal Treasury年次理事会、テレビ会議方式で開かれる。コロナ・ヴィールスのため。主宰したシルナノフ、「今年は財政赤字になるだろう。国民福祉基金を使わざるを得ない」と述べる。
「原油価格下落だけで、歳入は3兆ルーブル減少。歳出予算は20兆ルーブルなのだ」。
もともとの予算案では、GDPの0、8%分、9276億ルーブルの黒字が想定されていた。
★20、3、16 RFE
ミシュースチン、40億ドルの(コロナ)救済基金を準備したと言明。航空会社、旅行会社の免税、企業への優遇融資。
ガスプロム、ロスネフチ等国営企業は、政府への配当支払いを(通常年央)6ヶ月延期するかもしれない。
2020年、国営企業からの政府への配当支払いは74億ドルを予定。
★20、3、13 Intellinews.com
13日、ロシア株式市場、史上三番目の暴落。37、9%下落(?)。
1998年は85%、2008年は72%、2014年は45%。唯一あがっているのは化学肥料のAcron。
★20、3、12 RFE
11日、シルアノフは、「油価が30ドルであっても、政府は問題なく4年間やっていける。予算は削らない」。
昨年末で国民福祉基金は1700億ドル程度、外貨準備は5500億ドル。だから、4年間は大丈夫という計算。
・しかし、2014年の時は経済ひどくなっても、国民はクリミアで酔っていた。今回はそれがない上にコロナ。その中で、憲法改正国民投票がある。
だからばらまき財政が求められている。
★20、3、9 Www.rt.com
OPEC原油合意破綻で原油価格が暴落したため(Brentは25%下落して33、89ドルに)
、9日朝ルーブルは8%下落して74、1ルーブルに。
中銀は外貨買い付けを一時停止。
★◇20、3、9 Intellinews.com
油価が4ドル下がると、ロシア予算歳入はドルでは10億ドル減少するが、ルーブルでは(ルーブルが予算ベンチ・マークの1ドル、65、7ルーブルから1ルーブル下がるたびに)700億ルーブルの増収となる。
★20、3、9 Oilprice.Com
9日、ウラル原油、42、40ドルに。これは予算の敷居価格。
シルアノフ9日、「25ー30ドルになっても、6ー10年持ちこたえることができる」。
・国民福祉基金は3月1日現在、1501億ドル分ある。これまでの減産で、国民福祉基金は倍増し、2019年に1240億ドルになっていた。
★20、3、5 Reuters
コロナヴィールスで、観光・旅行産業大被害。すでに4000万ドルの損害。
外国ツアーへの応募、通常の20ー25%。
★20、3、2 FT
シルアノフは28日、「石油が30ドルになっても、ロシア政府は予算上の義務を4年間は果たすことができる」と言った(?)。
また、もし42ドルの予算価格を下回れば、(ルーブルを維持するために)外貨準備を売却していくかもしれない」
・2014年、ルーブル介入を停止して完全フロートにしたことで、マクロ的には助かったが、ルーブルが半分に下がったことでその後6年間の実質可処分所得の低下を招いた。
・当面、ズベルバンクを民営化して400億ドルを得る考えもある。これは3ー6年間で実行するので、年間50ー150億ドルの収入を政府にもたらす。
★20、3(?) James
地方財政、赤字のところ増加。2019年は倍増して32に。2020年、コロナもあり、62にはなるだろう。すでに20年度、7000億ルーブルの助成金が予定されている。
・中でも、北コーカサスがひどい。ナヴァリヌイ等は以前、「コーカサスを養うのはやめろ」というスローガンを使っていたこともあり、政治問題化するかもしれない。
★20、2、28 Intellinews.com
ロシア株式RTS、2008年以来のような暴落で1400を割る。年頭から10%以上下がる。
コロナ不安。
★20、2、25 TASS
Novak大臣、第1チャンネルで、「石油需要は減るだろうが、あと20年は化石燃料の時代続く。電気自動車は増えるだろうが、電力生産には石油・ガスも必要」
★20、2、21 Www.rt.com
会計事務所KPMGによれば、2019年ロシアへのFDIは210億ドル。アジア太平洋諸国からが82億ドル(NOVATECへの投資が大きい)。2018年は24億ドルだった。
米国企業も活発で18年は2000万ドルだったのが、34億ドルに。
欧州企業は18年59億ドルが26億ドルに減少。
NOVATEKのLNGプロジェクトへの投資が大きかった。中国、フランス、日本。
★20、2、20 TASS
Gazpromは記録的に多いユーロボンド起債。20億ドルで3、5%。
需要はその3倍あり、3分の1を米国の投資家、20%をロシア、欧州が17%、アジアが15%。英国が10%購入した。★2
0、2、17 Meduza
Rosstatは、industrial production indexの基準年を2010年から2018年に変更。
