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世界はこう変わる

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2019年10月19日

ロシア旬報第1号 軍事 6月から9月

ロシア旬報 軍
今でも、旧ソ連圏でのできごとについては、ロシア語、英語のニュース、論評を毎日読んで、自分でデータバンクを作っている。それをベースに四半期ごとに若手の専門家の参加を得て勉強会を開いている。そのデータバンクを旬報として、簡単なコメントつきで公開することにした。あと何年できるかわからないが、お役に立てば幸い。日付は新しい順に並べてあるが、乱れているところもある。情報源として、IとかKとかの略号があるが、これはイズベスチヤとコメルサントの略。何もないものはwww.centrasia.ruあるいは日経の記事である。

1)2010年代初頭からの軍事予算増強で、装備のかなりの部分が更新され、巡航ミサイル「カリーブル」のような新兵器も大きな戦力になっている。シリアでは、米国に遅まきながら倣って無線集中司令システムが試験されているし、偵察・攻撃ドローンも使用されている。

2)しかし、装備更新については包括的なデータは公表されていない。その一方で、最近は新型兵器開発で事故が目立つ。7月1日にはバレンツ海で小型原潜(これは深海用のもので、これ自体は新しいものではない)が火災を起こして14名が死亡しているし、8月8日には北方海岸で巡航ミサイル用に開発している小型原子炉の爆発ではないかと言われる事故があり、7名が死亡している。
プーチンは「米国との軍拡競争には巻き込まれない。ゴルバチョフ時代はそれをやって自滅した。ロシアは米国のやらないことに集中して(非対称的なこと)、効果的な戦力を形成する」という立場を掲げ、超高速再突入ミサイル弾頭や、原発で飛ぶ巡航ミサイル等、かつてその非現実性故に捨てられていたアイデアを蒸し返しては、事故を起こしている感がある。

3)そして2010年代半ばからの国防費削減の無理が表面化しつつある。例えば2017年の国防費は2,84兆ルーブルで、2016年の3,09兆ルーブルを下回っている。そして軍需産業はこの無理を銀行からの借り入れで手当てしており(兵器生産中の一時金を銀行から借り入れるのは通常のことであるが、現在は種々の理由で兵器を生産して国防省に引き渡し、代金を領収するまでの期間が伸びているようだ)、現在2兆ルーブル以上の負債を負っている。その3分の2は常態で返済可能だが、残りは不良化しつつある。
モスクワで専門家に聞いたところでは、兵器の生産原価が計画をはるかに超える中で野放図に銀行融資への依存を増やしてきたことが、こうした現象を生んでいる。そして米国の制裁で、部品(半導体等)、機械(精密工作機械)等の入手に問題が生じ、新型兵器の生産が停滞して、政府への納入が遅れていることも、銀行融資の不良債権増大の原因になっている。
近年、国防費の伸びは抑制され、財政黒字を大きく支えているのだが、それが実は銀行融資に依存してのものだったことが暴露されつつある、と言えよう。

4)2014年のクリミア併合以後、ウクライナとの関係は断絶に等しいものとなり、ロシア軍の兵器廠的意味を持っていたウクライナの軍需産業との関係も表向きは絶たれたことになっていた。ウクライナはヘリコプターのエンジン、海軍艦船のエンジン、大型核ミサイル等の生産で、ソ連内では主要な役割を果たしていたのである。
しかし最近では、ロシアとウクライナの間の兵器の取引は、種々の形で続いていることが判明しつつある。ヘリコプターのエンジンのメーカー、Motor Sichはロシア、或は第三国にダミー企業を作って対ロ輸出を続けているようだ。またこれらウクライナ軍需企業には中国が目をつけて、8月に来訪したボルトン大統領補佐官から圧力を食らうところとなったが、彼はそのすぐ後、解任されてしまった。

5)北朝鮮は5月以降、新型の「飛翔体」発射を続けたが、これがロシアの短距離ミサイル(核弾頭搭載可能)「イスカンデル」システムに用いられているロケットに酷似していることが話題になった。ロシアが正式に供与するとは思われず、もぐりの手法で入手したものであろう。例えば2017年12月に、シリアのロシア軍がイスカンデル・ミサイルを発射したことになっているが、それは実際には横流しを隠蔽したものではないかという報道がある。

以下はデータ・バンクより

★東北地方の中国軍は、かつての歩兵だけから、急速に機械化して、戦車、装甲車を備える近代軍に変わった。その編成は極東のロシア軍と同様。
ロシア軍はイスカンデルーMを保有していることで、何とかパリティを維持している。
・2017年中国軍は瀋陽軍区から北方軍区に変更。それまで4軍があった。第16軍が長春、26軍がWeifan、39軍がLyaoyan、40軍がTsinchou。これが3の近代化された軍に代わった。長春に第78軍、Lyaoyanに第79軍、Weifanに第80軍。それぞれに6の汎用旅団。
旅団はそれぞれ2の戦車大隊、2の自動車化歩兵大隊。