その結果、付加価値ベースでは石油・ガス生産が占める割合、34、3%が38、9%に上昇。製造業が占める割合は53、2%から50、7%に下落。
★20、2、17 Intellinews.com
外国投資家は、ロシアを前向きにみるようになっている。Safe havenですらある。
外貨準備は大きく、マクロ政策も穏健。外交も強い。
ということで、ロシア株・債権を資産に組み込む率は高くなっている。
★20、2、17 Intellinews.com
1月の国家歳出、昨年同期比53%増。昨年が低かったせいもある。年間予算の8、8%を支出した。これは昨年の6、1%を上回り、2015年以来の数字。経済統計に好影響があるだろう。他方、コロナ・ヴィールスの悪影響も出てくるだろう。
昨年の1、1兆ルーブルの財政黒字の50%程度を今年度歳出に加えるべく、補正予算案が11日に提出されるはずだった。
★20、2、12 Tsentr razvitiya
まだ統計はそろっていないが、2019年成長率は1、3%で2018年2、5%より下がった。
鉱工業は2、4%で2018年の2、9%より下がった。
この2年ほどルーブル安で輸出が増えたことで、成長押し上げられたが、その要因がもう効かなくなっている。原油価格も低下した。それまでの2年間で30%伸びたのだが。
ウラルは2018年平均70ドル、2019年は65ドル。原油生産、天然ガス生産はそれぞれ1%、0、8%増加したのだが。
→我々の試算だと、ルーブル・ベースで、原油輸出収入の低下はGDPの0、4%に相当。
・12月には鉱工業生産が昨年同期比2、1%増加したことになっているが、これは労働日が多かったため。
★20、2、10 Intellinews.com
中銀、7日、25ポイント利下げして、6%に。インフレは中銀の指標の4%を下回る2、4%。
→市場は、中銀も刺激政策に転じた、と評価。
経済省は、2020年2%の成長を予測。
★◇20、2、4 高等経済学院発展センター
(ロシア・財政)(予算)
財務省暫定数字によると、2019年国家歳入は20、2兆ルーブルで、昨年より3、7%増。しかし石油・ガス関連歳入は12%減。これはマイナス物品税と原油価格の低下による。しかしルーブルが2019年通じて3、5%下落したことで、少し緩和されている。
石油・ガス関連以外の歳入は17、5%増。
(石油・ガス関連所得はGDPの39、3%で、2018年の46%から大幅に低下)
・原油輸出価格は平均して9%低下し、石油製品輸出額は16%減(1ー11月)。
・連邦政府歳出は9%、実質で4、3%増。
・付加価値税歳入は引き上げもあり、19%増。。物品税収入は10%増、輸入関税は%増。
・連邦歳出は18、兆ルーブルで、9%増。
予算案の98、5%執行。「国民経済」部門では91、8%。国防では92、7%。
・National project向けは全歳出の9%だが、実行は予算案の91、4%。しかし保健、自動車道路、科学、文化部門ではほぼ100%。
低いのが環境の66、3%、デジタル経済が73、3%、生産性が87、1%、幹線インフラ(鉄道?)が88%。
・◇National Projectのおかげで歳出は押し上げられており、実質で4、3%増加。それでも、2012年に比べて実質で11%少ない。
・国防費は12年、GDPの2、7%、以後増えて16年に4、4%で頂点。以後減って19年2、7%に。
・国債支払いは2019年でGDPの0、7%のみ。
★20、1、29 Intellinews.com
Rosstat、2019年の実質可処分所得は0、8%伸びたと言う。経済開発省予想は0、1%だった。
★20、1、29 M.T.
消費者ローン、昨年増加したが、中銀による抑制策で、第4四半期に増加率急減。延滞率も減少。
・2019年新規に2、7兆ルーブル。これで2019年末累積額17、6兆ルーブルに。
2019年、対前年比20%増だが、第4四半期は1%増にとどまった。
・延滞分は2019年末で4、3%で、2018年末の5、0%より改善。
★◇20、1、25 Intellinews.com
新内閣には、プーチンの旧友がいない。コーザック、Mutkoが去ったため(クドリンがいるではないか)。
・Rosimushestvoが財務省に移管されたことは大きい。これは国営企業を差配するところ。ロステレコムの株45%、Rossetiの88%、RusHydroの61%、トランスネフチの78、5%を所有。
今回留任したAlexei Moisseev財務次官は、軍需企業をのぞき、国営企業での政府持ち分を50%以下にしないといけないと昨年10月述べている。
これまで経済開発省の下にあり、財務省は税金取り立て、民営化推進で手こずる。
今や、民営化は進めやすくなった。
・Maxim Reshetinikovが経済開発相。2017年までモスクワ副市長で経済担当。その後ペルミ州知事。財務省に対して弱い立場になる。

ロシア・石油・天然ガス
★20、5、16 The Bell
セーチンは12日プーチンと会ったあと、14日には遺伝子についてのプーチン主宰テレビ会議に出席。これは監査役にプーチンの娘Maria Vorontsova(?)がなっているもの。総額17億ドル。
ロスネフチはこれに拠出しているのだが、セーチンは席上、これに税控除を求めた。
・またこの会議でセーチンは、先般ベネズエラでの石油資産を(制裁を避けるために)ロシア政府に売却したことにつき、実際の売却相手はリャザンにある民営投資会社で、Roszarubezhneftが所有していることを明かす。要するに、セーチンの手中にあるのだ。

★20、5、15 Intellinews
ロスネフチは、今年の投資計画から102億ドル分を削減。ルークオイルは15億ドル削減。
・それでも、ロシアの石油企業の配当は高い。エクソンはこの13年で初めて無配。シェルもおそらく戦後初めて、配当を減らす。

★20、5、14 The Barents Observer
12日、プーチン、雪隠セチンを接見。雪隠、採掘税の延期、国営パイプラインの使用料割引を求める。
「2019年は、国家税収の18%を納めたのです。それに2000億ルーブルの投資を削減します。Vostok油田の建設は大変なんです。港、二つの空港、800キロの石油パイプラインを建設し、GDPを2%押し上げるでしょう。10万の職ができます。50億トンの軽質油があるはずで、2024年には2500万トンを採掘できるでしょう。2030年には1、15億トン(バカか)」

★20、4、20 Jamestown
シベリア、極東の石油・ガス施設従業員にコロナ広がっている。今のところ操業を止めるほどではない。
しかしNOVATEKのLNG工場、中ロガス・パイプラインのチャヤンダ・ガス田での状況は深刻で、注視に値する。

★20、4、25 The Bell
ウラル原油の価格はブレントを基準に、それより2ドル弱低く、Argus、Platts社によって値付けされる。現在、ロッテルダムでのロシア、ウラル原油売却価格は11、5ドルで、1999年3月以来の低水準。
Argus予測では、下半期は20ー10ドル。

・ロシアの税制では、35ドル以上ならば、原油企業は50%の税金。20ー25ドルなら税率は24%に低落。これで国庫は減収になる。

・今年度予算は、ウラル原油50ドルで計算しているので(?)、ウラル原油が12、4ドルで推移すると国庫は毎月38億ドル相当の減収になると財務省は言う。
(ルーブル減価による国庫増収分は勘定していないだろう)