・ロシア側は東方軍区に属する。4軍。
第5軍がウスリースク、第29軍がチタ、第35軍がベロゴルスク、第36軍がウラン・ウデ。イスカンデルーMを保有するミサイル旅団。

★19、8、1 James、Felgenhauer
7月下旬、尖閣上空を飛んだのは、AWACSのA-50U。

・北朝鮮が5月から何回(7月26日、31日)も打ち上げたミサイルKN-23は、イスカンデルーMに酷似している。
しかしロシアから入手したとは必ずしも言えない。以前も、スカッドB(液体ロケット、R-17)はエジプトから、個体燃料の9K79Tochkaはシリアから得たものを、KN02Toksa(Hwasong-11)に改造。
・そして、本来の精密誘導装置はついていないかもしれない。というのは、海に打ち込んでいるからで、これでは精密さが測定できない(?)。ただしTochkaは誤差100米の誘導装置を持っている。
イスカンデルはScene-Mapping Area Correlator(DSMAC)を装備している。誤差は10米以下となる。

・イスカンデルはこれまでアルメニアとアルジェリアに供与されたのみ。
17年12月に、シリアのロシア軍が「怒りに駆られて」発射したことがある。これが実は横流しだった可能性はある。

★◇19、7、30 James,Paul Goble
軍需企業、政府の払いが悪いために、銀行債務を払えない。政府が銀行に払ってくれるしかない。
・Yuri Borisov副首相が、この問題を公言して騒ぎに。7月初め彼は、軍需企業が必要としている6000ー7000億ルーブルの銀行融資を政府が負うように要請。
それは財政赤字、インフレをもたらす。
・軍需企業は現在2兆ルーブル以上の負債を負っている。その3分の2は常態で返済可能だが、残りは企業の存続に関わる。
もっともひどい常態にあるのはアルマス・アンテイ、ウラルヴァゴンザヴォド、United Aircraft Construction Co.。
・銀行はすでに、軍需企業向け融資の金利を上げている。
・軍需企業は200万の雇用を持っているが、レイ・オフを始めたところもある。
・軍需企業の負債が増えたのは、一つには業容多様化で投資費用、もう一つは制裁のために外国部品を入手できないこと。
・兵器の価格は原価を下回ることもあるし、汚職も問題。

★19、4、2 Centrasia
ピーテルのモジャイスク名称軍事宇宙アカデミーで、爆弾撤去中に爆発。負傷者あり。
★19、9、5 James
カルムイキアの重要性浮上。
カスピ海に面している。ただし深水港なし。
他方、これまでのロシア海軍拠点アストラハンは、気候変化で常時浚渫しないとつかなくなりつつある。
しかも、これから黒海との連絡を改善するために、閘門の多いボルガ・ドン運河にかえてカルムイキア経由のものにするとよくなる。
ロシア海軍はダゲスタンに拠点を移したが、ここは政治的に不安定なところ。
・Batu Khasikovカルムイキヤ首長も8月12日のカスピ海経済フォーラムに出席する等、積極的になりつつある。

★19、8、30 M.T.
8月8日の巡航ミサイル用原子炉爆発とされるものは、2017年11月から18年2月にわたって4回行われた発射実験がいずれも途中で墜落しており、それを海底で回収する作業中に起きた。
4隻の艦艇のうち1隻で爆発。これがミサイルの核物質に反応を起こさせて、放射能レベルの上昇を招いた。

★19、8、29 Vice.com
ロシアは十分の核抑止力を持っているのに、原子炉CM等、Fantasy兵器を開発しようとしてよけいな犠牲。

★19、8、16 F.T.
Severodvinskでの原子力事故。近くのNyonoksa村の住民は待避を命じられ、じきに解除された。放射能レベルは16倍にあがったが、危険レベルではとうていない。
なにがあったのかは不明。ロス・アトムの声明では、「液体燃料ロケット・エンジンのための原子力装置」関係。Burevestnik関係だともSSC-X-9(NATO名ではSkyfall)関係だとも言われている。トランプはツイッターで、Skyfallだとしている。

★19、8、14 M.T.
Severodvinskでの原子力事故。ロスアトム、エンジニア5名、将校2名が死亡。
しかし原子力でロケットをとばすのは無理。宇宙ステーションでの発電用ならわかるが。
当局は、ロシアが原子力の巡航ミサイルを開発しているという神話を作りたがっているようだ。