・国民福祉基金のうち現金化できるのは1427億ドル程度。外貨・金準備は5500億ドル。2年は持つだろう。

・いずれにせよ、2024年大統領選の時、国庫はカラになる。

★20、4、17 FT
ロシアの石油企業は、どこがどれだけ減産するかをめぐって争っている。

★20、4、4 NYT
「油井を止めるとパラフィンや水が凍る」というロシアの言い分に疑問。これまでも折に触れて止めてきたが、問題は起きなかったとする。止めると内部の圧力が高まり、再開の時に押し上げてくる。
★◇20、4、9 Jamestown, Pavel Felgenhauer
ロシアはこれまでも、OPECとの減産合意をCheatしてきた。今回は減産に正面から加わらなかったのだが、それは2020年末には原油価格は回復するだろうと踏んでのことでもあった。それをコロナが打ち破った。
・それでもロスネフチは減産が難しい。同社の油井の多くは古く、水攻法でシベリアの深部から汲み上げている。減産で止めると、凍土のために水分が凍ってしまい、再開は不可能、あるいは多額の資金と時間を要することになる。
・老朽油井を捨てたり、水攻法を使っていない新しい油井を止めたりすることで、40万バレル程度の減産はできるかもしれないが、実現まで半年はかかる。
・あるいは、採掘した原油をためておくことだ。
・今回の減産合意も、cheatすることになろう。
★20、4、4(?) The Bell
ロスネフチはベネズエラの資産をロシア国営のRoszarubezhneft(この取引のためにでっちあげた。38億ドル分のロスネフチ株で(?)ロスネフチに支払い。社長はアンゴラ時代、セーチンのSPをやったNikolai Rybchuk)これでベネズエラの石油公社と手を切った形になって、傘下のRosneft Trading and TNK Tradingaが米国の制裁からはずれる。同時に38億ドル分の自社株が手に入ったことで、親元の国営ホールディング、Rosneftegazがロスネフチに有していた50%プラス1の株は、50%を割ることとなった。
プーチンはマドゥロ大統領に電話して、これからも変わらない支援を約束。
★20、4、3 Www.rt.com
プーチンは、原油価格下降を阻止するために米国と協調する用意があると言明。トランプとの電話会談で、1000万バレル・日の減産ができると言った。ロシアは42ドルで満足と。
★20、4 JOGMEC
ノヴァク大臣は、OPEC+の970万バレル・日減産のうち、ロシアは250万バレルを担う。これはこれまでのロシアの習いと違って、コンデンセートを含まない。となると、ガスプロムとNOVATECは被害を受けず、減産の負担はロスネフチに集中することになる。
・ロシアのコンデンセートは79ー90万バレル・日と推定できる。ロシアの原油生産量は1、131万バレル・日。
それでも、今回の合意でロシアは、総生産量の15%を削減しないといけない。
・ロシアの石油企業は国営であっても、国内外で上場しているので、むげに減産してダメージを受けることには株主が反対する。
→政府による生産調整は税制による間接的な手法しかない。
・そしてロシアでは自噴井は2%未満。82%はポンプ。→止めれば凍結。
ハンティマンシスクでロシアの原油生産の半分以上。しかし生産量に占める水分(Water-cut ratio)は90%以上。
・減産を公民企業間でどう分担するかが、大きな問題になる。
減産義務の半分程度、ロスネフチにしわ寄せ。

★20、3、30 F.T.
ロシアの石油会社のほとんどは、15ドルでもやっていける。
制裁のおかげで、彼らは外貨負債がない。油価が下がればルーブルも下がる恩恵を100%享受できる。
しかも、ウラル(ブレントより5ドル程度低い)15ドル以下では採掘税、免税。
・ブレントが15ドルになっても、ルーブルが100に下がれば、ロスネフチ、ルークオイルは収益をあげることができる。
・◇(原価)(費用)ルネサンス・キャピタルのAlexander Burgansky試算では、ロスネフチは昨年採掘にバレルあたり199ルーブル、精油に202ルーブル、合計1バレル5ドルかけている。
★20、3、23 Atlantic Council,Anders Aslund
(OPECとの決裂をセーチン1人のせいにして非難)
人口5分の1のサウジと値下げ競争で勝つことはできない。2014年12月、2016年12月と同様、私利私欲のためロシアのマクロ経済をおかしくしたのだ。
★20、2、27 M.T.
2019年、ロシアは1210億ドルの原油輸出。
中国、オランダ、ドイツの順。
米国は12位で22億ドル。しかし2018年の9億ドルから倍増。ベネズエラ制裁のため。
数量でも180万トンから470万トンに。
・英国は2019年ロシアから12億ドルを輸入して18位。98万トンから240万トンに。
・トルコの輸入増が最大。
2018年の10億ドルから37億ドルに。
・ウラル原油価格が2018年の70ドルから63、3ドルに落ちたことも大きい。
★20、4、19 Oilprice.com
LNG、コロナでアジアでの需要急減。ところが欧州は3月、これまで最大のLNGを輸入しており、ロシア、カタール、米国入り乱れての市場争奪戦。価格よりシェア維持。
・3月欧州は1045万トンのLNGを輸入。これはこれまでの最大記録(パイプラインでは減少?)。暖冬だったが。
・カタールはアジアに毎月400ー500万トンのLNGを供給してきたが、コロナ等で中国が激減。
・その中でヤマルYmalのLNG欧州への輸出が本格化している。ベルギーのZeebrugge LNGターミナルへ。
・カタールは英国、ベネルックス、イタリアと長期の関係を持っていて、これを優先。
・米国のLNGは2月に欧州向け(?)310万トンで、記録となったが、カタール、ロシアに押されている。
・ヤマルのLNGの対中、北極航路経由輸出は6月に始まる予定だったが、当分凍結。
★20、2、18 Centrasia
ガスプロム、2019年春から幹部更迭相次ぐ。一部は引退、一部は降格。今回、財務局長。実績低下で引責か。
昨年、幹部へのボーナス総額は13億ルーブルで、2018年の25億ルーブルから激減。
★20、2、14 Centrasia
2019年、トルコへの輸出量3分の1減少して155億立米に。トルコ・リラ下落と不景気が原因。
欧州での需要も(表現曖昧。ロシアからのか?)9%減少している。
★20、2、7 Centrasia
トルコ、2019年、ロシアからのガス輸入を大幅に減らし(青流)、アゼルバイジャン、LNGを増やした。
・ロシアからは80億立米減らして、148億立米ほどに。
・アゼルバイジャンからは29%分の19億立米増やした。
・LNGは11月までで109億立米分。7%増。
★20,1,31 日経
「『サハリン1』にはガスがたくさん。ロスネフチ。可採埋蔵量は約17兆立方フィートで、日本のLNG輸入量の約4年分。エクソンは01年にパイプラインを建設すると発表。計画は頓挫。17年には政府が動いた。進展しなかった。
○結局、自前でロシア本土までパイプライン、新設するプラントで液化。
○「サハリン2」のLNGプラントは「サハリン1」と同じ島。「ロスネフチはパイプラインを持つガスプロムにガスを安く買い叩かれ、不満」
★20、1、13 WSJ
メルケルが週末、訪ロ。プーチンと並んで、「北流2は欧州の決定。やり遂げる。」
プーチンは、「ロシアの独力で年末、または来年初までに完成する」。
★2020年 JOGMEC
チャヤンダ・ガス田は世界のヘリウム供給の30%。
★19、12、23 TASS
ロシア、ウクライナ、天然ガス合意成立(署名まだ)。契約を5年延長。10年再延長可能。
ロシアが輸送料を減らす一方、ウクライナは価格で譲歩した模様。しかし価格は公表されていない。
いずれにしても、これで北流を年内に稼働させる必要はなくなった。北流は来年10月でもいい。
(ロシアは、北流稼働を計算して、ウクライナとの合意はなくてもいいと思っていたのだろう。ところが米国による北流制裁で予定が狂い、合意を迫られたのだろう)
・ガスプロムはNaftogazに29日以前に29億ドルを支払い、ウクライナはすべての要求を取り下げる。これまで122億ドルと13、3億立米のガスを求めていた。
・この支払いが確認されて初めて、5年契約は署名される。
★19,12,7
中国側がガス需要見通しの大幅な引き下げを通告してきた。シベリアの力は他の輸入手段が滞ったときのバッファー。計画では、供給量は初年度50億立方メートルで段階的に増やす。だが、フル稼働のメドはたたない。
○価格。最終的な折り合いはついていない。
○劣勢なのはロシア。「ノルドストリーム」は独企業の出資。シベリアの力は建設費680億ドルをすべてロシア側。供給停止で投資リスクを負うのはロシア。「ロシアにとって商業的な見通しは立っていない」。


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