★19、8、4 I.
インド、ロシアから空対空、中距離のミサイルR-27購入を発表。約300基と思われる。トルコのS-400輸入直後。米国の制裁に反しているが。
R-27にはいくつもの種類があるが、いろいろなものを組み合わせるのだろう。たぶん、MIGー29に搭載するのだろう。これまで同種のミサイル、ウクライナから購入していたが、今回ロシアに。
・R-27は全体の契約の一部の模様。300ほどのRR-73E、400基ほどのR-77も、合計7億ドルで。R-27へはうち2、15億ドル。
・イスラエルから、Suー30MKI用のI-Derby ERを輸入する話しもあったが、立ち消え。
・2月には、カシミールで数十年ぶりにパキスタンと空中戦もしており、ミサイル必要。
★19、8、7 James
7月29日新新聞調査報道によると、シリアで新たな傭兵企業Shchitの活動が確認された。これは2018年、モスクワ州クビンカの第45空挺小隊をベースとするもの。そしてチムチェンコが80%を所有するStroytransgazがシリアで所有する設備の防護に従事していた。
★19、8、6 James
バルト海で、1ー9日海軍・宇宙軍共同演習「海洋の盾」。昨年地中海でのものが最初。今回も宇宙軍との共同、小型艦艇によるミサイル攻撃重視が目立つ。
参加隻数も49隻、10634名で、昨年の26隻。
"single information circuit"が強調されている。
★19、7、31 TASS
Public Opinion Research Centerが26日、1600名を電話調査。
67%は、ロシア海軍は世界最強。米海軍とするものは40%。
56%は、自分の子供や孫が海軍将校になることを是認する。
★19、7、30 NYT、Yulia Latynina
ソ連は、新型兵器については黙っていたものだ。プーチンは騒ぎまくる。しかしS-400とその40N6Eミサイルなど、2007年に配備されていながら、最初の成功したテスト実験は2015年。2月には中国に出荷されたが、途中の嵐で「濡れて」廃棄。
・他にも、羽根がついていて方向を変えることのできるミサイルとかは、ナチ時代からアイデアはある。しかし高速で動いているものに羽根があっても、精密度のある操作はできない。
・Zirkonミサイルにしても、写真はいつもBoeing X52 Waverider。
・米国は軍艦向けミサイルとしては、遅いが海面を行くHarpoonを選択した。
超音速にすると、低空では熱を持ちすぎるので、25マイル以上の高空でないとだめ。これは格好の標的となる。
しかもScramjetで、無様な大きな吸入口を持ち、操縦が難しい。
★19、7、25 James,Felgenhauer
23日、中ロは朝鮮周辺で初の共同空中パトロール訓練。実際は偵察機ではなく、爆撃機。しかもロシアのは、演習後一人で南下し、グアムに巡航ミサイルを発射できる地点まで。
・中国のはXian H-6K爆撃機、KJ-2000早期警戒機AWACS(IL-76を改造)。ロシアのはTuー95MS Bear2機。
・そろって、韓国の航空警戒空域を予告なしで進入。これまで何回も。
・ロシアのA-50(?)はイヴァノヴォ北基地所属で、海上飛行なれていないかもしれない。朝焼けの中、韓国機の警告射撃、本当に見えなかったかもしれない。
・それにロシアは、セーチンのペット・プロジェクトのズヴェズダ軍需ドックを民需に転換する案件を韓国と進めており、つぶしたく
ないだろう。
★19、7、8 James
5月27日、ロシアはGLONASS-M758を打ち上げ、衛星を27とした。
GLONASSがNATOの演習の時など、偽の位置情報を発することで、攪乱している可能性指摘されている。
これは民間航空の安全性にも関連する。
★19、7、8 James
Losharik潜水艦事故。高級将校の率が多かったことが目を引く。死者のうち7名が大佐。
実際には酸素マスクをつける時間もないような爆発があったのであり、事故時、Losharikは母船Podmoskovieに結びつけられたままで、一緒に急浮上して漁民を驚かせている。
・原子力推進ドローンのポセイドンを母船Belgorod(4月進水)から発射する実験と関係あるかも。
・いずれにしても、北方艦隊はoverstretch。北極航路とか。
★19、7、3 Rbth
1日、バレンツ海領海で火災を起こし、14名が死亡した原潜Losharik。機密多い。
・2003年建造。兵器は搭載せず、6000米まで潜水して、ケーブル切断、資源探査。
(2日Gazeta.ru。これはProject10831、機材はAS-31と呼ばれている。Nuclear Deepwater Station。大型原潜BS-136 Orenburgによって、作業現場まで輸送される。AS-31は1980年代の開発。乗員25名。排水量2000トン。火災の原因はショート。4日づけVestiによれば、電池が発火)

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